三菱電機の野田哲男氏は、12月23~25日開催の「第12回 計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会(SI 2011)」で、2011年10月にプレス発表した、バラ積み部品供給が行えるロボットセル(写真、動画)を紹介。扱う部品形状の複雑さと実現されるタクトタイム、ロボット台数それぞれのパラメータに関係性を見出せることを明らかにした(図)。これを活用することで、様々な制約条件のもと、必要なロボット台数を決定したり、あるいは設計変更に役立てたりすることができ、導入先に応じて効率的にシステム提案が行える。三菱電機では、同ロボットセルを構成するコンポーネントをシステムインテグレータ(SI)に提供することを計画しており、このようなノウハウも併せて提供されると思われる。
写真 2011年10月に発表したバラ積み部品のランダム・ビン・ピッキングからパレット上への配列が行えるロボットセル
三菱電機のロボットセルは、従来のランダム・ビン・ピッキングと異なり、部品の認識から整列までの作業を分割・単純化することで高速な作業を可能にしている。具体的には、部品のピッキングと平面上への仮置き、部品形状および位置姿勢の認識、複数ロボットによる姿勢変更(姿勢反転)ならびにパレットへの配列、という作業を分割している。1つの部品を平面上にいったん仮置きすることで、複雑形状部品の位置姿勢の認識および把持を単純化したことにポイントがある。
このような作業内容に伴い、システムは天吊りにした4台の垂直多関節ロボットから構成される(写真)。部品箱の中の部品をピッキングする1台目のロボットには、3次元距離センサをハンドカメラとして搭載。天井には2次元カメラを設置しており、仮置きした部品の位置姿勢を認識する。そして、2台のロボットが把持して3台目のロボットに手渡し、ハンドリングしやすい位置姿勢に変更した後、4台目のロボットがパレットに配列する。単純形状の部品を扱う場合は、2台目のロボットがパレットに配列を行う。システムおよび作業の流れの詳細は、こちらを参照してほしい。
動画 「2011国際ロボット展」で公開したロボットセルのデモ
野田氏による説明は、平面上で部品がとり得る安定姿勢に着目してなされた。安定姿勢の数の大きさは、部品形状の複雑さに左右され、例えば、表裏の区別が不要な平座金のような部品では安定姿勢数は「1」(図中の◇)、表裏の区別が必要な円盤状の部品では「2」(図中の△)となる。同ロボットセルが扱う複雑形状部品の場合、例えば、各方向に角が突き出しているような部品は、最小凸包(とっぽう)を構成する平面と重心位置の関係から求められるが、安定姿勢数の上限を決定して運用することになる。
この安定姿勢数と、実現されるタクトタイムとロボット台数には関係性があり、図のように、安定姿勢数が「5」(図中の□)になる複雑形状部品を扱う場合、4台のロボットを使用すれば、安定姿勢数が「1」と「2」の部品と同じタクトタイムを実現することができる。逆にロボットの台数を低減し、1台のロボットの作業内容を増やすとタクトタイムが増大する。
このような図に示された関係性を活用することにより、設置スペースや指定されたタクトタイムといった制約のもと、ロボット台数を決定したり、設計変更など設計へのフィードバックに役立てたりできるとした。三菱電機では、同ロボットセルを構成するコンポーネントをSI に提供することを計画しており、こうした知見も併せて提供されると見込まれる。
図 平面上で部品がとり得る安定姿勢数と、実現されるタクトタイムとロボット台数との関係(野田氏の講演資料をもとに作成)
また、同ロボットセルの一部は「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(2007~2011年度、NEDO)を通じて開発しており、ソフトウエアコンポーネント(知能化コンポーネント)を用意している。
野田氏は、図には表れていないとしながらも、仮に1台のロボットで部品の姿勢変更を行おうとすると、それに伴い、追加する仮置き台の設計・製作コストがかかることになり、ロボットではなく専用の反転装置を使う選択をすると、それにかかる設計・製作コストがかかることになる。したがって、同ロボットセルではロボットを多用するものの、ソフトウエアコンポーネントを活用してシステム構築を行うため、コスト的に有利となり、また、SI の生産性ならびに労働単価の向上につながるとした。
【参考文献】
[1]野田哲男,永谷達也,堂前幸康,長野陽,北明靖雄,田中健一,“バラ積み部品供給可能なセル生産ロボットのシステム設計論”,第12回 システムインテグレーション部門講演会,2011.
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