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2012.01.12
第7回 竸基弘賞に東北大の永谷准教授ら、21日に授賞式と記念講演

 国際レスキューシステム研究機構(IRS)は11日、レスキュー工学を担う若手研究者や技術者を奨励する「第7回 竸基弘(きそいもとひろ)賞」の受賞者を発表し、「学術業績賞」に東北大学の永谷圭司准教授を、「技術業績賞」に東京工業大学の黄雅雯氏に決定した。また「第4回特別賞」として、福島原発事故への対応に向け災害対応ロボット「Quince(クインス)」の開発・提供で協力している千葉工業大学と東北大学、工学院大学からなる「Quince開発チーム」を選んだ。授賞式と記念講演は1月21日に神戸国際会議場(神戸市)で行う。

  今回、決定した受賞者および研究テーマは、東日本大震災および福島原発事故への対応に寄与しており、これまで以上に実績にもとづいた選考となった。

 永谷准教授の受賞テーマは、「サーチ&レスキュー用不整地移動探査ロボットの性能向上に関する研究」。おもに3つの研究テーマに取り組んでおり、1つはジャイロスコープを用いた3次元での自己位置推定技術。2つ目は、距離センサによる路面の凹凸情報の取得および、それによるサブクローラの自動制御。3つ目は、これらの機能と3次元距離センサとの統合による3次元での環境情報の取得。「RoboCup Rescue2009世界大会」において広域模擬被災地の情報取得に成功している。
 また、これらの機能はQuinceに実装されており、より高精度な移動や操作性の向上に寄与したことが評価された。

  黄雅雯氏の受賞テーマは、「水難救助用ロボットの研究開発」。東工大は昨年4月にIRSの活動として、東日本大震災の被災沿岸部で水中探索を行っている。そのときに活用したのが水中探査ロボット「アンカーダイバー3号機 AK-3」であり、同氏はその開発に携わっている。
 アンカーダイバーは母船からワイヤで牽引して使用するシステムで、2自由度のスタスターにより母線上から最大20mのエリアを移動し、2次元イメージングソナーとハイビジョンカメラを用いて海底を調査する。ワイヤを常に張った状態で作業ができるため、従来の水中探査ロボットのように海底中の瓦礫などに絡まることが少ない。安定性の高いシステムを実現したことが評価された。

quince_0112.jpg Quince開発チームは、過去に何度も紹介してきたが、福島原発事故への対応に向けQuince(写真)の改造および提供で東京電力に協力している。
 6月24日のファーストミッションを皮切りに、原子炉建屋内での線量計測およびダストサンプリング、環境計測、配管類の調査などで活用されており、中でも、7月26日に実施した冷却系配管の調査結果は、1カ月後には非常用炉心冷却系〔炉心スプレイ(CS)系〕の稼働に役立てられ、その高い冷却効果により(燃料上部からシャワーのように注水して直接冷却)原子炉の安定冷却につながっている。現在も追加投入に向け開発を継続しており、こうした貢献が高く評価され、特別賞の受賞となった。

  そのほか、レスキューロボットコンテスト(レスコン)およびロボットジュニアレスキューチャレンジの参加者、計測自動制御学会SI部門の参加学生を対象に「奨励賞」を授与しており、「レスコン奨励賞」に金沢工業大学 夢工房の「MS-R」チームを、「ロボカップジュニアIRS賞」に行成元気さんと鈴木啓太さんを、SI参加学生に与える「レスキュー工学奨励賞」に神戸大学の佐伯一夢氏をそれぞれ選んだ。

 竸基弘賞は、1995年の阪神淡路大震災で亡くなった同氏の意志を継ぎ、その夢の一部でも実現することを期し、また、6,000名以上の亡くなられた方々を忘れないために、10年を経た2005年に創設された。松野文俊IRS副会長が神戸大学在職時(現京都大学)に指導した同氏は将来、「ドラえもんのような人を癒し助けてくれるようなロボットを作りたい」との夢を語っていたという。


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