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2011.04.16
無人化施工技術、震災復旧作業に向け総力
―福島第一原発の瓦礫除去作業を支える

東日本大震災から1カ月が経過し、被災地の瓦礫撤去が本格化している。その主役となるのが油圧ショベルやブルドーザなどの建設機械。震災直後、国内建機メーカーや建機レンタル会社が手弁当で被災地に送った建機が道路を復旧させて生活必需品の輸送につなげた。住宅地や田畑の瓦礫撤去も進んでいるが、被災地で稼働する建機のメンテナンスや瓦礫の処理、福島第一原子力発電所のコンクリート瓦礫撤去に従事するラジコン型建機にも建機メーカーが持つ技術が生かされている。

無人化施工技術・遠隔管理を駆使して作業

 福島第一原発では無人化施工技術を活用した建設機械によるコンクリート瓦礫除去が始まった。津波や水素爆発などで損傷した原子炉建屋周辺は放射線量が高く、構内の瓦礫も放射能で汚染されている。操縦者の安全が確保できないため、建機にカメラを設置し、遠隔地の操縦室から無線による遠隔操作で構内の瓦礫約9,000tを撤去する計画。作業を実施するのは大成建設と清水建設、鹿島といったゼネコンだが、建機各社も自社の通信技術を通じてゼネコン各社に協力するなど現場での作業を支えている。なお、政府と東京電力の統合連絡本部内のリモートコントロール化チームでは、大成建設がコアメンバーになっている。

 福島第一原発では、コマツの油圧ショベルや日立建機のクローラダンプ、キャタピラージャパンのブルドーザなどが稼働している。各社とも長崎県の雲仙普賢岳の噴火による被災地の復興で遠隔操作型の建機を稼働させるなど、各社とともに20年以上にわたって無人化施工技術の開発に取り組んできた。
 このうち、キャタピラージャパンのラジコン仕様車は約100台の販売実績があり、本体重量20~80t級油圧ショベルのほか、同16~64t級のブルドーザ、最大積載量45~90tのダンプトラック、同10tのクローラダンプといったラインアップを持つ。災害復旧工事だけでなく、炉周辺が高温で人が近づけない製鉄所や産業廃棄物処理場、落下物の危険がある解体現場や鉱山など向けに利用されてきた。

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福島第一原発で瓦礫の撤去作業を開始した遠隔操作重機(東京電力提供、写真左)と遠隔操作で用いられる送信機(キャタピラージャパン、写真右)

 遠隔操作にはラジコンカーの操縦機を大型化したような重量1.8kgの送信機を使用する。油圧ショベルの走行やブーム(腕)、ブーム先端に取り付けるアタッチメントの操作レバーを操縦者が動かすと電気信号を発信する。これを油圧ショベル後部に取り付けた受信アンテナが受信。受信機を通じてバルブを動かして油圧ショベルを操作する。専用のモニタリングシステム「ラジコン―リンクモニタ」を使用すれば、エンジン回転数や冷却水の温度といった建機本体の状態を確認することができる。

 送信機の通信範囲は最大100mだが、外部アンテナを設置することで同300m先の建機を動かすことが可能。目視に加え、遠隔操作する建機の車載カメラの映像を、操縦者近くにあるモニターに映して作業を行う。操縦者側の外部アンテナと建機側の外部アンテナの間に中継アンテナを設置すれば、同3km先の建機を遠隔操作できる。
 操縦者は車載カメラに加え、現場の様子を映す外部カメラの映像を通じて作業する。福島第一原発での作業は鉛などで安全対策を施した自走式操作室から直接、無線で遠隔操作する方法と、中継局を経由よりより遠方にある建機を操作する2種類の方法が採用されている。

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  このシステムで建機を操縦できる操縦者は「全国に40人程度」(業界関係者)とされる。特殊技能が必要されることに加え、「現場から送られてくる車載カメラや外部カメラの映像と操作時のタイムラグをいかに少なくできるかがカギを握る」と、キャタピラージャパン営業直轄部の山本茂太主任は説明する。

 無人化施工技術は福島第一原発での作業だけでなく、山間部の被災地で発生した土砂崩れの復旧にも役立つ。崩落の可能性が高く、人が近づけないような危険地所で作業できるからだ。建機を運ぶトレーラが入り込めない場所でも「解体することでヘリコプターでの輸送を可能にした本体重量24級油圧ショベルがある」(山本主任)という。

 災害復旧用のラジコン仕様機は地方整備局などに納入した実績があるが需要が少なく、通常機に比べて割高なため、普及が進んでいない。福島第一原発事故を教訓に無人化施工技術対応建機の普及や操縦者の育成が求められそうだ。

KOMTARAXなどIT管理システムで保守万全

 被災地のライフライン維持に不可欠な道路を復旧すべく、建機メーカーは子会社の中古機販売会社や自社で所有する建機、建機レンタル会社は被害を免れた地域の建機を集めた。震災直後の燃料不足により建機を被災地に輸送するトレーラの燃料不足が課題となったが、500リットルの燃料を貯蔵できる油圧ショベルの燃料タンクに蓄積した燃料を移し替え、帰りのトレーラの燃料を確保するなどの工夫で被災地に建機を送り続けた。

 被災地で最も多い建機は油圧ショベル。ブームの先端にあるアタッチメントを付け替えることで瓦礫処理に必要な様々な作業に対応できるのが強みだ。土砂を掘削してダンプトラックに運ぶバケット、コンクリート塊を破砕する油圧ブレーカや圧砕機、鉄骨などを破断する鉄骨カッターなど、用途に応じた複数のアタッチメントがある。中でも、意外な形で活躍したのがハーベスタと呼ばれる林業用のアタッチメント。被災地に横たわる流木の切断や輸送に威力を発揮しており、ハーベスタ仕様の油圧ショベル1台で50人分の作業が可能という。

 建機各社は被災地に建機を運んで動かすだけでなく、「被災地で稼働する建機の状態を常に把握して適切な保守サービスを整えることが重要」と口を揃える。被災地の建機が故障した際のフォローがなければ何の意味もないからだ。
 そこで活躍するのが、コマツの「KOMTRAX(コムトラックス)」(下図)をはじめとした建機を遠隔管理するIT管理システム。建機本体に搭載したGPSで建機の位置情報や稼働状況などを遠隔管理する。無線通信を通してパソコン上で燃費や稼働時間、故障の有無などを把握できるため、建機メーカーは被災地から離れた場所でも、交換に必要な部品の手配や効率的なメンテナンス体制を整えられる。
 地震や津波で故障した建機の位置や故障状況なども把握して迅速な修理につなげ、被災地の早期復旧に役立てる考えだ。

  なお、東急建設では復興作業にむけ瓦礫の除去作業に日立建機の双腕機「ASTACO(アスタコ)」の利用を検討しており、発注があれば出動できる体制を整えている。「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」(NEDO、2006~2010年度)で開発した双腕機は、15日頃から解体現場での試験運用を開始している。

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