甲南大学 知識情報学部の中山弘隆教授の研究室は、2台のコミュニケーションロボット同士によるロボット漫才を披露した(写真、動画)。入力したWebニュースから漫才の台本を自動生成することが可能。タイトルおよび本文から人名や一般名詞を取得して、韻を踏むボケや人名の勘違いによるボケができる。難解な情報をやさしく伝える手段として漫才を披露したが、平叙文から会話文を自動生成する技術を応用することで、より平易なマンマシンインターフェースの実現につながると期待される。
研究成果をPRするコミュニケーションロボット「ii-1(愛称:あいちゃん、左)」と「ii-2(愛称:ゴン太、右)」に、同学部の灘本明代教授が開発した漫才台本自動生成システムを実装した。あいちゃんに漫才全体を統括管理するシステムを実装しており、ここから指示を受けた各ロボットの統括管理プログラムが眼の表情となるFlashを表示したり、移動制御をしたりしている。あいちゃんがツッコミ担当、ゴン太がボケ担当となっている。
漫才は、「つかみ」「本ネタ」「オチ」の三段論法にて構成され、実装した自動生成システムでは「本ネタ」と「オチ」の部分を生成する。
具体的には、構築した「Manzai-XML」により、あらかじめ設定した演出に沿って「本ネタ」を生成している。また、最後の「オチ」は、頻出度が高い単語をもとに記事で関連性が高いジャンルを推定し、該当するギャグをランダムに抽出してボケている。「つかみ」については、あらかじめ作成したシナリオにもとづいて行っている。
「本ネタ」で披露しているボケは次のような流れで生成する。まず、入力したWebニュースを単語単位に分割し、そこから一般名詞を取得。同時にタイトルから人名と一般名詞を取得する。
次に、韻を踏むボケを生成する場合は、取得した一般名詞をローマ字変換し、登録辞書の中から母音の並びが同じ一般名詞に置き換える。具体的には、動画1で確認される『実現〔GITSUGEN:母音の並びは、I+U+E(+N)〕』を置き換える場合は、アイウエオ順で母音の並びが同じ言葉を当てはめていき、マッチした一般名詞に置き換える。ここでは『SHITUGEN:母音の並びは、I+U+E(+N)』にマッチしたことから再度、漢字変換して『湿原』とボケている。
動画1 俳優の武田鉄矢の復帰に関する話題で漫才をしている。当日は、ボケ担当のゴン太の足回りの調子が悪く、ツッコミ担当のあいちゃんの方を向いて漫才ができなかった
また、人名の勘違いによるボケを生成する場合は、「Yahoo!人物名鑑」を参照し、愛称や年齢、所属、出身地など取得した属性情報をもとに関連性が高い人物に置き換える。同時に、関連性の高い人物の属性情報を取得して、ボケるための紹介文を自動生成する。例えば動画2では、なぜか「イチロー」のことを「マイケル・ジョーダン」と勘違いしているが、『ニューヨーク・ブルックリン区出身の(48歳)の・・・』と紹介しつつボケることで『それイチローやなくってマイケル・ジョーダンやないか!』と、ツッコミを引き出している。
動画2 イチローが11年連続200安打を達成できなった話題で漫才をしている。イチローの話題からマイケル・ジョーダンが出てきた理由はよくわからないという。何らかの関連情報を引き出して抽出したと思われる
知識情報学部は2008年4月に新設した学部で、知覚情報処理や感性情報処理、人工知能など知的情報処理を専門とするコースから構成されることから、披露した2体のロボットは対話機能など知能を重視して開発している。
音声認識にはオープンソースの「Julius」を使用。音声合成には米Microsoft社のAPI「Speech API 5.1」を利用し、音声合成ミドルウエアにはアクエスト社の「AquesTalk(アクエストーク)」を使用している。眼の表情はFlashを利用したアニメーションによりつくり出している。また、足回りには米Mobile Robotics社の「Pioneer3-DX」を使用している。ロボットのデザインならびに筐体設計は、アートラボの中山智博代表が協力した。
今後は、自己位置推定や画像処理などの研究成果の実装を検討しており、接客した後に自律で部屋に戻ったり、不審者を発見した際は発報したりすることも考えている。「案内もしくは警備に使えるロボットを追加することを予定している」(中山教授)。今後も、オープンキャンパスなどで、これらのロボットを継続的に活用することで学部の紹介に役立てていく。
なお、2009年10月に取材したときは、永田亮講師が開発した「質問応答システム」を実装することで、参照したWebサイトなどから応答用の辞書を自動生成し、返答する様子を披露した。詳細はこちらを参照してほしい。
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