サービスロボット

2011.12.12
竹田設計工業、ツアーガイドロボ公開、自己復元機能による安定姿勢を披露

 竹田設計工業は11日、中部国際空港セントレアにて、岐阜工業高等専門学校や愛知工業大学などと共同開発を進めている「ツアーガイドロボット」を公開し、来場者との触れ合いイベントを実施した。倒立2輪型の移動ロボットでありながら、実装した自己復元機能により子供たちに乱暴に扱われても安定姿勢を維持できる様子を披露した(写真動画1)。科学館や博物館などでの展示物の案内サービスへの適用を目指すとともに、要素技術などを開発グループ内で共有することを計画する。同社としては、ロボットの受託開発など開発技術を生かしたロボット事業につなげる。

動画1 子供たちに取り囲まれて、かなり乱暴に扱われたが、安定姿勢を維持し続けた

tour-guide.jpg あいち産業振興機構による「あいち中小企業円高対応支援基金」を活用して実施した。航空宇宙や自動車分野の設計・開発を手がける竹田設計工業は、数年前よりロボット事業への展開を模索しており、岐阜高専や愛知工大の協力のもと、関連する要素技術の習熟に努めてきた。今回のイベントは過去数年にわたる同社の取り組みを広報する意味合いが強く、これを機に事業化に向けた動きを加速する。

  公開したツアーガイドロボットは、科学館や博物館などで来場者とインタラクションしながら展示物を案内するロボット(図1)。スタッフ(助手)による遠隔操作で移動し、助手と連携して説明や誘導を行う。
 リモートブレイン方式を採用しており、音声や画像などの処理は外部PCで行う。音声合成ミドルウエアにはアクエスト社の「AquesTalk(アクエストーク)」を採用。音声認識には「Julius(ジュリアス)」、画像処理には「OpenCV」とフリーソフトを使用し(今回はまだいずれも実装していない)、遠隔操作にはサンリツオートメイションの遠隔操作IPシステム(動画2)を用いるなど、入手しやすい技術を活用している。

動画2 ツアーガイドロボットは遠隔操作による運用した。本体上部中央に設置したカメラによる映像を確認しながら操作する

 また倒立2輪機構に、愛知工大の奥川雅之准教授が考案した自己復元機構(*1)を採用したことも特徴としており、重心位置を回転中心より下方に配置することで生じる復元力により倒立を維持することが可能。ダルマや起き上がり小坊師のように、横方向から強い力が加えられても電源を遮断しても倒立状態に復帰したり維持したりすることができる。機構設計の工夫により本質安全設計を達成(*2)しており、今回のイベントでは大勢の子供たちに囲まれて乱暴に扱われるシーンが目立ったが、安定姿勢を維持し続けた(動画1)。

*1:同機構の採用に伴い、一般的な倒立二輪と違い、加速度センサとジャイロセンサにより本体の姿勢角を計測している。姿勢角に関する定常偏差や、傾斜路や段差乗り越え時に静的な姿勢変化などが生じ、ジャイロセンサのみでの計測が難しいからで、外乱推定オブザーバを応用したセンサフュージョンにより姿勢角を検出する。

*2:倒立2輪型の移動ロボットでは、異常時の緊急停止(動力機構への動力供給の遮断)により新たな危険を生じるため、停止した後も倒立状態を監視することが求められる。例えば、制御システムの安全を規定する「IEC 60204-1」では、「停止カテゴリ2」として「動力機構への動力供給を維持したままで停止状態とする制御された停止」を規定しており、パーソナルケアロボットの国際安全規格「ISO 13482」にて、停止カテゴリ2を取り入れることが提案されている。

 イベントでは次の展開を見据え、併せて公開した「ずんどうロボット」(動画3)によりマーカを画像認識してガイドを行うことも試みた。イベントスペース内に設置したマーカを認識し、そこに移動して来場者に説明を行う。認識環境が著しく不安定な状況下で一定程度の認識率を確保することにより、マーカ認識を活用した展示物の説明に役立てることを計画している。

動画3 ずんどうロボットによるプレゼン。マーカを認識してイベントスペースの中央まで移動し、説明を開始している。ツアーガイドロボットと同様の機構を採用している

 ツアーガイドロボットは開発途中の段階ではあるが、竹田設計工業によると、すでに複数の問い合わせを受けているという。過去に、開発に協力する岐阜県各務原市のかかみがはら航空宇宙科学博物館で実証実験を行っているが、さらに検証を進めていくことで製品化ならびにビジネスモデルの構築につなげていく。
 将来的には、愛知県および岐阜県におけるロボット産業の活性化も見据えており、遠隔操作ロボットの開発技術を通じて、開発グループを拡大していくことも計画(図23)。具体的には「ロボットサービス」の下に、プラットフォームとなる各種要素技術を有する企業群が、中間層にはロボットデザインを手がける企業や人が、中間層の上位層には、企画立案、販売・サポート担う企業や人がそれぞれおり、そこに研究機関や自治体、NPOが参画する開発コミュニティの形成をイメージしている。
 竹田設計工業には要素技術を活用した設計・開発を担うことが期待されており、同社ではこうしたポジションニングでの事業化の可能性を引き続き検討していく。

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図1 ツアーガイドロボットの運用イメージ

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図2 ツアーガイドロボットの開発グループの連携

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図3  ロボット産業の活性化に向けて目指している開発コミュニティの概要


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