【問題作成&解説】
国際レスキューシステム研究機構(IRS)
神戸ラボリーダー 高森 年
【問1】(本質安全型アクチュエータ)
《解 答》
(C)
《解 説》
現在の制御系では、センサ → コンピュータ → アクチュエータによる制御系が一般的だが、このような構成では、緊急時におけるアクチュエータの停止や減速などが安全に動作することを保証しにくい。サーボスロボットでは、ロボットと人が行動領域を共有するため、危険な接触に対応した制御系を構成しなければならない。
そのため、従来の制御系を見直し、例えば接触と同時に運動量が消散する[1]または変成する[2]機構をアクチュエータ自身に持たせるような設計が本質安全設計として注目されつつある。
[1]小林滋,梅田栄,浜崎裕太,古賀省吾,大坪義一,高森年,“小型ロボット搭載用平ベルト本質安全型アクチュエータ”,第9回 計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,pp.1-2 ,2008.
[2]前田弘文,高森年,村尾良男,大築康生,中辻武,安東隆志,“ロボットメカトロニクスシステムの安全化と自動減速型電動アクチュエータ”,第10回 計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,2009.
【問2】(アクチュエータと負荷の整合)
《解 答》
(A)
《解 説》
サービスロボットにおけるエネルギー発生源であるアクチュエータは、今後のアクチュエータ開発におけるイノベーションが期待されるところだが、現状では電動モータと機械要素による変成機構の組み合わせにより構成されている。したがって、電気系と機械系の混在した複雑なシステムとしてアクチュエータがモデル化されるが、このような系をエネルギー源として見なし、負荷との整合条件を求める場合、近似的に内部インピーダンスを実験的に決め、鳳―テブナンの定理に従って整合条件を求める。
【問3】(センシングにおける情報変換)
《解 答》
(B)
《解 説》
例えばアクチュエータの本質安全において、センシング → コンピュータ → アクチュエータのプロセスによる一般的な制御系では不十分であることはすでに述べた。コンピュータを経由しないループにより、アクチュエータ内の運動量の消散・変成がなされる構造が要求される。そのためには、センシングの情報変換原理における、エネルギー場の状態量を電気量に変換しやすくするための状態量変換(通常「A変換」と呼ぶ)、言い換えれば、物理化学的な原理による状態量 → 状態量(因果則による変換)に着目することによって、アクチュエータ内部の運動量を直接センシングすると同時に、アクチュエータ内部でその消散・変成が可能となる。
【問4】(ハードウエアにおける安全化機能の組込み)
《解 答》
(D)
《解 説》
ISO/IEC Guide51の精神は、あくまで、サービスロボットの製作の段階で“State of the art”にもとづく安全設計が前提となる。したがって、ロボットの機能のみを重視して企画・設計・製作されたロボットに対し、リスクアセスメント → 防護処置 → CH宣言のプロセスによってロボットの安全化を求めることは、“外付けの安全化”といわざるを得ない。将来的には、ロボットの企画・設計・製作の段階で、リスクアセスメントシミュレーションを重ね、そのプロセスの中で本当のCHを見つけ、宣言すべきである。
また、この方法においては、シミュレーションのためのデータベースが必須であり、中でもリスクに対し演繹的ではなく、アブダクション的な情報によるデータベースの構築とその共有化が必須であると思われる。
【問5】(サービスロボットの本質安全と確率安全)
《解 答》
(C)
《解 説》
産業ロボットなどの機械システムを対象とした場合、本質安全や機能安全といった分類は理解しやすい方法であったが、サービスロボットにおいては、人とロボットの行動領域が共有するため、ロボットの企画・設計段階、もしくは後付での防護対策をハードウエア的に実施しても、本質的に安全なシステムを構築するのは困難である。
したがって、いわゆる“State of the art”を前提とした今後の種々の開発努力によりリスク率ミニマムな確率安全システムを実現することが望まれる。すなわち、サービスロボットにおいては確率安全の概念が重要と考えられる。

ビジネスライン














