ビジネス/経営

2012.12.05
エプソン、中国市場で産業ロボ拡販へ、車載向けに提案を強化

 セイコーエプソンは、産業用ロボット事業の拡大に乗り出す。同社は水平多関節(スカラ)と小型垂直多関節の小型タイプを展開しており、日本のほか欧州・中国などで電機・電子部品の組立用途で多用されている。今後は、中国市場で一層の拡販を行うと同時に、自動車部品の組立用途にもロボットの提案を強化する。現在のロボット事業の売上高は約50億円としており、5年後をめどに150億円に拡大する。

epson_1205.jpg 同社のロボットは、可搬質量20kg以下の小型タイプがメーン。ワールドワイドでの市場シェアは、スカラロボットが22%とトップ、垂直多関節ロボットは6%と5番手となっている(*)
 エプソンでは小型ロボットの世界市場が、2012年の460億円から2015年に約530億円へと拡大すると見込んでおり、特に中国での生産自動化の動きが原動力になると見ている。中国市場の攻略に向け、戦略機としてスカラタイプの「LSシリーズ」(写真)、垂直多関節タイプの「C4シリーズ」を開発。生産拠点も豊科事業所(長野県安曇野市)から、中国・深?の工場へとシフトした。現地生産による短納期化と低価格を武器に販売を伸ばす。

 また、同社のロボット事業はスマートフォンやタブレット端末の部品の組立など電機・電子分野への売上比率が高く、変動が激しいのが課題。最近はハイブリッド車(HV)の普及もあり、自動車の電子制御化が進んでいることから、今後は自動車部品分野にも販売して事業の拡大および安定化につなげる。「現在の自動車部品分野の売上高はロボット事業全体の約30%程度だが、2017年頃までに約40%まで伸ばす」(技術開発本部の平尾英雄副本部長)方針。プリンタ事業で構築したグローバル販売・サービス網を生かし、中国以外の新興国でもロボットを拡販する。

 碓井稔社長は「産業装置事業の中で、産業用ロボットは最も成長が期待できる分野。特に中国は好調が続くだろう」と期待を語る。碓井社長の言葉通り、中国では人件費の高騰や湾岸部の人材不足のため、電子部品の組立工程にロボットの導入が進んでいる。同社のロボット事業がさらなる成長を遂げるには、中国での生産自動化ニーズをいかに取り込み、シェアを拡大するかにかかっている。

(取材&テキスト作成:日刊工業新聞社 鳥羽田継之)

*:富士経済によると、2011年のワールドワイドでのスカラロボットの市場シェアは、数量ベースでは、セイコーエプソンが21.8%、ヤマハ発動機が16.7%、デンソーウェーブが14.8%、三菱電機が13.0%、Adept Technologyが7.9%、Staubliが6.9%、東芝機械は4.2%だった。金額ベースでは、セイコーエプソンが22.3%、デンソーウェーブが18.7%、三菱電機が11.3%、ヤマハ発動機が10.7%、Adept Technology社が10.3%、Staubliが10.0%、東芝機械は3.0%だった。

 同じく、富士経済の調査によると、小型垂直多関節ロボットの市場シェアは、数量ベースでは、安川電機が24.2%、三菱電機が21.0%、デンソーウェーブが15.9%、ファナックが14,6%、Staubliが11.5%。金額ベースでは、安川電機が24.3%、デンソーウェーブが17.6%、三菱電機が17.6%、Staubliが13.8%、ファナックが11.9%。セイコーエプソンはいずれも7番手となっており、数量ベースでは3.8%、金額ベースでは3.6%だった。


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