ビジネス/経営

2013.04.09
ファナック、1兆円企業に向け、6年ぶりにスポット溶接ロボの新型機投入

※本記事は、日刊工業新聞掲載「ファナック1兆円企業への戦略(みち)」(2013年4月8日掲載)より引用・転載しました(なお、本記事は3回構成となっています)。

 ファナックが自動車分野や新興国市場に狙いを定めた戦略を着々と実行に移している。4月4日に山梨県忍野村の本社で開催した新商品発表展示会では、新型の産業用ロボットや小型マシニングセンタ(MC)「ロボドリル」、CNC装置、射出成形機、精密加工機などを披露した。売上高1兆円を目指す戦略を新製品から読み解く。

 「3台のロボットが協調作業している。しかも振動も少ないぞ」
 学習ロボットによる高速スポット溶接システムのデモンストレーションは、来場者の耳目をひときわ集めた。1台のロボットが大型の車体部品をハンドリングし、2台の溶接ロボットがスポット溶接を行う(写真)。

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 学習ロボットは、搭載した加速度センサによりハンドの振動を検出し、振動を抑制することで高速動作が可能。ロボット自体が大きく振動することは少ないが、溶接ガンとの組み合わせによっては振動することがあるため、振動を制御することは溶接ライン効率化に役立つ。
 そのスポット溶接ロボットについても、6年ぶりの新型機が発表された。新型「R-2000i」は機構部を軽量化することや、溶接ガンの立ち上がりを高速化することで作業スピードを20%に向上。性能を伸ばしつつ価格は従来機同様に据え置く予定だ。
 すでに可搬重量の異なるモデルやロングリーチタイプ、棚置きタイプなどの投入準備も進めており、高密度化する自動車ラインに向け提案を強化する。

 スポット溶接ロボットは産業用ロボットの“顔”とも言える製品で、ロボットメーカー各社は2011~12年にかけて高性能機を相次ぎ投入している。スポット溶接ロボットのトップメーカーであるファナックが新型機を投入することで競争激化は必至だ。

 新興国の自動車需要増、北米でのエコカー需要の増加により、完成車メーカーは設備投資を活発化させている。富士経済がこのほど取りまとめた調査でも、溶接・塗装系ロボットの市場規模は2012年の1,828億円から2020年には2,478億円へと成長する見通し。増え続けるロボット需要を着実に取り込む戦略が、製品群の中から改めて浮き彫りになった。


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