ビジネス/経営

2011.12.21
ファナック、新工場を稼働、従来比2倍の月産5000台体制へ

 ファナックは12月20日、山梨県忍野村の本社で産業用ロボットの新工場を稼働した(写真はロボットセルの一例)。月産能力は従来比2倍の5,000台体制になる。一方、安川電機は海外工場の建設を検討しており、翌21日に概要を発表した。中国やインドなどの新興国のロボット需要は中長期に伸びる見込み。これを受けて供給能力を引き上げる。

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 「世界最大のロボット工場が完成した。国内を含めて中国、欧米などの全世界にロボットを販売する」。完工式で稲葉清右衛門ファナック名誉会長はこう胸を張った。延べ床面積4万㎡の本体組立工場と同1万5,000㎡の部品加工工場などから成り、「ロボット需要は世界的に伸びている。これに十分に追いつくための生産体制」(稲葉善治社長)を整えた。

 部品加工工場はマシニングセンタ(MC)と大型ロボット、小型ロボットで構成されるロボットセルが並ぶ(写真)。ロボットには視覚センサーを搭載しており、大型ロボットがMCに投入する加工対象物(ワーク)を持ち上げ、小型ロボットが精密位置決めして治具にセットする。一連の動作は無人で24時間連続稼働する。徹底した自動化により円高を克服する。

 ファナックのロボット事業は好調に推移している。2011年4~12月期は受注高、出荷台数、売上高とも過去最高を記録する見込み。中国・上海工場で本体以外の周辺システムを組み立てており、システム提案で受注を積み上げた。
 一方、安川電機の本社工場は月産能力2,650台。現在、策定中の2013~15年度の販売計画は能力を上回るため、南善勝取締役は「アジアに新工場を建設することを検討する。現地生産で為替や災害のリスクを回避したい」としている。

 2008年秋のリーマン・ショック以降、産業用ロボットの需要地は海外に移ったが、日本勢は海外生産に踏み切れなかった。基幹部品のサーボモータや減速機は日本製が独占しており、調達が課題だったからだ。ただ、安川電機は中国遼寧省瀋陽市内のサーボモータ新工場が来夏に稼働する計画(関連記事はこちら)。減速機メーカーも中国生産を検討しており、南取締役は「海外生産の条件が整いつつある」と自信をみせる。

 国際ロボット連盟(IFR)の調査によると、2011年のロボット販売実績(見込み)を過去最高の14万台と予測。2012年~14年にかけて年平均6%で増加し、2014年に16万7,000台としている。このうち中国が3万台と全体の約20%を占める。これを受け、安川電機は自動車向けスポット溶接ロボットのエンジニアリングサービスを北京と上海の両拠点で提供している。ファナックも上海子会社でシステム提案用の設備や人材を拡充し、サービス体制を整えた。

 海外勢は日本勢よりも中国進出が早い。スイスABB(要素部品を日本から調達する事情もある)と独KUKAは1990年代から中国販売を始めた。ABBは2005年から上海生産を開始し、現在は1/3を占める。現地に研究開発部門も置いている。KUKAも中国で組み立てを始めている。日本勢は生産増強とともに、販売やサポート、サービス体制の整備を急いでいる。

(取材&テキスト作成:日刊工業新聞社 川口哲郎)


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