国際レスキューシステム研究機構(IRS)と安全工学研究所は共同で、1月27日~2月5日までの計6回にわたり「第6回 サービスロボット初級安全技術者認定講座」(写真1)を開催。最終日には試験を実施し、合格した11名の受講者に資格認定書を授与した。
今回まで、ISO 12100(機械安全)やISO 14121(リスクアセスメント:RA)を中心に指導してきたが、パーソナルケア・ロボットの国際安全規格「ISO 13482」の発行を控えることから、次回以降は同規格を中心とした構成とする。ただしISO 13482は、これらの既存規格の思想を反映して策定されており、また、詳細な技術情報については既存規格に委ねていることから、大幅に変更されることはない。
なお、受講した7名のうち2名の不合格者が出た「第2回 中級安全技術者認定講座」については、追加レポートを提出した3名に合格判定を出し、計5名に中級安全技術者の資格認定書を与えた。
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写真1 グループに分かれてお掃除ロボットを例にリスクアセスメントを実施した
同講座は、製造物責任予防〔Product Liability Prevention:PLP(*)〕の理念を踏まえた、国際的に通用する安全技術者の育成を目的とする。PLPとは、設計者が事前の安全責任を果たして、事故に対する免責を確保するという考え方であり、国際安全規格ISO 12100の目的とするところでもある。
また、2012年末にはISO 13482の発行を控えるにもかかわらず、サービスロボットの分野では日本認証などが実施する「セーフティアセッサ資格制度」のような仕組みがなく、安全性の妥当性を評価できる人材が極めて少ない。人材育成という切り口からサービスロボット市場の創出に寄与するという狙いもある(ただし、授与される資格認定書は任意となっている)。
*1:正当な手続き(インフォーム)によって許諾(コンセント)される事故は免責されるという考え。安全の認証を示すCEマーキングによって設計者が事前に安全の責任を果たす。製造物責任(PL)に対してPLPと呼ばれている。PLPは、EC市場統合の準備として計画され、EUの発足とともに実行に移されている。ゆえに、国際規格(ISOおよびIEC)は、PLPの体系を継承していることになる。
初級安全技術者は、サービスロボットに関連する国際安全規格への理解および技術の取得に加え、RAシートを作成できるレベルを、中級安全技術者は、これらの能力に加え、独りでRAを実施し、かつ製品ライフサイクルを通して安全方策を立てられるレベルを、それぞれイメージしている。同講座では危険事象の抽出およびリスクの評価までを行う。
カリキュラムは、おもに講義と実習から構成される。講義では、国際安全規格ISO 12100の詳細や国際的な安全技術の動向に加え、サービスロボット特有の技術問題などを、ISO 13482の参照規格を解説しつつ紹介した。
実習では受講生がチームに分かれてRAを実施し、RAシートを作成した。前回に引き続き、サービスロボットの一例として、お掃除ロボットのRAに取り組んだ。お掃除ロボットを題材にする理由は、「そのRAを通じてサービスロボット特有の課題が見える」(長岡技術科学大学の木村哲也准教授)からであり、具体的には、(1)使用環境との相互作業にいる危険事象をどこまで考えるのかが不明、(2)新技術に対する使用者の行動が不明、(3)参考にすべきRAがない、(4)重大な危険事象の抽出は現行規格にもとづいて行える、といった課題を体感できると説明する。
前回との違いを強いてあげると、使用上の条件を明示するよう促したことで、例えば、「若いひとり暮らしの生活(アパート)」「若夫婦のみの新婚家庭(マンション)」「両親と子供(1歳の女の子と4歳の男の子)(2階戸建て)」といった具合に、チームごとに条件を明文化させたうえでRAに臨ませた。
ISO 13482の翻訳作業に携わる木村准教授は、機械類の制限の決定が難しいサービスロボットのRAでは「代表的なシナリオにもとづいてRAを実施するのがポイントになる」との見方をしており、シナリオ作成能力を身に付けることの重要性を説いている。こうした考えを反映したRA実習となった。
そのほか今回は、IRS神戸ラボにある立乗り電動2輪車「Segway(セグウェイ)」(写真2)や、新産業創造研究機構(NIRO)などが開発している畦畔除草向け小型除草ロボット(写真3)などが設置されていることから、これらを題材に合理的予見可能な誤使用などを考察した。
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Segway(写真2、左)と小型除草ロボットの試作機(写真3、右)を例に合理的予見可能な誤使用などをあげた
今回に限った話ではないが、受講した理由に「安全設計を体系的に学びたい」をあげる参加者が多く、「国際安全規格に則して断片的な知識を整理できた」との感想が多くあがった。また、同講座はRAの習得に重点をおいた構成としているが、策定中のISO 13482の骨子は「RAと3ステップメソッドにある」(木村准教授)とされており、加えて、製品化する際は安全の説明責任が求められることから、RAの習得は意義深いといえる。
なお、本サイトで掲載している連載「4肢選択で理解する!サービスロボット安全技術講座」は、同講座の筆記試験をもとに構成している。同講座の概要を知りたい方は参照してほしい。また、認定試験で行うRAは「基本能力(30点)」と「危険源同定能力(120点)」で採点を行っており、基本能力は危険源と危険事象がきちんと対応しているかなど、リスクの見積もりが加点法により適切な手順でなされているかをもとに判定。危険源同定能力についてはISO 14121付属書Aの危険源チェックリストにもとづいて対象の危険源と対応する危険事象を同定する能力をもとに判定している(*2)。
*2:講師を務めるシステムセーフティーテクノロジの奈木勉チーフアドバイザーによると、RAの実施に採用している手法の内訳は、メーカーによるRA(15事例)ではマトリスク法が50%、リスクグラフ法が36%、数値化による方法が7%、チェックリスト法が7%。ユーザーによるRA(16事例)では数値化による方法が62%、マトリクス法が13%、リスクグラフ法が13%、チェックリスト法が6%、独自方法が6%となっている。
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《トレンドウォッチ》
►再来年には発行!パーソナルケアロボの国際安全規格ISO 13482 ―次世代ロボット分野の国際安全規格策定と関連技術の動向より
《連載》
4肢選択で理解する!サービスロボット安全技術講座
►第1回 サービスロボット安全概論 【設問編】
►第2回 サービスロボット安全設計基礎 【設問編】
►第3回 機械安全規格概論 【設問編】
►第4回 リスクアセスメント規格 本質的安全設計とその他の保護方策【設問編】
►第5回 サービスロボット安全技術概論【設問編】
►第6回 安全性確保のためのメカトロ技術【設問編】
►第7回 リスクアセスメント【設問編】
(※解答&解説編は、各設問編からアクセスして下さい)


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