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2012.01.06
次世代ロボを起点に地域のあり方、ゴールの明瞭化を、多摩ロボ研究会

 モノづくり日本会議は2011年11月25日に、「多摩ソーシャルロボットテクノロジー研究会」を開催した。東京・多摩地域で生活支援ロボットを活用した新たな社会サービスの実現を目指し、2011年10月に発足した。参加メンバーによる事業戦略会議を実施したほか、ロボットビジネス推進協議会の幹事を務めるMOTソリューションの石黒周代表取締役が次世代ロボットの社会実装およびビジネス創出をテーマに講演した。

高齢者の社会参加に向けたサービス提供                    

 モノづくり日本会議は、2011年10月にモノづくり推進会議から名称を変更し、事業プログラムを刷新した。多摩ソーシャルロボットテクノロジー研究会は従来の「地区別研究会・多摩ロボット分会」を発展させた組織で今回、初会合を開いた。

 同研究会の目的は、ロボットテクノロジーを導入して地域密着型の新たなサービスを創出し、災害に強く、かつ高齢者が“居甲斐”を持ち続けて生活できる社会の構築にある。様々な社会サービスを集積した「社会サービスデータベース(DB)」と、地域高齢者の社会参加への能力などのデータを集積した「高齢者生活機能DB」を構築し、これらDBをマッチングして高齢者に社会参加に向けたサービス提供を行う。高齢者の健康状態や嗜好、生活パターン、介護情報を活用することで、より効果的な防災サービスや健康・介護サービスを創出できるようになる。
 介護福祉ロボットや健康機器、住宅、モビリティなどを手がける企業はDBを使って地域の利用者のニーズにあった製品を開発し、自治体は高齢者向けの各種事業を充実できる。

 研究会の会員には菊池製作所、システム・インスツルメンツ、アルメディオといった地元企業のほか、大和ハウス工業やパラマウントベッド、富士重工業、東京都、八王子市、東京大学、東京工業高等専門学校などが参加する。

 研究会の前身の多摩ロボット分会からアドバイザーとして参加する東京大学の佐藤知正教授は「企業や大学、NPO、自治体が情報を共有し、複数者が連携して地域の高齢者をケアしていく仕組みが必要」と指摘しており、同研究会が産学官連携の推進役となって地域ネットワークを構築していく。参加企業や自治体は、今後4年間で実際の機器開発やサービス提供を実現していく。

地域の将来をどうするか?をもっと考えるべき、石黒氏

 次世代ロボット(非産業用ロボット)の社会実装および、その産業化が起こり得るのかどうかという疑問は無意味と考える。広義のロボットテクノジー(RT)の社会実装をなくして、今後のわが国の社会生活が成り立つわけがなく、必ずそうなるからである。
 わが国のロボットの研究は、間違いなく現時点では世界一である。が、ビジネスを展開するうえで重要な資源であるテクノロジーは良質だが、それと社会実装や産業化はまったく別物である。新たな市場や産業を興す際は、これらに向けた適切なアプローチが要求される。つまり、20世紀型のマスケーティング・マスプロダクション型のビジネスモデルではなく、ビジネスモデルの革新が求められている。

 私がいう「次世代ロボット」とは、「人と協働する機械システム」のことであり、「人に代わって、あるいは人と協働してベネフィットを提供するシステム」と定義づけている。技術的には、ロボットの3要素であるセンサ、コントローラ、アクチュエータを統合したシステムである。

 次世代ロボット産業化に向けては、何よりグランドデザインを描くアーキテクト(全体設計者)の存在が不可欠だ。現在、ロボットやRT要素のメーカーは開発投資を回収可能な市場セグメントをなかなか見つけられないでいる。そのため比較的市場規模が大きそうな介護福祉分野に進出し、この領域で事業化しようと模索している。
 過去の取り組み例を振り返ると、サービスロボットという一体型ハードウエアを売ることがビジネスの中核であると初めから決めつけている。(サービス事業者の未成熟もあり)非産業分野に向けた提案では高度なカスタマイズやローカライズが求められることを踏まえると、いきなり製品やシステムを提案するのはなく、サービス事業者やメーカー、エンドユーザーなどと対話し、つなぎ合わせるような取り組みが求められる。また、そうした役割を担う人材を「RTシステムプロデューサー」を表現しているが、こうした人材の育成・輩出も必要と考えている()。

rt-system.png

 RTシステムを組み込んだ事業化における事業者間の構造(石黒氏の講演資料より作成)

 市場のニーズと技術の進展、競争による差別化の3つの要素をうまくバランスさせる中で、個々の企業は着地点を考え、ビジネスのプロセスをきちんと意識しなければならない。そして、まずはビジネスモデルの定義が必須であり、これがなければ同じような失敗が繰り返されるだけだ。

 私はいくつかの地域でロボット産業の立ち上げに関わってきた。地域が新しい産業を興したいという場合、ロボットがよく候補にあがる。モノづくり企業が集積しているからというのがおもな理由であり、地域で勉強会を開催し、試作機を開発し、実証実験に乗り出すが、適切なビジネスモデルがないために実用化および事業化に至っていないのがほとんどである。また、非産業分野に向け次世代ロボットを提案しているにもかかわらずサービスを領域外と捉えていることも、ビジネスモデルを検討しないことにつながっている。

 地域におけるロボットの産業の立ち上げに向けては、アーキテクトやRTシステムプロデューサーを育成するか、または呼び込む必要がある。そして、次世代ロボットを起点に地域の将来をどうしようかというゴールを持ってほしい。少なくとも、ロボットの産業化がゴールではないはずだから。


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