連載 4肢選択で理解する!サービスロボット安全技術講座

2011.01.11
第4回 リスクアセスメント規格 本質的安全設計とその他の保護方策【設問編】

【問題作成&解説】
長岡技術科学大学
システム安全系 准教授 木村哲也
安全安心社会研究センター 客員研究員 岩岡和幸

※解答&解説は末尾をクリックして下さい。

【問1】(リスクアセスメント)

国際安全規格ISO 12100-1:2003(機械類の安全性 -設計のための基本概念、方法論- 第一部:基本用語、一般原則)において、リスクアセスメントの内容が述べられている。サービスロボットのリスクアセスメントを実施するに当たり、最も適切な説明を次の中から1つ選べ。
 
(A)
サービスロボットは現状、世の中にあまり多く普及していない。すなわち、使用実績がほとんどない状態である。したがって、製造側に対してリスクアセスメントは要求されていないし、使用者側も製造側に対しリスクアセスメントを要求してはならない。

(B)
サービスロボットのリスクアセスメントを実施するに当たり、危険と思われそうな個所を見つけ出す前に、ロボットが誰にどのような使われ方をするかなど、使用される想定環境を決めることが先である。

(C)
サービスロボットのリスクアセスメントとは、危険と思われそうなところをとにかくリストアップし、安全にすることである。

(D)
リスクアセスメントを行う前に、まずロボットの取扱説明書を作成し、その内容に『やってはならない警告内容や注意内容』をすべて列挙し、使用者側に安全教育を徹底できるような構成にしなければならない。

【問2】(3ステップメソッド)

サービスロボットのリスクアセスメントを実施した後、そのロボットを使用者が受け入れるためには、ロボットをある一定基準(使用者が受けれ入れられる基準)まで安全化対策しなければならない。この作業を通常「保護方策」と呼ぶ。それについて最も適切に説明したものを次の中から1つ選べ。

(A)
サービスロボットは、使われ方や使用頻度がまちまちなので、保護方策はロボットの用途に合わせて使用者側の全責任で実施しなければならない。そのため、メーカーは使用者への情報提供として、取扱説明書などに危険と思われる内容を文書で示さなければならない。

(B)
リスクアセスメントによってロボットの危険個所が顕在化され、これらに保護方策を施すに当たり、まず考えなければならないのが保護方策の費用対効果である。費用をかけても効果に値するだけの安全価値がなければ、保護方策は実施しなくてもよい。

(C)
ロボットの保護方策を施す順番として一番に考えなければならないのが、何としてでも安全なロボットにすることである。そのため、安全対策に用いられる各種センサや機械的な保護方策物を用いて、使用者に安全を約束しなければならない。

(D)
ロボットの保護方策を施す順番として一番に考えなければならないのは、本質的に適切な安全設計になっているかである。上流の設計段階で適切な安全設計がなされていれば、最終的にはコスト低減にもつながる。

【問3】(非制御手段による本質的安全設計方策の適用例)

サービスロボットの安全性を本質的安全の設計方策を用いて実施する場合、国際安全規格にもとづく説明として適切でないものを次の中から1つ選べ。

(A)
サービスロボットはひと目に触れることが多く、デザイン性が高く要求される。ゆえに、視認性や傷害を生じるような機械の部位や機構的部分は、デザインを優先させることもあり、あまり重要視しなくてもよい。

(B)
サービスロボットは人と接する場面が多いため、危険な可動要素の作動力の制限や種々のエネルギーの制限など、人に傷害を与えないようなレベルに設計しておかなければならない。

(C)
サービスロボットの設計時に機械的結合の安全性を考える場合、強固な結合方法を用いた設計が推奨されている。強固な結合とは「ポジティブな機械的結合」と呼ばれ、直接的に力を伝達したり、剛性要素を介して他の機械的構成品に連動させたりすることである。

(D)
移動体のサービスロボットは、様々な路面環境を行き来することが想定される。そのため、要求される路面環境に加え、その他想定される路面を含む環境に対応できる設計にしておかなければならない。また、傾斜など重量バランスが影響するような環境下では、その対策も考えておかなければならない。

【問4】(制御システムへの本質的安全設計方策の適用)

制御システムを保護方策として用いて、サービスロボットの安全性を向上させる際の考え方として、国際安全規格にもとづく説明として不適切なものを次の中から1つ選べ。

(A)
機構運動の停止は、電圧の除去または低減により実行すべきである。すなわち、エネルギーの最も高い状態を2値理論の「1」で表すなら、「1」の状態から「0」の状態に移行することにより停止が実現されるべきである。

(B)
制御システムが危険を検知してロボットの電源を遮断した場合、電源を再度投入しただけでロボットが動き出すことがないよう制御システムを構築しなければならない。

(C)
自己診断システムを制御システムに導入して不具合を検出することは、システムを複雑化し信頼性を低下させるため好ましくない。制御システムの診断は保守作業として行うべきである。

(D)
制御システムを保護方策として用いる場合は、その妥当性を確認する手段についても設計者が考えなければならない。

【問5】(保護装置の安全設計方策への適用例)

自律移動型のサービスロボットが人に衝突するリスクを低減するために、非接触型センサを用いて人を検知し、衝突を回避する保護方策を考える。この保護方策の国際安全規格にもとづく説明として、最も適切なものを次の中から1つ選べ。
 
(A)
センサ系の故障により生じるロボット全体の故障が安全側故障(例:ロボットがセンサ故障時に停止する)になるか、危険側故障(例:ロボットがセンサ故障時に暴走する)になるかは、どのようなセンサ系でも1/2の確率と考えて安全設計をすべきである。

(B)
非接触型センサを二重化する際、動作原理の異なる光センサと超音波センサの併用はシステムを複雑にし信頼性を低下するので、安全設計上好ましくない。

(C)
信頼性のある構成品を利用して保護方策の故障率を最小化することは、本質的安全設計方策の1つといえる。

(D)
バッテリーが適切なエネルギーを供給することはバッテリーメーカーの責任であるから、この保護方策を設計するうえで、センサにエネルギーを供給するバッテリーの電圧変動は考慮する必要はない。

第4回「リスクアセスメント規格 本質的安全設計とその他の保護方策」解答&解説編】へ




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