RT(Robot Technology)要素応用

2012.06.25
アクティブリンク、ペダリング測定器をヘルスケア分野に展開へ

 アクティブリンクはロボナブル編集部の取材に応じ、2011年5月に発表したペダリング測定器「VIGUERA(ヴィグエラ)」と、2010年10月に発売を開始した「POWERLOADER Light(PLL、パワーローダーライト)」の近況を紹介。前者に関しては、自転車分野へのビジネス展開はクラブコング社に委ね、ヘルスケア分野に注力する考えを明らかにした。自転車エルゴメータ(エアロバイク)に設置することでリハビリ効果の定量化に役立てるほか、同社の電気刺激を用いたトレーニング機器との同時展開を計画する。後者については、防衛省 技術研究本部などに向け5台を販売。また、PLLをベースに災害救助支援に加え、原子力プラント内での重作業支援に向け開発を進めており、福島第一原子力発電所原子炉建屋内の除染作業がひと段落する2015年頃の実用化を目指す。

  VIGUERAは、測定器本体を自転車中央のチェーンリングに両側から設置し、左右のペダルのトルクをスマートフォンなどで表示するシステム(写真1)。計測にはワコーテックの静電容量式の6軸力覚センサを使用。3軸力覚センサを同心円上に、かつ等間隔で4つ配置した構成としており、3軸の力成分(Fx、Fy、Fz)と3軸のモーメント成分(Mx、My、Mz)の6軸の力成分を検出することができる。計測データは赤外線通信モジュール(IRDA)でWi-Fiモジュールに伝送し、速度計の情報とともにスマートフォンに送信する。

viguera-p1-1_0625.PNGviguera-p1-2.jpg

写真1 VIGUERAのデザインモックアップ(左)と設置例(右)。チェーンリングを挟むようにして両側から設置して使用する。シマノとカンパニョールのギヤに対応している。2016年開催のリオデジャネイロ五輪では、VIGUERAを用いてトレーニングした日本人選手の活躍が見られるかもしれない。

  計測したペダリング技術は、ペダルの円運動上にベクトルとして表示される(写真2)。ベクトルが接線方向に向かっているほど効率的に漕いでいると判定され、体重がもっともかかる下死点付近でペダリング技術の差が顕著に表れる。例えば中野浩一氏の測定データでは、下死点付近では力を抜き、後方にうまく蹴り出すことで効率的に漕いでいる様子が伺える。70%程度の効率で漕げているという。
 海外のトップクラスの選手は40~50%程度の効率にとどまるが、日本人選手が筋力の大きい彼らを上回るには、中野氏のように70%程度の効率が求められ、これがトレーニングの目安になるという。

viguera-p2-1.PNGviguera-f2-2.png

写真2 スマートフォン上でのペダリング技術の表示例。ペダリング時の効率のほか、ペダルにかかったトルクも表示できる。そのほかカロリー表示や、地図情報と連動した走行データも提示できる。は効率の差を示した一例。右の中野浩一氏の計測データでは、ベクトルが接線方向に向かっているのがわかる。

 現在は、外販に向け準備を進めている段階(サンプル出荷のみ)で、クラブコング社の松本整社長(元競輪選手)が総監督を務める自転車競技のナショナルチームなどでの評価にとどまる。そのほか、ハイアマチュアが自転車部品を選定する際の指標としても利用することができ、全国のバイクショップへの展開も期待されるが、このような自転車分野へのビジネス展開はクラブコング社が担う。
 アクティブリンクでは、自転車エルゴメータに搭載してリハビリ効果の定量化に役立てるなど、ヘルスケア分野に注力することを計画。同社の電気刺激を活用したトレーニング機器「ハイブリッド訓練機(*)」との併用により、トレーニング効果が増大することを確認していることから、国内外に同時展開することを予定している。早ければ7月にもデイケアセンターで実証実験を行う。また、リハビリ用途では3軸以下の計測データで済むことから、測定器本体の簡素化にも取り組むという。

*:拮抗筋への電気刺激で得られる筋収縮を運動抵抗に利用したトレーニング機器。例えば、膝を伸ばす運動では、伸展側の大臀筋と外側広筋などが主動筋に、屈曲側の大腿直筋と大腿二頭筋などが拮抗筋になり、このとき拮抗筋に電気刺激を与え、筋収縮を発生させると、主動筋に負荷がかかることになる。自発的な筋収縮と電気刺激による筋収縮を混合した訓練を行うことから「ハイブリッド訓練機」と表現している。

 PLLは、パワー増幅ロボットの研究用途に向け、同社の重作業支援向け「POWERLOADER」を下肢のみとしたシステム。片脚3軸(自由度は6)、計6軸から成り、ペダル下部の力覚センサで検出した脚力の大きさと方向に合わせて、脚の動作に追従しつつパワー増幅を行う。搭乗者と制御器、ロボットを力学的相互作用のループの中に取り込まれた構成にすることで、ロボットの挙動を機械的かつダイレクトに搭乗者にフィードバックできる点に特徴がある(動画)。

動画 POWERLOADER Lightによるデモの一例。

  2010年10月の発売以来、計5台を研究用途で販売しており、販売先には防衛省 技術研究本部や東京大学の医学系の学部が含まれる。同本部では隊員の戦闘能力の向上を目的に、ICTを活用した「先進個人装備システム」の研究開発を進めており、PLLの技術を融合することで、情報収集力に加え身体能力も支援するシステムに発展させると想像される。

 またアクティブリンクでは、以前より災害救助支援と運搬作業支援向けにPOWERLOADERの実用化研究を進めており、前者は総務省消防庁 消防大学校 消防研究センターとの共同研究を実施した。エンドエフェクタ部のアダプタを介して、油圧カッターや油圧スプリッター(破砕機)など既存ツールを交換しながら運用することを検討している。
 後者については現在は、原子力プラント内での重作業支援に向け開発を進めている。経済産業省 資源エネルギー庁が策定した、福島原発の廃止措置に向けた研究開発計画では、2013年までに遠隔除染技術を構築し以後、原子炉建屋内の除染作業を行うことを計画している。これを踏まえ、2015年頃をめどに実用化することを計画している。

ペダリング測定器「VIGUERA」


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《連 載》
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第6回 まずはパワー増幅の研究開発に挑む仲間を増やしたい[アクティブリンク]




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