連載 4肢選択で理解する!サービスロボット安全技術講座

2011.02.10
第5回 サービスロボット安全技術概論【解答&解説編】

【問題作成&解説】
新産業創造研究機構(NIRO)
研究一部 部長 大築康生

第5回「サービスロボット安全技術概論」【設問編】へ

【問1】(サービスロボットの本質安全)

《解 答》
(D)

《解 説》
 80Wのモータ駆動でも高速であれば大きなエネルギーを有しており、大減速比での駆動では大きなトルクを発生して挟み込みなどでの事故につながる可能性がある。リスクアセスメントでは、事故が起きたときの程度が大きくとも、発生頻度が低ければリスクは低く見積もられる。また、ロボットのパワーがゼロでも、慣性モーメントが大きな場合は接触や衝突の反力は大きくなり、重力バランスがとれていなければアームや把持物の落下による障害の可能性も考えられる。

 本質安全のサービスロボットは不可能ではないかもしれないが、実環境で活動し、何らかの有意な作業をするシステムについては、その本質安全の達成は困難な場合が多いであろう。

【問2】(サービスロボットのフェールセーフ)

《解 答》
(B)

《解 説》
 何か故障が発生したときに安全側に対応するのがフェールセーフである。異常時にその場で停止し、状態を保持することは、安全側の処置であることが多いだろうが、常に正しいとは限らない。また多数決方式は、一般に信頼性が高いといえるが、一部の情報でも異常が生じた場合は、異常時対策を採る方がシステムとしては安全側と考えられる。
 透過型の光センサは、通常時は光を受光し、障害物などで光が遮断されたときに異常信号を出す。発光側が故障した場合も異常信号を出力するが、これは異常事態を見逃すよりも安全側の対応と考えられる。

【問3】(サービスロボットのフールプルーフ)

《解 答》
(A)

《解 説》
 フールプルーフは、人がミスを犯してもそれが実行されない仕組みである。3ポジションスイッチ方式は、教示者が意図した場合のみ入力を許容することで意図しない入力を阻む。この点で安全策の1つであるが、教示者の誤った指令自体を阻止する機能はない。
 インターロックキーなどにより、調整作業中に第三者が勝手に起動させるのを防ぐのは安全対策として有効であるが、調整者のミスに対してはそれを防ぐ機能はない。また速度制限は、予期せぬ動作を起こした場合の停止や退避の可能性を高めるうえで有効であるが、これも人のミスを防ぐものではない。
 起こり得ない動作指令をチェックして、そのような指令を拒否するのはフールプルーフ機能といえる。

【問4】(異常時の対応と復帰法)

《解 答》
(D)

《解 説》
 異常時のあるべき対応策は、そのロボットの目的や状況によって変わり得る。一般的に停止は対応策として考えられるが唯一、最高のものとは限らない。作業開始位置に帰る対応策も同様である。
  また異常時に停止し、その原因を取り除いた後に、ただちに作業を再開するのは危険な場合がある。かつて、停止原因を除去した途端に産業用ロボットが動き出して、動作範囲内にいた人に対しケガを負わせた事故を起こしたことがある。異常の原因を除去した後でも、動作を再開してよいかを適切に判断してから動作させるべきである。

【問5】(サービスロボットのフォールトトレラント)

《解 答》
(B)

《解 説》
 フォールトトレラントは、障害が起きても作業を継続できる機能である。ロボット用モータのAC化は故障率の低下や平均故障間隔時間(Mean Time Between Failure:MTBF)の長期化などの効果はあったが、故障時の耐性には関係がない。また電源の緊急遮断時の対応は、システムの保全の意味で重要であるが、事故後も作業を継続するものではない。
 制御の異常監視システムも暴走防止に有効であるが、同様に障害時に作業を継続させるものではない。




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