【問題作成&解説】
長岡技術科学大学
システム安全系 准教授 木村哲也
安全安心社会研究センター 客員研究員 岩岡和幸
【問1】(安全と倫理)
《解 答》
(C)
《解 説》
技術者にとっての倫理的判断は、技術者と社会との「価値共有」につながるものであり、技術者倫理は、開発技術が社会に受け入れられ、かつ持続的に発展するために重要である。
サービスロボットでは、使用者や使用環境、使用方法が多様であるため、既存の法律や技術規格の単純な適用により安全上の判断を十分に行うのが困難である。したがって、サービスロボット開発技術者は、状況に応じて倫理というより普遍的な価値基準にもとづき、安全技術上の判断を行うことが求められる。すなわち、倫理にもとづいた安全上の判断は、人道的見地からだけでなく、技術の持続的発展の観点からも重要である。
【問2】(技術基準とリスクアセスメント)
《解 答》
(D)
《解 説》
工場外で利用されるサービスロボットであっても、介護や清掃といった業務で利用される場合は、労働安全衛生規則などの労働安全関連法令が適用される。法令の規制範囲外となるなら何をしてもよいわけではなく、開発するロボット(産業用ロボットとサービスロボットの双方)のリスクに応じた安全方策が、設計者責任として求められる。適切な安全方策を実施するためには、リスクアセスメントが必要である。
労働現場でもリスクアセスメントの重要性は増しており、2006年の労働安全衛生法改正では、リスクアセスメントの実施は事業主の努力義務とされている。
【問3】(安全認証)
《解 答》
(B)
《解 説》
安全認証の手順の概要は次の通りである。
(1)製品の製造者が、認証された手順と機関で認証用データを収集
(2).製品の製造者が認証用データを認証機関に提出
(3)認証機関が、提出用データと技術規格に従い、安全認証を実施
このように、安全認証には製品の製造者以外も関与することになるが、安全認証の有無に関わらず、製品事故の主たる責任は製造者にある。認証手続きに重大な誤りがなければ、事故の責任を認証機関が問われることはない。製品の製造者にとって安全認証を受ける利点は、安全認証により自己の安全設計の妥当性を事前に確認することにより事故発生後の様々な混乱を避ける(リコールなどを防ぐ)ことにある。
【問4】(安全の事前責任と事後責任)
《解 答》
(C)
《解 説》
安全の事前規制を導入することで、事前に一定の社会コストが必要になるものの、事故発生後の混乱の減少が期待されることから、安全の事前規制は国際的に広く用いられている。安全の事前規制では、欧州のCEマーク制度が有名であるが近年、中国や韓国でも類似のマーク制度(中国はCCCマーク、韓国Sマーク)を導入している。米国は、事故の損害賠償裁判で高額な懲罰的賠償金を認めることで、実質的に安全の事前規制を導入している。
一方、日本では安全の事前規制は一部を除いてなく、また、事故への懲罰的賠償金を認めていないため安全の事前規制は弱い。サービスロボットは、使用者および使用環境等の多様性から、事故発生時の混乱が一般製品以上に懸念される。したがって、適切な安全の事前規制が、サービスロボット市場の持続的発展には必要と考えられる。
【問5】(安全確認型と危険検出型)
《解 答》
(D)
《解 説》
踏切の安全システムを構築する場合、安全確認型システム(安全が確認されたときのみ、安全情報を列車に送り踏切通過を許可するシステム)と危険検出型システム(危険が検出されたとき、危険情報を列車に送り列車を停止するシステム)の2つが考えられる。センサの故障などにより必要な情報伝達ができなくなった場合、前者は列車が停止するだけだが(安全側故障)、後者は踏切事故の可能性が生じる(危険側故障)。システムは必ず故障するが、安全側故障を許し、危険側故障を許さないのが、国際安全規格にもとづく安全設計の基本である。サービスロボットの設計でも安全確認型でシステム設計を進めるべきである。
多くの事故の原因にヒューマンエラーが含まれているが、人の信頼性は機械システムと比較して著しく低いため、安全システムの設計では、人的側面より技術的側面に重きを置くのが国際安全規格にもとづく安全設計の基本である。非常停止ボタンの有効性は人に大きく依存するため、踏切の安全確保では、その重要性は障害物センサより低いと考えられる。

ビジネスライン














