行政・施策

2013.12.25
14年度予算(15カ月予算)案まとまる、介護ロボの育成に45億強

  安倍晋三政権として2度目となる“15カ月予算”がまとまった。12月24日に閣議決定した2014年度予算案は財政健全化に配慮しつつも、2013年度補正予算案で公共事業などの積極的な財政出動を講じる。前回の15カ月予算(2012年度補正と2013年度当初予算の合計)と同じ構図だ。100兆円を超す15カ月予算は景気への即効性が見込める半面、効果が長続きするかは不透明だ。歳出の膨張は財政健全化の歩みも遅らせる。従来型の景気刺激から持続的な経済成長への転換が政権2年目の大きな課題になる。

 麻生太郎財務相は同日の会見で、2014年度予算案について「デフレ脱却・経済再生、財政健全化を併せて目指す予算になった」と胸を張った。確かに、2014年度予算は財政健全化への配慮が伺える。2013年度当初予算に引き続き、税収が新規国債発行額を上回るほか、プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の赤字削減幅も目標の4兆円を上回る5兆2,000億円に達した。また、経済対策を柱とする2013年度補正予算案も企業業績の改善に伴う税収増を背景に国債を増発しないなど、財政健全化が前進するように映る。
 中でも、12014年度予算案は、2014年4月の消費増税により4兆5,350億円の税収増を見込み、景気回復に伴う法人税収増なども加わって2013年度当初より約7兆円も税収が増える見通しだ。

 ここで問題となるのが、税収増を追い風に歳出増圧力が強まったこと。消費増税後は補正予算で備えるのなら、2014年度予算で税収の増加分を債務の圧縮に振り向けることも可能だった。麻生財務相は会見で、2020年度のプライマリー・バランスの黒字化は「もう少し待たないと見えてこない」とし、そのハードルは高い。2014年度末の国・地方の長期債務残高は1,000兆円の大台を超え、国債の利払い費だけで10兆円を突破する見通しだ。

 歳出削減に踏み込まなかったことも、財政健全化を遅らせる要因になる。経済財政諮問会議(議長=安倍首相)は公共事業の実質マイナスを提言したが、退けられて増額。診療報酬の改定では薬価を引き下げる一方で診療報酬本体が引き上げられたほか、地方交付税の別枠加算では廃止を求める財務省と存続を訴える総務省の折衷案となる減額(1兆円を6,000億円へ)に決まる政治決着だった。国債費を除く政策経費は73兆円弱まで積み上がり、民主党政権が掲げていた71兆円枠を突破している。
 25兆円枠の復興財源も2014年度末までに累計23兆円程度が執行され、2015年度は新たな財源確保が求められる可能性があるだけに歳出増にブレーキをかける必要がある。

japan_1225.jpg ただ、2014年度予算の中には、経済の活性化を促す効果を期待できる経費もある。価格転嫁対策やものづくり補助金の拡充を盛り込んだ中小企業対策費は2013年度当初より2.3%増え、科学技術振興費も同2.8%増と3年ぶりの増額。先端技術やモノづくりなどを支援する特別枠「優先課題推進枠」1兆9,000億円も、成長分野を底上げする効果が期待される。
 こうしたメリハリを効かせた予算編成に徹しつつ、財政出動を伴わない大胆な規制改革に踏み出すことが安倍政権に求められる。法人実効税率の引き下げも代替財源を確保しつつ実現したい。15カ月予算から浮かび上がった政権の新年の課題を1つひとつクリアする必要がある(は“15カ月予算”における財政投融資計画のおもな歳出項目)。

  ここからは、経済産業省の予算に言及すると、一般会計と特別会計の総額で1兆5,439億円(前年度比7.4%増)と2008年秋のリーマン・ショック前の水準に回復した。このうち、一般会計とエネルギー特会の合計は1兆2,137億円(同9.0%増)と2008年度以来6年ぶりに1兆2,000億円台に戻した。
 茂木敏充経産相は、「アベノミクスの効果を全国津々浦々まで届けるため、中小企業・小規模事業者対策、さらに、エネルギー対策など成長戦略実行に向けて必要な予算を確保できた」と強調。特に手厚くした中小企業対策は、2013年度補正と合わせた“15カ月予算”で計1,500億円以上の補助事業を盛り込んだ。

 次世代モノづくり関連では、2014年度予算で3Dプリンター技術開発などに40億円を計上し、材料や装置、周辺技術の一体開発を目指す。ロボット産業育成では介護ロボッ(ロボット介護機器)ト開発支援に25億5,000万円を充て、2013年度補正の購入補助金(20億5,000万円)と合わせて、介護ロボット普及を後押しする。ほかに癌(ガン)の早期診断技術などに52億7,000万円を措置した。


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