その他ロボット関連

2013.05.02
中核施設「ナレッジキャピタル」、好調なスタート、グランフロント大阪

 「すごい、こんなことができるんや」
 4月26日に開業した大型複合施設「グランフロント大阪」。中核施設の知的創造拠点「ナレッジキャピタル(KC)」はゴールデンウィーク前半、子供からカップル、シニアまで最新技術に対して驚きの声が飛び交った。ある関係幹部が「グランフロントが失敗すれば大阪の浮上はない」という中心地での大規模施設。グランフロントの象徴であるKCは好調なスタートを切った。
 
 JR大阪駅に隣接する約7万平方メートルの土地に4棟の高層ビルがそびえるグランフロント。KCのほか、延べ床面積約8万㎡の商業施設やオフィス、ホテル、マンションなどで構成される。ゴールデンウィーク前半は、1日で最大39万人が訪れた。構想から26年。三菱地所など開発事業者12社による「またとない好立地」での巨大再開発。単なる施設にはするまいとKCが誕生した。

 約8万8,200㎡のKC。儲かる商業施設ではなく、あえて選んだのは「研究者や企業、一般消費者らの交流で、新技術・商品の創出を目指す」という他に類を見ない施設だった。入居者でコラボレーションを図るオフィスや700人が登録する会員制交流サロン、営業を主目的としないショールームがある。

 中でも、大学や企業の15団体が最新技術を用いた試作品などを展示する「ACTIVE Lab.(アクティブラボ)」(写真)は、1日で最大約2万人が訪れた。KC運営会社は「想像以上」と驚く。ロボットアームを展示した鴻池運輸の鴻池技術研究所のブースは、実際に操作できるとあって子供から大人まで順番待ち。体験者によるアンケートは1日で100~120通が集まったという。KC運営会社の働きかけで、重量物を搬送するための技術を求めていた鴻池運輸と、コントローラ一体型のACサーボモータの開発を手がけるマッスルとで実現した(立命館大学 金岡克弥チェアプロフェッサーの研究成果である「力順送型バイラテラル制御」を用いたパワー増幅マスタスレーブシステムとなっている。詳細はこちら 
 まだアームしかなく現場への導入には数々の課題があり、その解決策をKCという場で探る。鴻池技術研究所の鳥飼一男氏は、「当社は物流のノウハウしかない。一般の人だけではなく、他のKC入居企業からもアイデアをもらえる」と効果を指摘する。他の展示でも「来場者の素朴な疑問や感想が発見につながる」と興奮気味に語る担当者が多かった。

umekita_pic2_0502.jpg

 KC入居企業は食や携帯電話など、一般消費者に馴染みのある企業も混在する。学術的なイメージは薄れるものの、技術は堅苦しいと感じる人でも回遊するうちに多様な技術を目にできる。施設は吹き抜けで上まで様子が見渡せ、興味を刺激する。グランフロントの商業施設とつながっており、KC部分に入ったと気づかない人も多いだろう。敷居を高くしなかったことで、多くの一般消費者が訪れたとみられる。
 KCでは今後もイベントを多数企画するが、初動のにぎわいをどう持続するかも重要だ。コラボレーションなど今後の展開は未知数。関西経済同友会の大林剛郎代表幹事は「場所はできたが、そこで知的創造ができるかは努力次第。他にないモノやアイデアをつくらないと単なる貸しスペースになってしまう。これからが正念場」と指摘する。

 りそな総合研究所がまとめたグランフロントの関西への経済波及効果は初年度1,120億円。そしてグランフロントの隣には約17万㎡の「うめきた2期区域」が残る。自治体や財界で緑や環境をテーマに開発方針を検討中で、2026年までの基盤整備完了を目指す。グランフロントと2期区域で大阪経済をどう牽引していくのか動向が注目される。

(取材&テキスト作成:吉岡尚子)


【関連記事】
マッスル、新開発の移乗システム公開、要介護者をシートごと抱きかかえて移乗 (2012/09/28)
マッスル、2種の介護支援ロボ開発、移乗支援システムと自動排泄処理装置 (2012/09/20)
マッスル、ワイヤ駆動式のパラレルリンクロボ公開、新たな建設機械として提案 (2011/08/27)
夢ROBO、ネプコンで登場、トルク制御の組み合わせで梯子を登り降り (2011/01/20)
ロボ標準プラットフォームの構築に向け現場調査に注力、マッスル・玉井社長 (2011/01/12)
夢ROBOサンタ姿で登場、来月16日まで休まず壁を上り下り (2010/12/15)
マッスルなど、ロボ標準プラットフォームの構築に向けプロジェクト発足 (2010/10/26)




好評連載がついに書籍化!


―東大研究者が描く未来―


国内外の事業例を解説


消費者が描く未来生活を紹介