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2013.01.31
IRS、ISO 13482の発行を見据え実践的なリスクアセスメントのセミナー開催

 国際レスキューシステム研究機構(IRS)は1月25~26日に、「サービスロボット安全技術者認定講座」のフォローアップ講座として、「国際安全規格ISO 13482対策セミナー(パーソナルモビリティ編)」(企画協力:ロボナブル編集部)を開催した(会場:日刊工業新聞社 大阪支社)。中国Robstep Robot社開発のパーソナルモビリティ「Robin-M1」を題材にリスクアセスメントを実施し、討議のほか試乗(動画)や分解調査を通じてリスク低減方策の妥当性などを確認した。8月末にISO 13482の発行を控えることから次回は、その前後に東京での開催を予定する。また、日刊工業新聞社では7月5日に、名古屋大学の山田陽滋教授らを講師に招き、「ISO 13482発行直前対策セミナー」を開催する。事前の受付など、問い合わせはこちら[e-mail:support@robonable.jp]まで。

動画 Robin-M1を試乗する、メインの講師を務めた長岡技術科学大学の木村哲也准教授。転倒につながる危険事象を体感してもらうため、床面に砂利や木片を敷き詰めたほか、洗剤による滑りやすい路面環境や、ビニール袋などのゴミをタイヤに巻き込みやすい環境を擬似的に構築した。

 同講座は、製造物責任予防〔Product Liability Prevention:PLP(*)〕の理念を踏まえた、国際的に通用する安全技術者の育成を目的に実施している。「初級安全技術者」と「中級安全技術者」を設けており、前者は、サービスロボットに関連する国際安全規格への理解および技術の取得に加え、RAシートを作成できるレベルを、後者は、中級安全技術者は、これらの能力に加え、独りでRAを実施し、かつ製品ライフサイクルを通して安全方策を立てられるレベルを、それぞれイメージしている。

*:正当な手続き(インフォーム)によって許諾(コンセント)される事故は免責されるという考え。安全の認証を示すCEマーキングによって設計者が事前に安全の責任を果たす。製造物責任(PL)に対してPLPと呼ばれている。

 今回は、初級安全技術者に対する“補講”という位置づけでもあり、初級と中級の中間のレベルをイメージして実施した。
 計4チームに分かれて、(1)意図する使用/合理的予見可能な誤使用の定義、(2)危険事象の定義、リスク見積もり、(3)3ステップメソッド(ステップ1:本質安全設計/ステップ2:安全防護・付加保護による対策/ステップ3:使用上の情報による対策)にもとづくリスク低減方策の検討を実施。「空港警備」「公園ツアー」「工場内の移動」「ショッピングモール内の移動」の4つの利用シーンを想定してリスクアセスメントを行い、その発表と討議を繰り返すことで妥当性を確認した(写真)。

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写真 4チームに分かれての検討の様子(参加者の特定を避けるように撮影しています)

 リスクアセスメントには「ハイブリッド法」を使用した。「ISO/TR 14121-2:2007」の付属書に記載されている「加算法」と「マトリクス法」を組み合わせた手法で、「危害のひどさ」や「危害の発生確率」などのリスク評価要素を判定し、リスクマトリクスによりそれぞれの事故のシナリオに対するリスクを見積もる。リスク評価要素を組み合わせて見ることで全体のリスクレベルをひと目で把握できるうえ、事故の発生プロセスをマトリクス法により詳細に考慮するため、「事故の発生過程が多様なサービスロボットに向いている」(長岡技術科学大学の木村哲也准教授)。また、リスクアセスメントの合間には、制御安全や機能安全の説明や、Segwayの講制度に代表されるリスクマネジメントなどの話題提供を行うことで議論を深めた。

 8月末発行のISO 13482は、具体的な安全設計手順や基準などは明記されないものの、安全方策を体系的に検討するには有効なツールとなっているとされる。そして、リスクアセスメントと3ステップメソッドを骨子としており、Robin-M1への試乗や分解検証を交えつつ、これらが実践的に学べたことに対し、受講生からは好意的な感想が多く聞かれた。8月末にISO 13482の発行を控えることから、その前後に東京での開催を予定する。
 なお、Robin-M1の分解調査などの詳細は、特集「徹底検証!中国製パーソナルモビリティ『Robin-M1』」を参照してほしい。本特集では、ISO/DIS 13482 Annex「D.4.1 Personal transport robot」のリスクアセスメント例を参照しつつ、保護方策の妥当性を検証しているが、名古屋大学の山田教授によると、8月末発行の正式版ではAnnexは削除される見込みとなっている。


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再来年には発行!パーソナルケアロボの国際安全規格ISO 13482 ―次世代ロボット分野の国際安全規格策定と関連技術の動向より
《連載》
4肢選択で理解する!サービスロボット安全技術講座
第1回 サービスロボット安全概論 【設問編】
第2回 サービスロボット安全設計基礎 【設問編】
第3回 機械安全規格概論 【設問編】
第4回 リスクアセスメント規格 本質的安全設計とその他の保護方策【設問編】
第5回 サービスロボット安全技術概論【設問編】
第6回 安全性確保のためのメカトロ技術【設問編】
第7回 リスクアセスメント【設問編】
(※解答&解説編は、各設問編からアクセスして下さい)




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