行政・施策

2012.12.07
ドイツでの生活支援ロボの実証・海外展開支援プロ、サイバーダインに委託

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、今年7月に「採択候補なし」を判定した、ドイツ国内での生活支援ロボットの技術検証ならびに海外展開を支援するプロジェクトについて、サイバーダインに委託したと発表した。プロジェクトの開始に先立ち、「フェーズ1」として実施可能性調査(FS)の実施を求めており、その実施のみを決定した。FSの内容をもとに研究開発や実証実験の妥当性を評価したうえで事業規模ならびに実施期間を決定する計画となっており、妥当と判断されれば「フェーズ2」として、FSにもとづいた研究開発や実証実験に取り組む。

  NEDOでは、採択候補なしとした理由について、FS段階での医療機器承認制度に対する精査内容が不十分であり、また、市場獲得の見通しとドイツおよび周辺国市場における波及効果の説明も不十分だったためとしていた。提案は2件あり、サーバーダインも同様の判定を受けたが今回、フェーズ1のみについて修正案が受け入れられたかたちとなった。

 サイバーダインは現在、国内の複数の医療機関と共同で「医療用HAL(*)」の治験を進めているが、ドイツでも同様の取り組みを行う予定。FSが妥当と判定されれば、それにもとづいて現地の介護・医療スタッフのニーズを反映しつつ研究開発や実証実験を行い、海外展開の足がかりとなることを目指す。ノルトライン・ヴェストファーレン州で実施する。事業内容については、こちらを参照してほしい。

*:HAL福祉用の医学応用に関しては、国立病院機構 新潟病院の中島孝副院長らが、神経・筋疾患の病気進行の抑制に向けた研究を進めている。脊椎性筋萎縮症(SMA)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィーなどの神経・筋疾患は進行性であり、かつ治療が難しい。中島副院長らはHALが随意制御と自律制御の組み合わせにより、適切なアシスト力を発生する特徴に着目し、HALのアシスト力により筋肉の過度な疲労が軽減され、筋力低下の進行が抑制されるのではという仮設のもと、神経・筋疾患患者が定期的あるいは間欠的にHALを装着したケースでの効果の検証に取り組んでいる。

  研究の推進に向け、HAL福祉用をベースに「神経・筋疾患用HAL」を用意。筋肉低下が進行する(変成しつつある)筋肉からの表面筋電位を抽出できるよう、新たな信号処理法を実装。併せて、数十μV程度と微弱な表面筋電位しか得られないことから、特徴的な波形が得られる位置に生体電位センサを配置するといった工夫を行っている。

「環境・医療分野の国際研究開発・実証プロジェクト/生活支援システムの国際研究開発・実証事業/ドイツ(フェーズ1)」に係る実施体制の決定について(NEDO)
「環境・医療分野の国際研究開発・実証プロジェクト/生活支援システムの国際研究開発・実証事業/ドイツ」に係る公募について(NEDO)


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