筑波大学の油田信一教授は、12月23~25日開催の「第12回 計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会(SI2011)」のパネル討論会で講演し、社会に役立つロボット技術の提供に向け、これまで以上にソリューション提供型の研究開発が求められているとの考えを示した。また、それに向けて、ロボット研究者には社会と関わりつつ研究に取り組む姿勢が必要であり、「ユーザー」「ユースケース」「社会とのバランス」に対する洞察力が要求されるとした。
「3.11」以降、わが国のロボット技術が社会の期待に対し、応えられなかった(役に立たなかった)という現実を受け、これら期待と現実とのギャップを埋めるべく検討した。
「ロボット学」は既存の学問領域にとらわれずに、何でも取り組めるという特徴を備える(図1)。それゆえに、「社会にも人類にも意味のある技術の研究が求められており」、便利で快適な暮らしや、安心・安全な暮らしといった社会ニーズに応えるためには「『ロボット学』はソリューション提供型の研究開発であるべき」との考えを示した(図2)。
また、従来のように技術シーズをもとに応用研究や実用化に取り組むという流れではなく、社会ニーズに対し役立つロボットやシステムを検討し、「この解決法の導出に向けて基礎科学の構築や要素技術の研究に取り組むという方向性(プッシュ型からプル型へ)こそが、ロボット学がとるべき道」と強調した。かつて90年代に知識生産様式の変遷として「モード1」から「モード2」への移行が謳われ、社会課題の解決に向け研究することが次代の研究のあり方とされていたが、これに共通する。
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油田教授が考えるロボット学(図1、左)と、ソリューション提供型の研究開発へ(図2、右)
役立つロボットの実現に向けは、ロボット研究者には「ユーザー」「ユースケース」「社会とのバランス」の3つに対する洞察が求められているとし(図3)、まずユーザーについては、オペレータが使いやすいシステムでなければならいとし、それに向け「自分自身がユーザーになるのが1つのアプローチである」とした(図4)。
次に、ユースケースでは、意味のある開発にするためには継続して使われることが大切であり、日常的に使われることを視野に検討することが必要とした。また、それは緊急時に使えるシステムの必要条件にもなるとした(図5)。
そして、社会とのバランスでは、上述のユースケースの想像力が求められるとし、また、開発したシステムが社会に対しどのような影響力を与えるのかを、急な変化やアンバランスを起こさないよう十分に検討することも求められるとした(図6)。
社会ニーズに関連して、油田教授は、今後は快適な環境の「維持」に向けた挑戦が重要になるとし、エネルギーや通信など社会インラフの維持に向け、それを妨げるような「日常的な危機の回避において、ロボット技術が重要な役割を果たす」との見方を示した(図7)。
さらに講演の最後には、今回の「3.11」以降のロボット技術に対する社会の失望や批判は「期待の反作用でもある」とし、それ以上に自分地震の失望と反省を踏まえ、「もっと社会に役立つ研究へとシフトすべき」と改めて強調した(図8)。
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役立つロボットの実現に向け求められる洞察力(図3、左)と、ユーザーを考える際の要点(図4、右)
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継続して使われることが緊急時に使える条件でもある(図5、左)。社会とのバランスを考える際はユースケースの想像力が求められる(図6、右)
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今後のロボット研究には快適な環境の維持に向けた挑戦が求められる(図7、左)と、「3.11」が研究者のマインドに与えた影響(図8、右)
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