年末企画 分野別に振り返るロボット業界2011

2011.12.28
PART3 東日本大震災対応関連ニュース一覧
―世界展開を見据えた産業戦略を

  ただ、災害対応ロボットは利用頻度が低く、かつ一般に普及するものではないため経済合理性が成り立ちにくい。また、現在の財政状況を踏まえると、十分なリソースを投入するのは極めて困難である。開発成果の社会実装と併せて、災害対応ロボットから生み出された知的資源をもとにした産業化ならびに世界展開を見据えた戦略が求められる。その一例として、2004年に神奈川県と国際レスキューシステム研究機構(IRS)が取りまとめた「世界の救助センター構想」は、いまでも参考になるところが多い。

  この構想では、災害対応ロボットや救助隊支援システム(高度救助資機材)などの技術開発に加え、これらを用いて救助を行うレスキュー隊員の訓練(人材育成)施設を持った拠点を整備し、その周辺にロボット技術に関わる産業クラスターの形成を促進する。平常時における救助以外の用途との共用などの工夫により、発災時に災害対応ロボットが有効に機能し、かつ経済合理性にも優れたシステムが広く社会に定着していくことを目標に製品化を進める。同時に、これらのシステムがより効果的に機能するよう情報システムなど社会インフラの整備も図っていく。
 これらの活動を、産業クラスターの形成を通して推進することにより日本発の救助システム(ソリューション)の世界展開を推進しつつ、最先端の災害対応ロボットを配備したレスキュー隊の海外被災地への投入などによる国際的な災害救助の中核的な役割を、わが国が担っていくことを構想している。

  米国が高度な軍事技術を開発、配備(軍備)することで世界の警察官の役割を担い、同時に、そこから生み出された科学技術の成果を利用して、産業的な隆盛を果たした。これと同様に、わが国が世界の救助隊として、最先端のロボット技術を装備して大規模災害時に被災地に赴き、同時に、そこから創出された研究および開発成果を利用して、世界をリードする新産業を創出するという意図も込められている(写真はイメージ。こうしたシステムの普及には世界展開を見据えた産業戦略が求められる)。

  災害対応ロボットの技術開発を通じて、新たな産業の創出につながるばかりか、世界展開により国際貢献にもつながる可能性がある。こうした政策を打ち出し、実行へと移していくことがいま、安心・安全な社会をつくり上げるうえでも求められている。

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写真1 京都大学の松野文俊教授らが2011年3月18日に、KOHGA(コーガ)3を用いて実施した八戸市内施設での探索活動の様子。本来は研究者ではなく、訓練を積んだ隊員が運用するのが望ましいが、こうした体制づくりが今回の震災に間に合わなかった。

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写真2 岩手県野田村の倒壊施設の様子。施設所有者の了解が得られず(連絡がとれず)、調査ができなかった。

※掲載した記事のタイトルは一部変更しています。括弧内は掲載日を指します。
※東日本大震災への対応に加え、震災に関連する話題も掲載しました。

2011年3月掲載

ZMP、9軸モーションセンサのユーザーに向け地震計測アプリを配布 (03/16)

川重、メンテ要員を派遣、三菱電、FA機器の保守点検を実施 (03/16)

京大の松野教授、八戸市でレスキューロボによる調査活動へ (03/19)

NEC、ひび割れ可視化する赤外線サーモグラフィを被災地に貸与 (03/24)

長岡技科大の木村准教授、ロボットによる探査ボランティア開始 (03/27)

安川電機 被災地の水処理設備の復旧支援に向け技術者派遣 (03/28)

復旧に向け探査ロボのニーズがある、松野京大教授 (03/28)

 

20011年4月掲載

IRS、宮城県三陸町で水中ロボットによる行方不明者の捜索へ (04/06)

znug design、ミニ四駆を題材に作品募集、避難所で展示会を開催へ (04/07) 

震災発生から1カ月、日本のロボットに出動要請は?(コラム、04/11)

東工大の広瀬教授、海中探索プロ提案、船の提供を呼びかけ (04/11)

IRS、岩手県宮古市から陸前高田市の港湾内で水中探査へ (04/11)

キャタピラージャパン、気仙沼で瓦礫処理の実証実験を開始 (04/15)

IRSと米国の合同チーム、19日から水中ロボで行方不明者を探索 (04/17)

消防の指示のもとロボ探索に伴う住居侵入は正当業務、小林弁護士 (04/23)

仏アルデバラン、対災害ロボの開発を発表 (04/25)

IRS、水中ロボによる探索活動を報告、行方不明者の発見に至らず (04/25)

 

2011年5月掲載

仏アルデバラン、12年までにケンタウルス型の対災害ロボ開発 (05/02)

千葉大の野波教授ら、無人ヘリで被災地を空撮、避難住民に提供へ (05/09)

産総研の柴田研究員、避難所向けパロの運用マニュアル開発へ (05/27)

 

2011年6月掲載

北大、作業服一体型のスマートスーツ・ライトを被災地に大量投入へ (06/03)

IRS、神戸市に納品したレスキューロボ公開、操作性を大幅に改善 (06/06) 

東大の鈴木教授ら、無人飛行機で千葉県の津波被害を調査 (06/11)

大和ハウス、被災した高齢者へパロ50体を無償貸与 (06/16)

●JST、東日本大震災の関連研究を支援、IRSの水中ロボ探査など (06/16)

災害対応ロボ活躍のカギは、未知の環境で動かす準備と訓練 (06/24)

 

2011年7月掲載

東大など、被災地で海底ロボ探査を実施、漁業の再開を支援 (07/01)

ホンダ、震災被災地でASIMO特別事業を開催、今回で4回目 (07/14)

東北大の田所教授ら、クインスで東北大キャンパス内を調査 (07/28)

IRS、8月1日にクローラ型ロボと飛行ロボによる情報収集活動を報告(07/29)

 

2011年8月掲載

東北大、クローラ型と飛行型ロボで被災建物の3次元地図を生成 (08/02)

東北大、災害復興担う博士育成へ、来年度から新プログラム開始へ (08/18)

 

2011年9月掲載

キャタピラージャパン、瓦礫処理に独自方式、1日300tを回収・分別 (09/02)

東北大、震災アーカイブプロ始動、情報基盤システムの構築へ (09/30)

 

2011年10月掲載

東大など、水中ロボで被災漁港の瓦礫調査、漁業の復興に向け (10/14)

京大の松野教授ら、23日から南三陸町で水中ロボによる探索活動 (10/19)

IRSなどの合同チーム、南三陸町で水中ロボによる探索を実施 (10/27)

 

2011年11月掲載

東大・佐藤教授ら、福島県飯舘村にWebカメラ設置、いつでも故郷を確認 (11/10)

福島県南相馬市、ロボ技術で産業復興へ、原発災害対応の前線基地に (11/14)

 

2011年12月掲載

国立大学協会、震災復興事業を支援、モニタリングロボによる調査など (12/09)

近大の大坪氏、阪神・淡路大震災での経験を通じて「絆」の大切さを説く(12/12)



 

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特集コンテンツ一覧

PART1 分野別注目ニュース
―産ロボ、サービスロボ、要素技術、ビジネス・経営

PART2 福島原発事故対応関連ニュース一覧
―災害対応ロボの実用化に向けた対話を

●PART3 東日本大震災対応関連ニュース一覧
―世界展開を見据えた産業政策を
PART4 2011国際ロボット展(iREX)掲載記事一覧(産業用ロボット)
―技術に裏付けられた価格提案を

PART5 国プロ関連掲載記事一覧(非産業用ロボット) 
 
―安全検証センターの成否はモノづくり全体に関わる課題




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