長岡技術科学大学の木村哲也准教授(写真)は21日、2011年12月に開催した「サービスロボット中級安全技術者認定講座」(国際レスキューシステム研究機構、安全工学研究所主催)で合格者が2名(一部追試を実施)にとどまったことに触れ、わが国の技術者に総じていえる傾向と前置きしたうえで、安全コンセプトの作成に課題があったことを明らかにした。規格や法律にもとづいて安全コンセプトを組み立て、かつ論理的に説明できる能力の必要性を訴えた。
写真 同講座で現在、策定中のパーソナルケアロボットの国際安全規格「ISO 13482」の概要を紹介する長岡技術科学大学の木村准教授
同講座は、サービスロボットの安全性確保に必要な国際安全規格に加え、安全認証の手続きや、残留リスクの管理を利用者に移譲するための関連図書(安全コンセプト)の作成方法などを、実習を交えて短期集中で指導している。
初級講座はリスクアセスメント(RA)の理解に重点を置くのに対し、中級講座ではRAの結果にもとづき、リスク低減方策の検討および実施に重きを置いている。関連規格や法律を参照しつつ合理的代替設計をはじめとするリスク低減方策を組み立て、説明できることを求めたが、「単純に規格に準拠したような答案が目立った」(木村准教授)。
例えば、機能安全規格「IEC 61508」での第三者認証機関(登録認証機関)による認証は、「コンセプト認証」と「製品認証」の2段階でなされる。前者では、開発する製品のリスクが正しく抽出されているか、また、それにもとづいてSILが適切に規定されているかなど、製品安全に対するコンセプトを検証する。おもに安全コンセプト(Safety Concept)と安全要求仕様(Safety Requirement Specification)、機能安全管理計画(Functional Safety Management Plan)の提出が求められる。後者では、前者で合意した安全コンセプトや管理計画にもとづいて開発がなされた結果、各種ドキュメントや適合確認、監査結果をもとに安全規格に順守して開発されているかを検証する。前者を重要視しており、今回のような結果では、コンセプト認証に相当時間を要することが伺われた。
また、RAにも問題があり、自分の専門分野や得意分野ばかりを詳細に実施する答案が目立った。サービスロボットのRAでは、それ特有の重大な危険事象を抽出するために使用環境や、利用者との相互関係なども考慮して実施しければならない。にもかかわらず、機械や電気電子、制御など「それぞれの専門分野ばかりに集中するあまり、これらを見落としている」(同)とし、的確なRAの実施に向け幅広く検討することを強く求めた。このようなRAの問題は、社会人を対象にしたRAの講座では、よく見られる傾向という。
木村准教授は「規格に準拠するだけでは単なる試験屋にすぎない」とし、サービスロボットの設計者には「規格や法律にもとづいて安全コンセプトを組み立て、かつ論理的に説明することが求められる」。そして、「自分がサービスロボットの安全を見る!という意思を強くもってもらえば、安全コンセプトを的確に行えるはず」と続けた。
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