花水木法律事務所の小林正啓弁護士は、12月23~25日開催の「第12回 計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会(SI2011)」のパネル討論会で講演し、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」の問題に言及。災害対応ロボットの実用化は、海外展開や海外派遣などグローバリゼーションの中で議論しなければ達成されない(図1)としながらも、軍事転用しやすいという特徴から「外為法が大きな障壁になる可能性がある」と指摘した。「輸出自由を原則とした制度設計へと改められない限りは、わが国の災害対応ロボットの未来は拓けない」とし、その改善を求めた(図2)。
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災害対応ロボの実用化に求められる条件(図1、左)と外為法との関係(図2、右)
現在の外為法の問題として、おもに(1)禁輸出該当基準が曖昧であること、(2)輸出手続きが煩雑であること、(3)外国(人)との共同開発・共同研究の妨げとなる可能性があること、の3点をあげた。
まず(1)は、小林弁護士へのインタビュー記事でも触れたが、災害対応ロボットのように先端技術製品が規制対象として明文化されていないため、開発投資をする以前に輸出の可否を判定できない。
具体的な規制対象は「政省令(政令・省令)」に委ねているが、“原則自由・例外許可”のスタンスをとる外為法に対し、“原則禁止・例外許可”のスタンスをとっており、さらに、政省令および通達により例外許可条件を多重に規定している。このような状況は「企業にとって大きなリスクであり、結果、研究開発を非常に難しくしている(躊躇させている)」と指摘した。
次に(2)は、昨年9月の新東洋機械工業による中国への不正輸出などを例に説明。この事件では、外為法にもとづく「輸出貿易管理令」で輸出が規制されていた製品を、納期に間に合わせること理由に、許可申請をしないまま輸出したとされている。煩雑な手続きのために、このような脱法行為が多発し、さらに手続きの煩雑化という悪循環を招いているわけだが、「この状況を解決しない限りは、発災時に災害対応ロボットを迅速に(48時間以内に)海外投入できない」と、将来、海外展開の障壁となる可能性を述べた。
そして(3)は、昨年12月の東京工業大学でのイラン人入学拒否事件を例に説明した。東工大が入学を拒否した背景には、文部科学省が国連安保理決議1737号を受け、核開発疑惑のある同国研究者および学生との交流に留意を求めた通達がある。これは外為法の技術情報取引規制にもとづいてなされており、同規制では国内「居住者」から「非居住者」への特定技術情報の提供を禁止している(外為法25条1項)。外国人の場合は、原則的に非居住者となるが、入国後6カ月以上が経過すれば居住者となる。
入学拒否をされたイラン人は2003年に入国しており、2008年には難民認定を受け、2010年に入学申請を行っている。外為法25条1項の適用には該当せず、イラン国籍を理由に入学拒否をすることは違憲となる。
しかしながら、「居住者」に該当するとしても、イラン人の背後関係は不明であり、提供した技術情報がどのように扱われるかにより、学生を受け入れた研究室(教授)は幇助犯として扱われるリスクがないわけではない。仮に、小林弁護士が大学側から相談を受けた場合は、「問題が発生して開発助成金を削減されるコストよりも、イラン人に訴訟で負けるコストの方がまだマシ、との助言をせざるを得ない」とし、結果、「このような考えが外国人との共同研究および開発に重大な萎縮効果を及ぼす」との見方を示した。
小林弁護士は、災害対応ロボットの実用化に向けてはグローバリゼーションを前提に検討しなければならないとしており、具体的には、海外マーケットの確保に加え、標準化を可能にする国際的な共同研究・共同開発体制の構築や、国内は24時間、アジアでは48時間以内に投入できる体制の確立が必須としている(図1)。ゆえに、上述の外為法の課題を踏まえ、輸出管理制度の改革の方向性は「輸出の自由を原則とした制度設計にある」とし、さらには「禁止範囲の縮小および明確化、事前規制から事後処罰への変革が求められる」と訴えた(図3)。また、そうした改革がなされない限りは、災害対応ロボットの未来は拓かれないとも述べた。
図3 小林弁護士が示した、災害対応ロボの実用化を見据えた輸出管理制度改革の方向性
●花水木法律事務所のブログ
※小林弁護士のブログでのコメントは、ロボット開発に重要な示唆を与える内容が多い。ぜひ参考にしてほしい。
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