インタビュー

2014.02.20
ロボットが生み出すサービスに対価を払う戦略を、米iRobot社CEO

 先進国で高齢化が進む中、生活支援を担う存在としてロボットに注目が集まっている。介護や医療、物流、警備など広い分野で活躍が期待されているが、実用化した例はまだまだ限られる。その中でお掃除ロボット「Roomba(ルンバ)」をヒットさせ、ロボットの家庭への導入をいち早く実現したのが米iRobot。会長兼最高経営責任者(CEO)のColin Angle(コリン・アングル、写真)氏に、ロボット社会実現への道筋を聞いた。
 
irobot_0220.jpg―「Roomba」は世界的なヒットとなりました。要因をどう見ますか?
 「ユーザーニーズを把握して製品開発していること。顧客はロボットが欲しいのではなく、部屋をきれいにしたいと考え、Roombaを購入する。そのため今度発売する新型機も、余計な機能を追加せずゴミの吸引能力を強化するなど掃除機としての性能向上をさらに追求した」
 
―Roombaに続く生活支援ロボットとして、どんな製品・分野に注力していますか?

 「ロボットを使ったリモート・プレゼンス(遠隔存在)分野だ。例えば、移動型ロボットが遠隔地にいる医師をその画面に映し出すことで、患者はそこに医師がいるかのごとく治療を受けることができる。すでに米国やメキシコの50カ所の病院で稼働している。現在は病院向けのみだが、今後は企業の会議で使うモデルも発売する。北米のみならず、いずれは全世界で販売したい」

 
―日本は介護分野のロボット導入拡大を目指しており、政府も支援しています。新たな市場にロボットが受け入れられるには何が必要ですか?
 「持続するイノベーションに対し、政府がずっと資金を出し続けるのは困難だ。企業の設立やロボットの開発より、ロボットが生み出すサービスに対価を払う方が戦略的に優れているだろう」
 「米国もロボット普及への課題は多い。例えば、人間の介護者からサービスを受けると保険の償還が行われるが、ロボットを使うと償還が行われない。これではロボット産業は広がらないだろう。しかし最近は、保険償還のルールを拡大しようという動きも出始めている。社会にとっては小さな動きだが、ロボットにとっては大きな追い風だ」
 
―米Google社など異業種からのロボット参入が増えています。ロボット業界にどう影響しますか?
 「新規参入は業界にとって歓迎すべきことだ。Googleがロボット企業を買収すれば、その企業を支援してきた投資家へのリターンとなり、さらに投資が活性化する。ロボット企業の設立も増えるだろう。Googleが目指す分野は当社の事業分野とバッティングしておらず、歓迎だ。現在のところ予定はないが、将来は両社のロボットが協力する場面も出てくるかもしれない」
 (取材&テキスト作成:日刊工業新聞社 鳥羽田継之)
 
 
 
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