その他ロボット関連

2013.09.12
デンソー、脳神経外科手術の支援に向け、軽快な操作を可能にする手台を開発

 デンソー 研究開発3部 特定開発室MEの中村悟氏は、9月4~6日開催の「第31回 日本ロボット学会学術講演会(RSJ2013)」で、信州大学 医学部 脳神経外科および東京女子医科大学 先端生命医科学研究所と共同開発している顕微鏡下脳神経外科手術支援向け手台「iArmS(intelligent Arm Supporter)」(写真左)を紹介。術者の腕を下から支えつつ、腕の動きに追従して位置決め操作などを支援したり固定操作を支持したりするシステムで、術者の手振れの防止や疲労軽減などの効果が見込まれる(写真右)。20名の臨床医による操作試験を実施したところ、軽い力で楽に操作できるといった評価を得ており、実用化に近づいていることを伺わせた。今後、さらなるシステムの小型化や安全性確保などに取り組むとしている。

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開発中の顕微鏡下脳神経外科手術支援向け手台「iArmS」の外観(左)と使用時の様子(右)

  術者が術具を把持したまま操作できる手台は以前より存在するが、可動範囲内でその操作に力が要する個所があるといった課題がある。デンソーが有するロボットアームの制御技術を役立てることで、操作抵抗が小さい、より操作性に優れる手台の開発を目指した。

 アームは、術者の前腕の回内および回外運動、手首の回転以外の動きに追従できるよう5自由度構成とし、カウンターウェイト方式による自重補償機構を搭載した。また、カウンターウェイトの質量および位置を変更することでモーメントのバランスを調整する構成としており、可動範囲内でモーメントと術者の腕の重量が釣り合い、かつ腕の上下動への追従性を向上している。このような構造により、また安全性確保を考慮し、モータなどアクチュエータによるアームの動作を不要とした。さらに、各関節部には無励磁ブレーキを内蔵しており、これによりアームの位置を固定し腕を支持できるようにしている。

  アームの動作モードには「ロック」「フリー」「ウェイト」の3つがあり、ブレーキのON/OFFにより切り替えを行う。フリーモード時は各軸のブレーキがOFF(解除)に、ロックモード時とウェイトモード時はON(作動)となる。ロックモード時に腕を置くとウェイトモードへと遷移し、さらに、腕を下ろす方向に力を加えると、ブレーキを解除して腕の動きに追従可能なフリーモードとなる。
  また、モードの切り替えは腕の動作のみで済むよう、各関節に内蔵したエンコーダの速度変化と、腕を置く個所に配置した力センサの荷重検知で行えるようにした。

 試作したiArmSを、手術を模した環境下で20名の臨床医に試用してもらったところ、楽な操作が可能といった評価を得た。またiArmSを2台用意し、両腕を支持しながら模擬手術を実施したところ、術者が各iArmSのモードの切り替えがスムーズに行えたことを確認。術者の利き腕の差異が操作性に影響を与えないことも実証した。今後、さらなるシステムの小型化などを図った最終試作の製作に入るとしている。


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