公共/フロンティア

2013.05.24
日本原電、東海発電所の廃炉作業、来春には原子炉の解体に着手

※本記事は、日刊工業新聞、5月20日掲載の「ニュース拡大鏡」を編集して掲載しました。

 日本原子力発電が、東海発電所(茨城県東海村)で進める廃炉の作業が、2014年に原子炉本体の撤去に入る。折しも活断層問題で敦賀発電所(福井県敦賀市)2号機の廃炉が決定的な状況となる中、東海発電所では課題を抱えながらも廃炉に関する技術と知見の蓄積が進展している。

遠隔操作ロボットで切断

genden_0521.jpg 2001年にわが国で初めて始まった商用炉の廃炉作業。現在、原子炉建屋内にある筒状の熱交換器を9段に分け、輪切りにして解体する作業が進む。高さ約25m、直径約6m、重さ約750tの熱交換器を天井から大型ジャッキで持ち上げ、3階の作業エリアで下側から1段ずつ輪切りにしていく。一連の「ジャッキダウン工法」は、フランスの企業と共同で開発した。解体作業は最後の9段目に入っており、9月末には4基ある熱交換器のうちの最初の撤去が終わる予定だ。
 実際に切断作業を行うのは、「マニピュレーターアーム」と呼ぶ多関節ロボット。作業員は別の場所から遠隔で操作する(写真)。作業現場の放射線量はそれほど高くなく「人間による手作業でも問題ないが、今後、原子炉本体の解体にも使えるためロボットを活用している」(現場担当者)という。

 日本初の商業用原発だった東海発電所の原子炉は現在、大手電力会社が所有する原発と構造が異なる。このため「壊し方や工事の段取りは特殊」(山内豊明廃止措置プロジェクト推進室室長代理)。こうしたことから、すでに廃炉が決まっている中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)1・2号機などの解体作業に単純に技術を移植できるわけではない。ただ、大手電力が所有する原発であっても「炉の水を抜けば要素技術は一緒。遠隔操作できる多関節の装置も十分に使える。こうした技術を蓄積し、いろいろなところで役立てたい」(同)と貴重な経験の場に位置づける。

放射性廃棄物の処理場は決まらず

 以前から日本原電は敦賀2号機の廃炉危機の問題もあり、学会や政界から「廃炉専門の会社にすべきだ」という意見が提起されている。日本原電としては不本意な話だが、それ相応の技術と経験、知見があるのも事実だ。大事故を起こした東京電力福島第一原発を除けば、日本の廃炉事業を先導するのは間違いなく日本原電だといえる。
 一方で課題も残る。解体撤去で発生する低レベル放射性廃棄物の処理場が決まっていない問題だ。推定発生量は最も厳重な管理が必要な「炉心等廃棄物」で約1,600t。比較的緩い管理で済む廃棄物は約1万3,000tに上る。

廃炉ビジネスの海外展開も

 電気事業連合会で処分場を検討しているが対応は難航。今のところ「いつできるかは決まっていない」(山内室長代理)のが現状だ。福島第一原発事故以降、放射性廃棄物に対する世論の反発も強く、選定は困難を極めている。2014年4月に予定する原子炉撤去作業の開始で炉心等廃棄物が発生し始めることに対しては「処分場がなくても海外では作業が始まっている。中間貯蔵もできる。工期が遅れないよう努める」(同)と述べるにとどめる。

 予断を許さない廃炉作業。それでも、例え政府が“脱・原発”政策を進め原発をゼロにするとしても廃炉の問題からは逃れられない。また、廃炉技術を磨き上げれば、海外で廃炉ビジネスを展開することが可能になる。廃棄物処分など廃炉に関する課題は原発の二項対立を乗り越え、冷静かつ速やかに解決する必要がある。

(取材&テキスト作成:日刊工業新聞社 大橋修)


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