サービスロボット

2012.09.28
マッスル、新開発の移乗システム公開、要介護者をシートごと抱きかかえて移乗

 マッスルは、9月26~28日開催の「第39回 国際福祉機器展H.C.R.2012」で、要介護者のベッドから車椅子などへの移乗を支援する「ROBOHELPER SASUKE」を公開した。左右のアームを専用シートの両端に挿入し、シートごと要介護者を抱きかかえるようにして移乗する(動画)。左右のアームで移乗する方法は、東海-理研ゴム人間共存ロボット連携センターが開発する「RIBA(リーバ)」に似ているが、シートにより腰部などを支持するため安定した移乗が行える。おもな利用方法として、一時的な車椅子などへの移乗を想定するが、引き続きシートに乗った(着座した)状態となるため身体に優しい素材が求められる。展示を通じて「いくつか有効な助言を得た」(玉井博文社長)としており、これらを参考にシートの素材変更などに取り組み、実用化を急ぐ。

動画 ROBOHELPER SASUKEを操作する介護関係者。操作方法を説明している白いシャツを着た方が玉井社長。

 左右のアームを専用シートの両端に挿入し、それごと要介護者を移乗するのが特徴。シートにより体幹を支持することで安定した移乗が行えるうえ、このような移乗方法によりシステム本体の簡素化を可能にした。

  アームは左右方向(伸縮)に加え、アームを搭載する本体上部の斜め60度までの回転運動と上下動を組み合わせての動作が可能。各駆動軸には同社製サーボモータを採用しており、最高出力でも45Wと低出力モータを使用している。もっとも負荷が大きい60度までの回転運動をする駆動軸には、減速比が1:250の減速機を付加することで安定した動作を可能にした。設計には山梨大学の牧野洋名誉教授が協力している。

sasuke_0928.jpg アームの動作は、本体上部の背面にある左右のハンドル(写真左)を操作して行う。根本部にはハンドル軸を囲むように4つの力覚センサをそれぞれ配置しており、これらへの入力情報をもとに操作意図を推定し、パワーアシストしながら移乗作業を支援する。約50倍までパワー増幅することが可能。また、ハンドル上のボタンを押しながらでないと操作できないフールプルーフな設計を行っている。

 上述の通り、要介護者を専用シートに乗せて移乗することによりシステム本体の簡素化を可能にしたが、それゆえにシートの素材選定を重要にさせている。現状のものでは、例えば、背中などに褥瘡(じょくそう)がある要介護者に対応できない。同展には介護用マットやシートの開発企業が多数出展しており、こうした企業などからも助言を得たとしており、これらを参考に素材変更を検討するという。

love_0928.jpg 同展では、自動排泄処置装置「ROBOHELPER LOVE」も公開した(システム全体はこちらを参照)。要介護者に装着するカップ(写真左)のセンサにより排泄物を判別し、吸引・洗浄・除菌運転が自動的に行える。排泄物の有無は赤外線センサにより判別し、大便・小便の判別は電気抵抗の変化をもとに行う。ユニ・チャームヒューマンケアの尿吸引ロボット「Humany(ヒューマニー)」も電気抵抗の変化をもとに尿漏れ検知を行うが、類似の方式ながら、変化をより高精度に検出することで判別を可能にしていると推定される。
 システム本体の洗浄タンク水温は常温保持としており、洗浄時のみ温水となるようにしている。温水保持の雑菌を防止できる設計としており、また、洗浄時の最後に除菌水洗浄を行うため、臭気や汚れなども防ぐことができるとしている。

  なお、いずれのシステムもプロダクトデザイナーの喜多俊之氏がデザインを手がけた。シャープの液晶テレビ「AQUOS」ほか、三菱重工業のコミュニケーションロボット「wakamaru」や、上海万博で人気を博した「夢ROBO」などを手がかけたことで知られる。


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