小学生時代~この頃からモノづくりに興味が……?~

小学生になった。運動神経が悪く小柄でもあったので、何かとバカにされやすかった。外で遊ぶということもほとんどなかったし、TVを観るのが趣味だった。

小学校3年生くらいまでは「できるかな」を欠かさず観ていた。現在の若者も聞いたことくらいはあるかもしれない。ゴン太くんとのっぽさんが、簡単な工作をするというアレだ。もしかしたら最近の学生には「つくってあそぼ」のほうが知られているだろうか。「つくってあそぼ」のほうはゴロリとワクワクさんだったか。
私はもう40代だが、現在でもこの手の番組が大好きだ。タイミングが合えば絶対に観る。
今でものっぽさんやワクワクさん的な人と一緒に工作をすることを夢見ているくらいだ。

「できるかな」に感動して、親に牛乳パックを捨てないようにしてもらって、ロボット的なものを作っていた。現在の私も手先が器用であり、ロボット作りを有利に進めることができているが、小さい頃に工作をしまくっていたおかげでもあるのかもしれない。仮にこの頃に外で遊んで工作をしない生活をしていたら、手先は不器用になっていたのではと思う。

ただ、手先が器用でも心が弱い子供だった私。小学校2年生のときに少し辛い思いをすることになる。「将来の夢」という作文を書く課題が出て、私は意気揚々と「将来はロボットの研究者になって、凄いロボットを発明したい!」という内容の作文を作った。自信作であった。しかし、どういう経緯だったのかは忘れたが、その作文を先生に渡す前にクラスの男子に作文の内容を知られてしまったのである。
何人かの男子に

「ロボットなんて作れるわけないだろう!」
と、軽く殴られたりした(おおらかな時代だったので、本当に簡単に手を出してくる)。

1975~1980年くらいの時期。その頃はいわゆる「産業用ロボット」があるくらいでしかなく、4足・2足歩行ロボットはまだほとんど普及していなかったのだ。そのため、「凄いロボットを作りたい!」なんていう夢を抱くのは、一般的に言って保育園生くらいで卒業していなければならなかったのである。

私はバカにされないように、教師に作文を渡す前に全部書き直した。「ロボット博士はいくらなんでもマズい……。もっと無難なものを……」と考えて、その頃の小学生男子なら誰でも一度は考えたことがあるような「野球選手になりたい」と書いておくことにした。
ただ、とにかくインドア派の子供だったし、野球のルールも今一つ理解していなかったのだが……(笑)。
こんな流れで「ロボットを作りたい……なんてそうそう人に明かすべきことではないのだ」と認識し、それなりにバカにされつつ、時には辛すぎて仮病で学校を休みつつ、なんとか小学校6年間をやり過ごしたのである。

世間では私が小学校4~5年の時期からガンプラが大ヒットする。その頃の小学生たちは、ガンプラがプラモ屋に入ってくる日程を完璧に知り尽くしており、当日には行列を作ってプラモ屋の前で待ち構えていたものである。私も例に漏れずガンプラにドはまりしていた。

現在のガンプラはただ組み立てるだけでハイクオリティーな仕上がりになるが、その頃のガンプラは「できるものならやってみろ感」が結構あった。可動範囲も狭いし、接着剤で一つ一つパーツをくっつける。しかも関節部分は脆い。なにより着色しないと組み立てても何の面白みもない一色のガンプラができるだけあった。だから当時の子供たちは、角を鋭利にする、関節の稼働領域を大きくする、脚を長くする、色をつけるなどのカスタマイズをして、なんとかクオリティーを上げていたのである。私は手先が器用だったので、熱中して気絶するくらいガンプラを作りまくった。

しかし、今振り返ると「ガンプラ」というもの自体、素晴らしい教材になっていたと思う。つまりは「プラモのカスタマイズ」をしていくわけだが、これはプラスチック加工であり、そのまま機械工学の分野で役立つ。つまり私は、ガンプラのカスタマイズによって、ロボット工学や機械工学の初歩的な部分を学ぶことができていたのだ。まあ、今でも普通にガンプラを作っているし……。先日もとあるガンプラを購入したばかりである。

ちなみにこのロボット作りとは全く別のところで、このとき自分でもびっくりすることがあった。とにかく、インドア派でバカにされやすい小学生だったが、理科の試験で満点を記録したのである。
しょせん小学生の試験なので満点もそこまで大変ではないのだが、その試験では私一人が満点だったのだ。これを教師がクラスメイト全員がいる教室で大いに称えてくれた。多分、教師としてはクラス内で立場の弱い私を少しでも目立たせようとしたのだろう。教師の思惑通りにことが運び、翌日からクラスメイトにバカにされることがなくなったのである(子供の考えることはシンプルだ。成績がいいからこそ疎まれる、なんてことはない)。しかも、学級長にまで選出された……。
そこから「成績が良ければ、バカにされない」という思考が完全に出来上がり、そのまま勉強へのモチベーションがアップしたのである(私も単純だ)。