日本ロボット工業会(JARA)と日刊工業新聞社は、11月9日(水)~12日(土)の4日間にわたり「2011国際ロボット展(iREX2011)」を開催する。出展者数および小間数は、前回の256社・856小間に対し272社・1,085小間と大幅に増加し、過去最大規模での開催となる。会場は、東京ビッグサイト(東京都江東区)。入場料は、一般が1,000円、学生および団体が500円。事前登録者は無料で、同展ホームページより受け付ける。
不二越やダイヘンなどが再び出展
前回、出展を見合わせた不二越やダイヘンなどの出展により小間数が大幅に増加した。2008年秋のリーマン・ショックの影響により、2009年の産業用ロボット市場は四半世紀前の水準まで落ち込んだ。その後、中国をはじめとする新興国での需要拡大を受け、2010年の産ロボ市場は2009年比92.8%増の5,570億円(生産額)に上り、2011年はさらに上回る見通しとなっている。海外での需要増を背景に前回の856小間から1,085小間に拡大し、出展規模は過去最大となった。
今回、再び出展するおもな企業は、ハーモニックドライブシステムやマクソンジャパン、IDEC(前回はNEDOブースに出展)など。また、トヨタ自動車とパナソニック、NTTデータなどが新規に出展する。毎回、出展しているファナックは前回より20小間拡張する。
一方で、卓球ロボットで話題となったベトナムのTOSY ROBOTICSと米Willow Garage社が出展しない。TOSY ROBOTICS社は100小間を予約していたにもかかわらず、出展を見合わせたことから推測すると、開発が間に合わなかったと思われる。前回、出展時もロボットの調整に時間を要し、十分なパフォーマンスが示せなかった。Willow Garage社は、前回はプラットフォームロボット「PR2」の無償プラグラムの案内に力を入れており、すでに同プログラムを開始し、世界各地の大学や研究機関で研究が進められていることから、今回は出展の必要性を感じなかったと思われる。
ランダム・ビン・ピッキング、ロボットセル、人共存システムが注目
現在、ロボナブル編集部で把握している出展内容を踏まえると、今回のキーワードは「ランダム・ビン・ピッキング」「ロボットセル」「人共存システム」になるだろう。
先月、三菱電機が発表した、複数ロボットの連携・協調によりランダム・ビン・ピッキングからパレットの配列まで行える部品供給システム(写真1)に代表されるように、3Dビジョンシステムを活用したランダム・ビン・ピッキングシステムが複数展示される。視覚センサをはじめとする3次元認識技術の高度化ならびに扱いやすさの進展によるもので、三菱電機のほか、安川電機やナレッジ、三次元メディア(写真2)などが出展を予定。また、スキューズが出展する「5指チャック(5指ハンド)」は異形ワークから柔軟ワークまで対応可能で、3Dビジョンシステムとの組み合わせにより多種多様なワークのピッキングやハンドリングに利用することができる。また、不二越が出展する3指ハンド「フレックスチャック」も同様の使い方ができる。
ただ、こうしたビン・ピッキングは、ユーザー側から5秒以内に行うことが強く要求される。いわゆる「5秒の壁」が導入の障壁となっており、これをクリアできる可能性を示すシステムがどれほどあるかが注目される。
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三菱電機のランダム・ビン・ピッキングシステム(写真1、左)と三次元メディアの両眼ステレオ視によるピッキングソリューション(写真2、右)
ロボットセルについては、三菱電機と川崎重工業が、マルチハンドのみとなるがIDECが出展を予定する。川崎重工のセルは物流工程におけるパレタイジングならびにデパレタイジングに向けたシステムであり、セルというよりは、むしろ「パッケージ」と表現する方が適切かもしれない。同社は「パッケージセル」と表現している。リーマン・ショック以降、非自動車分野に向けた開発や提案に注力され、物流業界や食品・医薬品・化粧品(3品)業界に向けたパッケージがいくつか登場した。前回のiREX2009で複数出展された「パラレルリンクロボット」はその一例で、今後、このようなパッケージでのソリューション提案が拡大することを感じさせる。
三菱電機は、上述の部品供給システムとロボットセルとを連動してサーマルリレーを組み立てるデモの公開を予定する。ロボットによるセル生産の課題は部品供給にあり、パーツフィーダや専用治具による供給はセル生産で期待される変種変量生産の妨げとなるため、必ずしも効果的に運用できているとは言い難かった。それに向けた1つの解として注目される。
人共存システムは、前回からの川田工業の上体ヒューマノイド「NEXTAGE(ネクステージ)」(動画)とKUKAロボティクスジャパンの7軸軽量ロボット「KUKA Light-Weight Robot(LWR)」に加え、安川電機が「人共存ロボット」の公開を予定している。いずれのロボットも出力80W以下のモータを使用しており、産業用ロボットの適用除外(労働安全規則)となるため、リスクアセスメントの実施により人と共存環境下での運用が可能になる。作業者とロボットの協働により生産効率の向上ならびに、さらなるショートプロセス化につながる。また、作業者による改善活動を実施することにより、従来のロボット化(自動化)では難しい、日々のラインの進化が期待される。今回のiRX2011は「人-ロボット協調・共存システム」への流れを決定づける展示会になるかもしれない。
動画 NEXTAGEが備える作業者の接近の検出例
大学の研究室は産ロボの研究に向かってもよいはず
今回も「RT交流プラザ」では大学などの研究成果が多数公開される。ただ非産業分野に向けた提案ばかりで、産業用ロボットの研究開発に関する内容が確認されない点が気になる。
2010~2011年の産業用ロボット市場は、中国に代表される新興国の自動化の機運を受け、海外での売上を飛躍的に伸ばしている。安価なロボットの提供で成長しつつある現地メーカーも登場しているが、モータや減速機など要素技術が未成熟であることから、性能面で国内の産ロボメーカーの足元に遠く及ばない。国内の産ロボメーカーを脅かす存在になり得ていない。しかし、いずれは(徐々にではあるが)キャッチアップしてくるはずで、ボリュームゾーンである汎用ロボット市場を脅かす存在になるかもしれないし、そのときは国内メーカーも価格競争にさらされることになる(現在は中国市場で国内の産ロボメーカー同士が価格競争をしている)。これに対抗するためには、例えば、必須とされる減速機やエンコーダ、グリースやケーブルを排除するなど、ロボットの基本構造を変革するような研究開発に取り組まなければならないだろう。
すでに一部メーカーでは、こうした取り組みをスタートさせているが本来、このような挑戦的な研究開発は「産」の伴走者であるはずの「学」が得意とするところであり、担うべきである。
ロボット産業が立ち上がった当初から、産業用ロボットの基本構造はほとんど変化していないし、まだまだ取り組むべき研究開発がある。例えば、減速機がなくなるだけでも設計の自由度が向上し、構造のバリエーションが格段に増える。さらに、制御面でも拘束条件が少なくなり、適用技術の拡大にもつながる。(水面下では、やり取りはあるかもしれないが)産業側が抱える課題に真剣に向き合ってもよいのではないだろうか。
なお、会期中は各種フォーラムやセミナーが企画されており、9日開催の「サービスロボットビジネスフォーラム」では、ロボットビジネス推進協議会の会長を務める桂靖雄パナソニック副社長が、震災復興に向けサービスロボットが果たす役割を紹介。福島原発災害の復旧支援や被災地での復興支援に協力したロボット研究者などが、復旧・復興におけるロボット技術の課題に触れる。
10日開催の「ロボットサミット/Robot Summit2011」では、国内外の主要産ロボメーカー6社が、ユーザー企業2社を交えて、新興国などにおけるビジネス展開などを語る。そのほか国内システムインテグレータの活性化や介護ロボットの普及モデルなどを検討するセッションも予定されている。詳細は、iREX2011ホームページを参照してほしい。
●2011国際ロボット展(iREX2011)公式ホームページ
●2011国際ロボット展(iREX2011)事前登録ページ
特集コンテンツ一覧
●2011国際ロボット展(iREX2011)、過去最大規模で開催
― キーワードは、ランダム・ビン・ピッキング、ロボットセル、人共存システム
●主要ロボットメーカートップインタビュー一覧
―ファナック/安川電機/川崎重工業/三菱電機/不二越/デンソーウェーブほか
●iREX2011注目製品&サービスプレビュー
►産業用ロボット(IR)、ビジョンシステムゾーン掲載企業一覧
―ロボットセルなどパッケージソリューション登場!
►サービスロボット(SR)、ロボットビジネス推進協議会ゾーン掲載企業一覧
―介護福祉、医療分野向けの提案が多数!
►RT交流プラザほか一覧
―各大学の研究成果を一堂に紹介

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