行政・施策

2012.09.27
神奈川県、さがみロボット産業特区を申請、生活支援ロボの実用化に向け

 神奈川県は、国の「地域活性化総合特区」制度を活用して、生活支援ロボットなどの実用化に取り組む。区域は2014年度に全面開通する「さがみ縦貫道路」沿線の相模原市や厚木市、茅ケ崎市など県央地域9市2町。国に対し薬事法の医療機器承認までの期間短縮や、設備投資減税の拡充などを求める。生産現場の県外や海外への移転が進む中にあって、県は成長産業の1つとして位置付けられているロボット産業を区域に集積し、県内経済を活性化させる。

 「さがみロボット産業特区」は、3つの実証プロジェクトに区域分けされる。北に位置する相模原エリアは被災者の捜索や救助を行う災害対応ロボット、厚木市を中心にした県央エリアは身体装着ロボットなど介護・医療分野に特化したロボット、藤沢市と平塚市などの湘南エリアは高齢者見守りシステムや移動支援ロボットの開発を行う。

kanagawa1_0928.jpg 相模原エリアは宇宙航空研究開発機構(JAXA)のキャンパスと、県央エリアは操作者の負担を軽減する介護ロボット「パワーアシストスーツ」やリハビリ補助向け「アシストハンド」(写真)の研究に取り組む神奈川工科大学と、それぞれ連携することが想定されている。神奈川県の技術支援機関である県産業技術センターの大塚康男所長は「もともと相模原はロボットなどハイテク関連企業が多い。連携して取り組むことができれば」と期待を寄せる。

 9月10日、県庁でさがみロボット産業特区協議会が開催され、区域の首長をはじめ商工会議所会頭、大企業担当者、中小企業経営者、大学関係者らが集まった。黒岩祐治知事は冒頭、「さがみ縦貫道路の完成はチャンスだが、同時にピンチでもある。圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の一部としてつながると、企業を埼玉県に取られるかもしれない」と危機感を示したうえで、「明確なポリシーとスピード感を持って特区に挑戦していく」と決意を示した。

 ロボットは必要な要素技術が多岐に渡るため、多くの関連企業を巻き込むことができる点で魅力的である。しかしながら、中小企業同士の連携にとどまると試作品レベルで終わってしまい、製品化まで至らないことも多い。「経済のエンジンを回す」(黒岩知事)ための特区の成否は、製品化への過程を熟知している大企業がどれだけ積極的に参加するかにかかっているのは明白で、県も大企業の参加を促す独自の施策を打ち出す必要があるだろう。県は9月28日に内閣府に申請書類を提出し、2013年1月の特区指定を目指す。

(取材&テキスト作成:日刊工業新聞社 大楽和範)


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