公共/フロンティア

2012.10.12
NEDO、原発事故処理対応ロボ2種公開へ、先行探査ロボと災害対策用HAL

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は12日、10月17~19日開催の「Japan Robot Week 2012」で、2012年度末まで実施の「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」の開発成果として、千葉工業大学(移動ロボット研究所)の先行探査型ロボット「Sakura」(左)と、サイバーダインの災害対策用ロボットスーツ「HAL」(右)を公開すると発表した。東京電力・福島第一原子力発電所の事故処理対応に向けたシステムで、モックアップ施設での性能評価を行った後、福島原発に投入する。

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 NEDOが公開した先行探査型ロボット「Sakura」と災害対策用ロボットスーツ「HAL」(NEDOホームページより)

 同プロジェクトでは、大きくは(1)作業移動機構の開発、(2)計測・作業要素技術の開発、(3)災害対策用作業アシストロボットの開発に取り組んでおり、(1)の一部と(3)が公開されることになる。
 Sakuraは、原発対応版「Quince(クインス)」および「Rosemary(ローズマリー)」の後継機。もっともアクセスが困難とされる原子炉建屋地下の情報収集を目的としており、地下部分の格納容器や圧力抑制室の調査ほか、配管類の損傷や冷却水の漏洩カ所の確認にあたる。
 地下施設でのミッションに備え、傾斜角52度の階段昇降、幅70cmの踊り場での旋回、キャットウォーク上の走行や方向転換などに対応したのが特徴。また、QuinceやRosemaryの開発経験を生かして、プラグイン充電方式の採用によるオペレータの被曝量の低減や3年間のメンテナンスフリーなど運用面に配慮した設計としている。

 災害対策用HALは、過酷環境下での有人作業に向け、重量物の搬送作業や配管溶接などの工作作業を支援する。下肢を中心としたパワーアシストにより、タングステンなど放射線を遮断するための素材やクーリングシステムの搭載を可能にしたのが特徴。ガンマ線被曝線量を約5割低減できるうえ、冷気の直接送風により熱中症を防止することができる。また、胸部に付加したバイタルセンサにより、心拍数や体温などをリアルタイムにモニタリングできる。

 HALは、随意制御と自律制御との組み合わせにより適切なアシスト力を発生するシステムとなっており、随意制御では生体電位信号(表面筋電位)を生体電位センサで検出・増幅し、それをもとにパワーユニット(サーボモータ)を制御している。NEDOによると、災害対策用HALではシステムの信頼性を確保するために、生体電位センサのほかに他のセンサにて装着者の動作意図を推定する仕組みを実装しているという。なお、これらの詳細は来週以降に紹介する。


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