公共/フロンティア

2014.03.11
廃炉作業暗中模索、燃料取り出し・除染同時進行

 東日本大震災で事故を起こした東京電力・福島第一原子力発電所。1~6号機の廃炉が決まり、4号機では燃料の取り出し作業が始まった。効率的で安全な廃炉に向けて、科学技術の力、中でもロボット技術にかけられる期待は大きい。しかし、いまもなお高い放射線量が建屋内の詳細な調査や作業の進捗を妨げており、研究者らを大いに悩ませている。
 
 福島第一原発の廃炉において、通常の原発と最大の違いにして課題となっているのが、「事故炉である」という点。通常炉であれば過去の実績が応用できるが、事故炉ではそれができない場合が多い。そこで東電や他の電力会社、プラントメーカーなどで構成する国際廃炉研究開発機構(IRID)が、使用済み燃料プールからの燃料取り出しや、放射性廃棄物処理など、従来技術では対応が不可能な技術の研究開発を進めている。
 
 
 最大の焦点は、燃料などが炉心に溶け落ちた後に冷えて固まった「燃料デブリ」の取り出し。4号機では2013年11月から開始。3号機は現在瓦礫処理が始まり、2015年度にはデブリ取り出しに着手する計画。とはいえ容易ではない。現状でも建屋内の状況が明らかになっていないからだ。
 取り出しを確実かつ効率的に行う機器を開発するには、具体的な仕様を決定できる現場のデータが必須。ところが、環境把握のための機器を開発するにもデータが不足しているというジレンマに陥っている。「まだわかっていないことが多すぎる」というのが担当者らの本音。実際の現場と研究開発のギャップはまだまだ大きい。さらに、取り出したデブリの保管方法や方針が定まっていない点も、技術者を惑わせる要因の1つになっている。
 
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 IRIDが燃料デブリ取り出し代替工法の情報提供を求めた際に公開した原子炉圧力容器/格納容器(PCV/RPV)からの燃料デブリ取り出しに関する資料
 
 とはいえ、調査と除染による作業環境の整備、デブリ取り出しを同時進行で進めなければならないのは事実。そんな中、いまも期待されるのがロボット技術の活用。ゆっくりとではあるが、現状把握や除染試験などが進められている。これまでに水中ロボットや4足歩行ロボットなどが、トーラス室やベント管を調査。今年に入ってからは、三菱重工業の遠隔作業ロボットが除染作業や壁からコンクリートサンプルを回収する作業を実施した。   
 また、3月10日には日立製作所が、水中遊泳型と配管移動型の調査用ロボット2機種を披露。燃料取り出し作業に向けて、放射性物質を含む汚染水の漏えい箇所や容器内の破損状況、格納容器に残された燃料の状態などの調査の進展が期待される。
 
 
 中長期計画では、2013年度末にも除染ロボット技術の確立を目指す。また、2014年度はIRIDが蓄積してきたより多くの技術を導入し、さらなる作業ロボットも投入して漏洩個所の特定や止水に注力する。東日本大震災からはや3年。廃炉にかかるとされる30~40年の約1/10が過ぎた。慎重かつ着実な一歩が求められる。
 
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