東京電力は、4月18日に福島第一原発2号機原子炉建屋地下にトピー工業の探査ロボット「Survey Runner(サーベイランナー)」(詳細はこちら)を投入し、格納容器下部の圧力抑制プールを収納するトーラス室の調査を実施した。原子炉建屋地下にロボットがアクセスするのは初めてで、圧力抑制プールの上部の通路を周回し、搭載カメラを用いて放射能汚染水の漏洩が想定される個所などを調査した(動画1、2、図1~4)。ロボットが調査した範囲では設備の損傷や汚染水の漏洩個所を確認できなかったとしており、別の個所の調査に向け調査方法などを再検討する。
動画1 トーラス室北東側マンホール付近の調査など(東京電力提供)
動画2 トーラス室北東側下方での水面の調査など(東京電力提供)
トーラス室は、直径約34mのドーナツ状の圧力抑制プールを収納する部屋で、原子炉建屋の1階と地下1階の間に位置する。
燃料デブリ(核燃料が炉内構造物の一部を溶融し、 再度個化したもの)の取り出し作業に向け、トーラス室や格納容器などの漏洩個所を補修し、格納容器下部を水張りすることを計画しており、まずは漏洩個所の特定が求められている。
今回の調査では、作業用のマンホールからの漏洩を想定して調査したが、大きな損傷や水漏れなどが確認できなかった。また、トーラス室のごく一部の調査にとどまっており、圧力抑制プールそのものの損傷などの確認には至っていないことから、調査個所ならびに調査方法の再考が求められる(図1)。
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図1 アクセスルート(左)とトーラス室の雰囲気線量(右)(東京電力提供)
調査に利用したSurvey Runnerは、原子炉建屋地下でのミッションを想定して幅700mmの踊り場での旋回に加え、リアフリッパー(後方サブクローラ)のみで段差235mm、昇降角45度の濡れた階段の昇降を可能にした。東電は昨年6月に千葉工業大学などの「原発対応版Quince(クインス)」を用いて、2号機原子炉建屋地下の汚染水の採取を試みたが、Quinceの仕様上、物理的に踊り場の旋回が不可能だったためアクセスできなかった。移動機構の大幅な小型化により、地下にアクセスする途中にある狭い踊り場での旋回を可能にした。
「原発対応版Quince(クインス)」と同様、有線通信装置に加え、バックアップ用として無線通信機能(2.4GHz帯)を搭載しており、万一、原子炉建屋内でスタックした際は、それぞれの無線通信による支援を受けて救助することがで可能。また有線通信は、東京消防庁 ハイパーレスキューに納品実績のある自動巻取・繰出装置を備えるタイプを使用しており、張力を自動調整できるため光ファイバーケーブルが絡むリスクが小さく、最大で400m離れたところから遠隔操作ができる。
本体前方にPTZ(パン・チルト・ズーム)カメラを1台備えるほか、上部に広角カメラ4台を搭載しており、今回の調査ではPTZカメラを用いてトーラス室を撮影した。
東電は、翌4月19日に3号機原子炉格納容器の機器ハッチの漏洩調査を実施している。シールドプラグと原子炉建屋のすき間からイメージスコープを挿入して、機器ハッチのフランジの漏洩を確認したが、その挿入作業に当たっては、昨年のQuinceによる調査結果を役立てている(詳細はこちら)。
図2 トーラス室の調査結果1(東京電力提供)
図3 トーラス室調査結果2(東京電力提供)
図4 トーラス室調査結果3(東京電力提供)
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