ベストな着衣動作をスムーズに学習するロボットを柴田准教授(奈良先端科学技術大)らが作り上げる

NAIST(奈良先端大)の松原教授や柴田准教授らが、上半身が動きにくい被介護者やお年寄りの着衣をサポートするロボットを作り上げた。介護を行う人などが前もって「着衣の動き」をロボットに覚えさせる。動作を光学式キャプチャーモーションでキャッチして、これをベースに着衣した様子を確認させ、何度も学習させることで、ベストな着衣の仕方をマスターさせる。学習の際にターゲットとなるパラメーターを絞ることにより、着衣の仕方をスムーズに覚えることができるようになっている。これが「着衣をサポートするロボット」の世界第一号であるとされている。

学習のターゲットとなるパラメーターを絞ることで、素早く着衣の仕方を覚えさせられるのがメリット。教えた動作を「躍度最小モデル(人間の動作生成の数理モデル)」と照らし合わせることで、6点によって10秒間の動きを再現する。このうち着衣をする際に最も大事と判断される1点を学習のターゲットとすることで叶えている。また、着衣が上手くいったら独自に加点を行い、学習と加点を何度もすることによってベストな着衣の仕方をマスターしていく。

光学式モーションキャプチャーや双腕ロボット(7腕×2)などにより、システムは組上がている。アメリカのバレットテクノロジー社の7軸ロボット(こちらもワイヤ駆動)を両側に設置することで成り立っている。バックドライバリティがあるので人間と関わりやすくなっている。
ロボットが被介護者やお年寄りの後ろに位置して、腕を伸ばすことで着衣させる。

「『着衣の対象となるヒト』と『着衣自体の関係性』」とコンディションは、ハイスピードカメラでマネキン3つとTシャツ5つに設置したマーカーをキャッチすることで判断する。3つの変数で「絡まり座標系」をコンピューター上に写し出す。「裾が想定どおりに降ろされているか」「両方の袖が適切に通っているか」「襟が適切に通っているか」を採点し、これにより「着衣が上手くいったか」を判別する。上手くいっていればいるほど加点数がアップし、この点数がアップするように採点と学習を何度も実行することにより、着衣動作が徐々に洗練されていくのである。
今は「軌道」だけを学習させているが、この先は「力の入れ方」なども力センサなどで覚えさせていく予定とのこと。

本研究内容は「IEEE-RAS International Conference on Humanoid Robots(ヒューマノイドロボット国際会議)」で公開される(スロベニア)。