公共/フロンティア

 東京電力は、4月18日に福島第一原発2号機原子炉建屋地下にトピー工業の探査ロボット「Survey Runner(サーベイランナー)」(詳細はこちら)を投入し、格納容器下部の圧力抑制プールを収納するトーラス室の調査を実施した。原子炉建屋地下にロボットがアクセスするのは初めてで、圧力抑制プールの上部の通路を周回し、搭載カメラを用いて放射能汚染水の漏洩が想定される個所などを調査した(動画12図14)。ロボットが調査した範囲では設備の損傷や汚染水の漏洩個所を確認できなかったとしており、別の個所の調査に向け調査方法などを再検討する。

動画1 トーラス室北東側マンホール付近の調査など(東京電力提供)

動画2 トーラス室北東側下方での水面の調査など(東京電力提供)

 トーラス室は、直径約34mのドーナツ状の圧力抑制プールを収納する部屋で、原子炉建屋の1階と地下1階の間に位置する。
 燃料デブリ(核燃料が炉内構造物の一部を溶融し、 再度個化したもの)の取り出し作業に向け、トーラス室や格納容器などの漏洩個所を補修し、格納容器下部を水張りすることを計画しており、まずは漏洩個所の特定が求められている。
 今回の調査では、作業用のマンホールからの漏洩を想定して調査したが、大きな損傷や水漏れなどが確認できなかった。また、トーラス室のごく一部の調査にとどまっており、圧力抑制プールそのものの損傷などの確認には至っていないことから、調査個所ならびに調査方法の再考が求められる(図1)。

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図1 アクセスルート(左)とトーラス室の雰囲気線量(右)(東京電力提供)

 調査に利用したSurvey Runnerは、原子炉建屋地下でのミッションを想定して幅700mmの踊り場での旋回に加え、リアフリッパー(後方サブクローラ)のみで段差235mm、昇降角45度の濡れた階段の昇降を可能にした。東電は昨年6月に千葉工業大学などの「原発対応版Quince(クインス)」を用いて、2号機原子炉建屋地下の汚染水の採取を試みたが、Quinceの仕様上、物理的に踊り場の旋回が不可能だったためアクセスできなかった。移動機構の大幅な小型化により、地下にアクセスする途中にある狭い踊り場での旋回を可能にした。

 「原発対応版Quince(クインス)」と同様、有線通信装置に加え、バックアップ用として無線通信機能(2.4GHz帯)を搭載しており、万一、原子炉建屋内でスタックした際は、それぞれの無線通信による支援を受けて救助することがで可能。また有線通信は、東京消防庁 ハイパーレスキューに納品実績のある自動巻取・繰出装置を備えるタイプを使用しており、張力を自動調整できるため光ファイバーケーブルが絡むリスクが小さく、最大で400m離れたところから遠隔操作ができる。

 本体前方にPTZ(パン・チルト・ズーム)カメラを1台備えるほか、上部に広角カメラ4台を搭載しており、今回の調査ではPTZカメラを用いてトーラス室を撮影した。
 東電は、翌4月19日に3号機原子炉格納容器の機器ハッチの漏洩調査を実施している。シールドプラグと原子炉建屋のすき間からイメージスコープを挿入して、機器ハッチのフランジの漏洩を確認したが、その挿入作業に当たっては、昨年のQuinceによる調査結果を役立てている(詳細はこちら)。

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図2 トーラス室の調査結果1(東京電力提供)

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図3 トーラス室調査結果2(東京電力提供)

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図4 トーラス室調査結果3(東京電力提供)


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 鹿島は18日、遠隔操作により建設機械10台を運用できる無人化施工システムを開発。福島原発事故に伴う3号機原子炉建屋上部の瓦礫解体および撤去工事に適用したと発表した。従来、無人化施工による遠隔操作は100m程度が限界だったのに対し、有線通信と無線通信のハイブリッドネットワークにより500m離れた場所からの遠隔操作を可能にした(写真は遠隔操作室)。現在、福島原発では建屋周囲に4台の通信基地局を設置し、500m離れた遠隔操作室から解体用重機8台とクローラクレーン2台を同時に運用している(下図)。

kajima_0419.jpg 作業エリア周囲に張り巡らした光ファイバーケーブルとメッシュ型無線LANによるハイブリッドネットワークにより500m離れた場所からの遠隔操作を可能にした。機動性が求められる解体重機は無線通信により、微妙な制御が求められるクローラクレーンは光ファイバーケーブルによる有線通信によりそれぞれ操作している。建屋上部の瓦礫撤去に使用している吊り下げカッターや油圧クラブバケットなどの操作については、クローラクレーンのジブ(ブームともいう)にアンテナを設置し、無線通信により正確な制御を行っている。

  また、キャビン内外に複数大の監視カメラやマイクを設置し、映像や作動音を確認できるようにすることで運転席に乗り込んでいるような操作性を実現した。従来、解体部材の撤去などに使用する大型クローラクレーンは、操縦席パネルの表示を見ながら操作するため、他の重機の要に操作信号の送受信のみでは安全な運用が困難だった。
 さらに、無人での燃料供給を可能にするワンタッチ給油装置も開発。ワンタッチ給油口と燃料タンクガイドが設置されており、クレーン操作により燃料タンクガイドに燃料タンクを挿入することで燃料の供給が行える。

 鹿島によると、複数台の重機に対応する遠隔操作システムは初。重機1台に5~6台設置したカメラ映像を高精細かつ同時送信するため、光ファイバーでギガbitレベルの通信容量を確保したとしている。

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 無人化施工システムによる原子炉建屋上部の瓦礫解体および除去のイメージ(出典:東京電力)


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 日本原子力研究開発機構(JAEA)は、福島第一原子力発電所事故により高線量の放射性物質に汚染された原子炉向けの除染ロボット(はイメージ、JAEA提供)と、溶融した燃料の場所を特定するロボットをそれぞれ開発する。JAEAが得意とする耐放射線技術と除染技術を生かして開発するもので、除染ロボットは遠隔操作により数百~数万Svの耐放射線に対応させ、除染後の毎時線量値1~5mSvを目指す。溶融燃料の場所を調べるロボットは格納容器内部にレーザ光を照射し、反射光を分光計で読み取ることで特定する。ともに2014年度をめどに実用化を目指す。

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 開発する除染ロボットは、JAEAがこれまでに試作した原発災害ロボットの足回りとなる駆動機構をベースに、福島第一原子力発電所原子炉建屋内の除染用として開発する。
 駆動機構に載せたタンクと直結したスプレーから毎分4.7リットルの水を噴霧して除染する。除染後の線量値は作業者の限界となる被曝量を想定し、毎時1~5mSvを目指す。例えば、除染後の目標値を同1mSvとする場合、除染ロボットを使用する作業員の被曝限度は1日当たり2時間の作業で、25日間の除染が目安になるという。

 また、溶融燃料の場所を特定できる格納容器調査用ロボットは、光学カメラに光ファイバーケーブルを接続した内視鏡のようなシステム。作業員が同システムにつながった操作卓を操作して、計測個所にレーザ光を照射し、その反射光を分光計で読み取ってウランなどの溶融燃料の場所が特定できる。
 CCDカメラに銅線ケーブルを接続して汚染場所などを撮影するのに対して、データの解像度は1桁以上低下するが、画像データを数十~数百枚撮影し、電子的に処理することでCCDによる撮影と遜色ないようにするという。


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 イクシスリサーチの山崎文敬社長は、神奈川県などが主催した「平成23年度ロボット実証実験等成果報告会」で、「ロボット等新製品開拓事業」(神奈川県)で開発した点検・検査ロボット向けモジュール(写真は一例)を紹介。開発経緯として、過去に取り扱っているロボット製品をそのまま導入したユーザーはなく、ニーズへの即応性が要求されるためとした。また、点検・検査の現場ではロボットによる“省力化”は、業務の縮小につながるとの認識が根強く、「省力化での導入例は1つもない」。それを避けるよう「現場作業者にサポートしてもらうことを前提としたシステム構成にしている」と、独特の提案になっていることを明かした。同社の点検・検査ロボットには簡素なものが多いが、こうした背景があることが伺えた。

ixs_0409.PNG 同事業では、クローラロボットに搭載可能なPT(パン・チルト)カメラ雲台とサスペンション付き全方位移動台車(写真)を開発した。
 点検・検査業務では目視検査の実施が定められており、高所や狭隘部などでの写真撮影のニーズが高い。通常は、作業者がデジタルカメラを用いて連続的に撮影・記録し、異常が発見された個所に対して詳細検査を実施するが、位置情報が欠落しているために該当個所の特定に時間を要している。

 全方位移動台車に実装したオドメトリ(*)により位置および方向の特定を容易にした。同社ではデジタルカメラで連続撮影した画像をパノラマ展開し、全景を1枚の映像として保存するようにしており、これに位置情報を付加して提供することができる。また、サスペンションの搭載により車輪の空転を抑制し、位置情報の推定にかかる精度を向上した
  同社では、すでにクローラ型ロボットや左右独立2輪ロボット、ロボットアームを保有しており、今回の開発で検査業務でのニーズに対し、より柔軟に対応できるようになったとしている。

*:自己位置推定法の一種で、車輪の回転速度から移動速度を算出し、それを積分して位置姿勢を求める。

 また、成果報告会では点検・検査業務の特殊性にも触れた。請負企業は、設備設計・開発などを担当したエンジニアリング企業の孫請けである場合が多く、委託した範囲内で業務を遂行すればよいため、新たな技術を導入してコストダウンを図ろうとするマインドが希薄という。ゆえに、現場作業者にとって、省力化は自身の業務の縮小につながるとの認識が強く、運用試験に協力してもらえないばかりか、少しでも不具合が発生すれば「使えない!」との烙印を押したがるきらいにある。ゆえに、こうした提案で導入に至った例は、過去に1件もないという。

 そこで、同社では作業者の“身体の拡張”に焦点を当て、かつ現場作業者にサポートしてもらうことを前提としたシステム構成を提案している。身体の拡張とは、一例をあげると、足場を必要とせずに高所や狭所などの目視検査を可能にすることであり、また、作業者のサポートを前提に開発をすれば、ロボットを簡素かつ低コストにできるうえ、導入に向け現場作業者の理解を得やすくなる。結果的に、提案する点検・検査ロボットは「いわばラジコンカーのように簡素なものとなるが、便利なうえに継続して使ってもらえる」(山崎社長)と、開発ノウハウの一端を明かした(動画は一例)。

  なお同社では、先月16日付けの記事で紹介したように、点検・検査ロボットの開発・提供だけではなく、これらを活用した検査業務を請け負い、検査結果の提供にも対応することを計画している。

動画 首都高速道路技術センターなどと共同開発した橋梁鋼床版超音波探傷ロボット「SAUT ROBOT」。永久磁石により鋼床版デッキ面に背面吸着しながら走行し、超音波探傷により検査を行う。シンプルなシステム構成だが、検査品質の向上や作業者の負担軽減などに貢献している。


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 明治大学 理工学部の黒田洋司准教授は、神奈川県などが主催した「平成23年度ロボット実証実験等成果報告会」で、遠隔操作タイプの放射線観測ロボット「CERES(セレス)」の実証実験の結果を報告(動画)。遠隔操作による走行制御や、計測データのサーバへの自動アップロードなど基本機能を検証できたことを紹介した。一方で、曇天が続くとソーラーセルから十分な電力が得られず、早々にして運用困難になることが明らかになったが、想定内の課題であり、開発の方向性に問題がないことを確認できたという。
 夏頃をめどに本格的な試作機1号機を開発し、さらなる実証実験を通じて、システムの信頼性を高める。将来的には、福島第一原子力発電所の20km圏内での線量計測を想定しており、複数台の運用を可能にすることで広域での観測に対応する。

動画 3月7日に川崎市の川崎マリエンで実施した実証実験の様子

 3月14日付けのニュース記事で紹介したように、宇宙探査ロボットなどの研究成果を活用して開発した。ソーラーセルとリチウムイオンバッテリとの組み合わせによる電源管理システムには、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙機に搭載されているものと同様の回路パターンを実装(図1)。また、小型PCには小型ローバー「MINERVA(ミネルバ)2」に搭載されるものと同等のシステムを使用している(システムの詳細はこちらを参照)。

 当初よりソーラーセルから得られる電力が限られており、車体構造を“華奢に”にせざるを得ないとの想定から、実物大のモックアップで動作検証を繰り返すという開発スタイルをとった(図2)。ソフトウエア開発の世界でいえば、「ウォーターフォール型」ではなく「反復型」の開発スタイルを採用したようなイメージで、モックアップ上でソーラーセルの追尾機構を検証したり、荒れ地での走行を通じて、駆動モータのトルクやハードウエアの堅牢性などを確認したりしてシステムをつくり上げた。

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CERESの電力制御システム(図1、左)。4並列のソーラーセルで変換した電力をMPPT(最大電力追従点)回路とBDDU(バッテリ電力制御器)を経由してリチウムイオンバッテリ充電する。CERESの試作機(図2、右)

 実証実験では、明治大学生田キャンパス(川崎市多摩区)から、会場となった川崎マリエン(川崎市川崎区)に設置したCERESの遠隔操作を試みた。GPSとIMU(慣性計測装置)を搭載しており、これらをもとにPCや携帯端末を用いて、実際に走行制御できることを確認している。
 また、車体前方に搭載したステレオカメラでトラバーサビリティ(踏破可能性)を評価しながら走行できることをも検証している(図3)。ステレオカメラにより約2万6,000点の点群データを取得し、生成したパッチ面に対してトラバーサビリティを評価。2次元データに変換して走行しやすい経路を生成して走行する(図4)。段差や傾斜が大きい個所は赤く表示され、これらを回避して走行することができる。

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搭載したステレオカメラ(図3、左)と、トラバーサビリティの評価結果(図4、右)。段差や傾斜が大きく、踏破困難と判断すると赤く表示される

  実験当日はあいにくの曇天だったため、16時すぎにはスリープモード(省電力モード)に移行して電力消費を抑えたが、改めて夜間の消費電力が課題であることを確認できた。スリープモード時は、1時間に6分間起動してヘルスモニタリングを実行するのみだが、それでも3W程度の電力を消費する。1週間ほど曇天が続けば復帰できなくなる可能性がある。すでに構想しているシステム案では、10日間程度はバッテリのみで稼働することができ、少なくとも1カ月間の単独運用に耐えるとしている。
 また、CERESは線量計に加え、風向・風速などの気象センサを搭載するが、ヘルスモニタリング時しか計測できていない。今後はセンサのみは常時稼働し、起動時にメモリに蓄積した計測データをアップロードできるように改めるとしている。

 今後は、実証実験の結果を踏まえ、夏頃をめどに本格的な試作1号機を開発。これをベースにシステムの信頼性の向上に取り組む。具体的な取り組みとして、ソフトウエアについては、通信が途切れた際の対応を想定した自律機能の拡充などに、ハードウエアについては、さらなる軽量化と耐環境性能の向上、電力とモータ出力とのバランスの改善などに、それぞれ取り組むことを予定している。
 試作1号機が完成した後は、2台1組での運用を可能にする連携機能を追加する。さらに、福島県での実運用を目指して、3台以上の運用を可能にする連係機能を構築し、大規模な実証実験にも取り組む(図5)。

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図5 複数のCERESによる高域での同時計測のイメージ


CERES(Continuous Environmental Radioactive Emission Surveyor)


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  海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、有人潜水調査船「しんかい6500」の改造を完了した(写真)。後部メインスラスタ(推進器)を従来の旋回式大型1台から固定式中型2台に変更するなど、スラスタの増設により運動性能を向上し、かつジョイスティックによるスラスタの複合操作をできるようにした。地形が複雑な個所での試料の採取や、各種測定器の正確な設置が可能になる。改造費は6億9,000万円。

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 今回の改造は、2008年度から実施しているテレビカメラのハビジョン化などに続くもので、2011年11月よりスラスタの増設などに着手してきた。
 具体的には、後部メインスラスタを固定式中型2台に増設したほか、水平方向のスラスタを後部に1台追加し、従来の4台から6台に増設した(写真)。また、ジョイスティックによる全スラスタの複合操作を可能にすることで全方向への移動を可能にし、かつスラスタの駆動モータをブラシレスDCモータに変更することでレスポンスを高めた。

 運動および操縦性能の向上により、複雑な熱水噴出域や垂直に切り立った崖での試料採取や海底での各種計測機器の正確に設置など、従来機では困難だった調査観測が可能になる。今後、4月中旬までに実海域での機能確認や乗員の慣熟訓練を実施し、同月下旬より調査潜航に入る。


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 東京電力は、3月21日に福島第一原子力発電所2号機原子炉建屋1階で、千葉工業大学の原発対応ロボット「Quince(クインス)2号機」を用いて、中性子計測装置などを収納する「TIP(移動式炉心内計装系)室」を調査したと発表した(動画写真)。代替温度計の設置に向けた現場調査の一環で、原子炉圧力容器につながるTIP系統機器に目立った損傷が見られないことを確認した。圧力容器につながる配管から代替温度計を投入することを検討しており、今後の計画立案に役立てる。

動画 原発対応版Quinceを用いた実施した、2号機原子炉建屋1階のTIP室の調査の様子(東京電力提供)

 代替温度計の設定に向け、3月15日と16日、21日と22日の4日間にわたり計6つのエリアで調査を実施(図12に掲載のA~Fを参照)。22日のTIP室のみをQuinceを用いて調査した。
 東電は2月15日に、経済産業省 原子力安全・保安院に今後の対応策として「冷温停止状態の維持を確認するための指標及び適用の考え方」を提出し、その中で代替温度計の設置に向け優先順位を示している。上位に示した2項目について、それに即して調査を行った。

tepco_0323.jpg Quinceによる調査では、TIP室にアクセスする途中にPCV(圧力制御弁)内部調査用機材があり、乗り越えが困難なホース類などがあることから、その部分のみ作業者がQuinceを搬送した。Quinceがホース類にアクセスするタイミングを見計らって作業者が原子炉建屋内に入って搬送を行い、搬送を終えた後は、すみやかに建屋内から退去した。TIP室への行きと帰りの2回にわたり搬送作業を行っている(図3)。また、動画ではTIP室に進入する際に、作業者が扉を開けていることも確認される。こうした運用により、TIP系統機器に目立った損傷がないことを確認した。
 Quinceは同時に線量計測も行っており、ダストサンプリングの結果はこちらで公開されている。

 今回、計6つのエリアで調査を行ったが、代替温度計の設置箇所(配管系統)および個数は検討段階としており、また、設置作業の開始がいつになるかも不明としている。

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図1 代替温度計設置に向けた原子炉建屋1階の調査結果。4つのエリアを調査した(東京電力提供)

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図2 原子炉建屋2階の調査結果。2つのエリアを調査した(東京電力提供)

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図3 QuinceがTIP室にアクセスしたルートと作業者が搬送したエリア(東京電力提供)


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 イクシスリサーチは、かわさき・神奈川ロボットビジネス推進協議会などによる実証実験で、昨年4月に開発した、高所狭隘向け検査ロボット「ZigZag(ジグザグ)」を公開した。独立4輪ステアリング機構に伸縮昇降装置を搭載しており、パンチルトカメラにより最大5mの高さから任意に移動して目視検査が行える(動画)。同ロボットの利用により高所検査でなされる足場の設置が不要となり、検査業務の高効率化と低コスト化につながる。おもに石油化学プラントや発電所などの高所配管の目視検査に向け提案する。

 同社の独立4輪全方位移動ロボットプラットフォーム「iWs12」に伸縮昇降装置を搭載した(写真12)。本体にコイル状に収納した3枚の金属プレートを繰り出し、互いに噛み合わせることで、三角柱型のアームを形成して昇降することができる(写真3)。三角形状の断面を形成するため、搭載したパンチルトカメラなどを、最大5mの高さまで安定して昇降することが可能。全方位移動が可能なため、任意に移動しながら高所や狭隘部で検査が行える。

 遠隔操作にも対応しており、FOMA回線経由で操作することが可能。光ファイバーケーブルにより有線による遠隔操作も行える。実証実験の会場となった川崎マリエン地下1階のボイラー室ではFOMA回線による操作が困難なため、無線LAN通信で操作し、3m程度の高さにある配線ラックの目視検査を行った。

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伸縮機構を伸ばしはじめた状態(写真1)と約3mの高さまで伸ばした状態(写真2)。伸縮昇降装置の金属プレートの噛み合わせ部(写真3

 同ロボットの運用方法については、パンチルトカメラで撮影した画像情報をいったん事務所に持ち帰り、熟練作業者を交えてレビューする方法をイメージしている。熟練作業者の勘と経験を生かしつつ、過去の画像情報と比較・参照しつつレビューできるため、より定量的な検査業務が可能になる。また、撮影した画像情報を図面データと照合しておくことで撮影ポイントを保存することができ、検査にかかる業務管理も容易に行える。もちろん、遠隔操作が可能なためリアルタイムに目視検査することもできる。

 撮影した画像情報をパノラマ画像に切り換えるなど、検査業務に応じて任意に加工することができ、イクシスリサーチではZigZagの提供だけではなく、同ロボットを活用した検査業務を請け負い、検査結果の提供にも対応するとしている。
 同ロボットの重量が100kgあるため、不安定な場所での運用には向かないとするが、高所検査に幅広く利用することができ、石油化学プラントや発電所の配管の一次検査でなされる目視検査で効果を発揮すると見込まれる。


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 東京電力は、福島第一原子力発電所4号機の使用済み燃料プール内の瓦礫調査に遠隔操作式の水中探査機(Remotely Operated Vehicle:ROV)を使用する。3月13~15日にかけてプール内の事前確認などを行い、19~21日の3日間にわたって瓦礫調査を実施する。これまで原子炉建屋内の調査には、米iRobot社の「PackBot(パックボット)」や千葉工業大学の「原発対応版Quince(クインス)」など地上探査型ロボットを使用してきたが、水中探査機(水中ロボット)の適用は初となる。また、4号機原子炉底部の瓦礫調査にも、状況に応じてROVの使用を予定する。

 日立GEニュークリア・エナジーが提供した。複数台のスラスタを搭載しており、遠隔操作により移動しながら水中探査が行える。調査では、使用済み燃料プールを覆うフロートの開口部から投入し、オペレーティングフロアからの遠隔操作により瓦礫の分布状況を確認する(図1)。ROVの状況を把握するため、俯瞰カメラとして水中カメラも投入する。

 また、4号機原子炉底部の瓦礫調査も行う。使用済み燃料プール内の燃料取り出した際に、制御棒などを原子炉底部に移動することを計画しており、その可否を確認する。作業台車の上から水中カメラを投入し、適時カメラの首振り度操作を行いながら原子炉底部の瓦礫の状況を調査する(図2)。水中カメラのみで対応できない場合は、ROVを使用することを予定している。

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図1 4号機使用済み燃料プール内の瓦礫調査の概要(図提供:東京電力)

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図2  4号機原子炉底部の瓦礫調査の概要(図提供:東京電力)


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 明治大学 理工学部の黒田洋司准教授らは、かわさき・神奈川ロボットビジネス推進協議会などによる実証実験で、遠隔操作により長期間にわたって線量計測などが行える移動ロボット「CERES(Continuous Environmental Radioactive Emission Surveyor、セレス)」の試作機(動画写真)を公開した。携帯回線(FOMA回線)でインターネットに接続することで、計測した放射線データや気象データを送信することが可能。GPSの座標データおよび方位角などの情報も送信するため、PCや携帯端末(スマートフォン)を用いて遠隔操作することができる。また畳一畳程度のソーラーセル(約180W、左右40度まで傾斜して太陽光を追従可能)とリチウムイオンバッテリを搭載しており、長期間にわたって単独で運用することができる。

 将来 的には、1つの用途として、福島第一原子力発電所の20km圏内での線量計測を提案するが、まずは実証実験を通じてシステムの信頼性を検証し、夏頃をめどに後継機の開発につなげる。また、数十~数百台規模での広範囲な観測に向け、複数台による協調運転試験などにも取り組む。

ceres.jpg  宇宙探査ロボットなどの研究成果を活用して開発した。ソーラーセルとリチウムイオンバッテリとの組み合わせによる電源管理システムには、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙機に搭載されているものと同様の回路パターンを実装。また、小型PCには小型ローバー「MINERVA(ミネルバ)2」に搭載されるものと同等のシステムを使用した。

  GPSとIMU(Inertial Measurement Unit、慣性計測装置)を搭載しており、これらをもとにPCや携帯端末を用いて遠隔操作することが可能。Googleマップ上でおおよその位置および方位情報を管理することができる。GPSには、カナダHemisphereGPS社のDifferential GPS(DGPS)を使用。2つの受信機で測位した位置の差をもとに算出するため、好条件であれば位置情報精度1m以下を確保できる(写真1)。

 これ に加え、車体前方にステレオカメラを搭載することで、3次元計測により自己位置推定をしながら障害物回避を行うようにした(写真2)。具体的には、ステレオカメラで計測した段差や傾斜角、地面の粗さなどの3次元地図情報からトラバーサビリティ(踏破可能性)を評価し、走行しやすい経路を生成して走行している。Googleマップ上で目標位置を指定すれば、トラバーサビリティを繰り返し評価して、そこに向かって自律移動することができる。
 ただし、建物や木の陰などに入り込むとGPS信号を受信できない場合があるため、実運用時は複数台で運用する予定。また、より信頼性の高い自律移動や障害物回避に向け、ステレオカメラを2組の構成にしたり、レーザレンジファインダーを搭載したりすることも検討している。

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搭載したDGPS(写真1、左)とステレオカメラ(写真2、右)。ステレオカメラ計測した3次元地図情報からトラバーサビリティを評価して自律移動を行う。PCや携帯端末から遠隔操作が可能で、遠隔操作と自律移動を組み合わせた構成となっている

 ただ、公開した試作機にはいくつかの課題があるとしており、1つは夜間の消費電力。夜間はスリープモードへと移行し、その間は、1時間に6分間起動してヘルスモニタリングを実行するのみとしている。それでも3W程度の電力を消費するため、1週間ほど曇天が続けば復帰できなくなる可能性がある。現在、構想しているシステム案では、10日間程度はバッテリのみで稼働できるとしており、少なくとも1カ月間の単独運用に耐えるとしている。

 もう 1つは、FOMA回線による通信速度。フルスペックの1/10程度の通信速度に設定しており、条件が良ければ300kbps程度を確保できるとしているが、悪条件下での運用が見込まれる。実証実験を通じて、通信ソフトウエアの改善につなげたいとしている(写真3)。また、ソーラーセルのサイズや駆動モータ(DCモータ×4)の容量(写真4)など、慎重にパラメータを算出してシステム設計を行ったが、あくまで机上のものであるため、実証実験の結果を次回の開発に役立てたいとしている。
  そのほか実証実験では、スリープモードへの移行と同モードからの復帰、計測データの自動アップロード、遠隔操作や踏破性能などの評価を行った。

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スマートフォン上でカメラ映像を見ながら遠隔操作が行える(写真3、左)。4つのDCモータ(独maxon製)による4輪独立駆動方式となっている(写真4、右)

  将来的には、福島原発の20km圏内での長期モニタリングを目指すが、あくまで検討段階であり、関係省庁との調整などについて知見があれば提供してほしいという。まずは、夏頃をめどにハードウエアの信頼性を高めるとともに、無人運用試験や複数台による協調運用試験などに取り組み、新型CERESの開発につなげる。

 公開した試作機のサイズは縦2.2m×幅1.2m×高さ1.5mで、重量は60kg。最高速度は40cm/sec。放射線量計のほか、風向・風速・雨量などの気象観測機器や科学観測機器などを搭載する。車体構造には組立家具などを積極利用しているが、ジオメトリ(幾何形状)を調整しやすくすることを狙ったものであり、現在の設計パラメータは新型CERESの設計に踏襲されると見込まれる。なお、車体製作には「吉田いす」の開発で知られるメックデザインの井上和夫代表が協力した。CERESに関する情報や観測データはCERESホームページを参照してほしい。

CERES(Continuous Environmental Radioactive Emission Surveyor)


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