東洋理機工業は、11月9~12日開催の「2011国際ロボット展(iREX2011)」で綿菓子をつくる双腕ロボット「綿菓子ロボット」を公開。人と同じように、綿菓子機の中央にある釜にザラメを投入し、釜の細かい穴から糸状になって出てきたザラメを割り箸で絡め取る技を披露した。糸状になって出てくるザラメは不規則な回転運動をしており、人でもきれいに絡め取るのは難しい。ティーチング・プレイバックのみで実現しており、同社の高度なシステムインテグレート力の一端を示した。会期中は東日本大震災の被災者への義援金を受け付けており、綿菓子を食べた来場者はぜひ、協力してほしい。
動画1 ティーチング・プレイバックのみで綿菓子をつくる綿菓子ロボット。幸運にも編集者が最初のお客となった。
綿菓子ロボットは、調理という高度な作業を通じて、非製造業における産業用ロボットの新たな用途開発を議論してもらうことを目的に開発した。iREX2007に出展した「たこ焼きロボット」、iREX2009の「お好み焼きロボット」に続く3回目の取り組みとなる。先週紹介した記事の通り、産ロボの汎用性の高さを知ってもらうために、視覚センサなどは一切使用せず、ティーチング・プレイバックのみで調理を行う方針を掲げている。
過去に扱った対象物はいずれも超柔軟物であり、ハンドリングが非常に難しい。しかしながら、たこ焼きはたこ焼き機の溝の中で加熱することで、お好み焼きは鉄板で加熱することで、それぞれ形状が安定する。これに対し綿菓子は、糸状になって出てくるザラメは綿菓子機の中で不規則に回転運動をするうえ一向に安定しない。しかも、二度として同じような回転運動をすることがない。ゆえに、これまでに扱った対象物の中で最も扱いが難しいといえる。会期前日の深夜まで続いたトライ&エラーのすえ、ティーチング・プレイバックのみで実現してみせた。
調理作業は、人と同様のプロセスで進める。まず、左手でスプーンを、右手で割り箸をそれぞれ把持する。専用ハンドは使用せず、いずれも2爪並行開閉グリッパーで把持する。次に、左手でスプーンを使ってザラメを綿菓子機の釜に投入。釜の細かい穴から糸状になって出てきたザラメを、右手で把持した割り箸で絡め取る。きれいに絡め取ったらスライダー機構に挿入し、最後に、右手でスライドさせて来場者の手前に綿菓子を差し出す。
1つの綿菓子をつくるのに綿菓子機の中で割り箸を計40回転させる。その間、回転させる位置を高さ方向で3段階(上中下)に調整しており、例えば、最初の10回転は割り箸を綿菓子機に深く入れた状態(下)で回転し、次の5回は浅く入れた状態(上)で、さらに次からは少し深く入れた状態(中)で回転させる。最適な割り箸の回転数および回転させる位置(高さ)を見出すことで糸状のザラメを絡め取ることを可能にした。
ロボットには、お好み焼きロボットに続き、安川電機の双腕ロボット「MOTOMAN-SDA10」を使用。各腕7軸、腰部を含め計15軸を有しており、人と同じような腕の動きや姿勢をとることができる。ザラメを釜に投入するとすぐに糸状になって出てくるため、割り箸を把持している右手を綿菓子機に素早く投入することが求められたが、7軸構成の利点を生かしつつ、スプーンを把持している左手に干渉することなく行って見せた。それ以外にも、綿菓子機のカバーに干渉しないように動作をしたり、狭いブース内で右手と左手で割り箸を何度も持ち替えたりするなど、7軸構成の特徴を生かした巧みな軌道計画を見せた。
音声認識・合成機能(エンジンには「Julius(ジュリアス)」を使用)も実装しており、お客から「白」や「ピンク」といったオーダーを聞いてつくり分けることもできる。パーソナルテクノロジーが開発を担当した。
東洋理機工業では、特定用途向けの専用ロボットを提案する「カスタムロボット事業」を展開しており、これまでに栗本鐵工所と共同開発したトランスファー装置や、7軸双腕ロボット、4軸水平多関節ロボットなどを開発している。最近は、創薬やセル培養などライフサイエンス分野への提案にも力を入れており、ストーブリの過酸化水素ガス対応6軸ロボットを利用した無菌環境下での自動化にも取り組んでいる。カスタムロボット事業の一環であり、また、非産業分野における産業用ロボットの用途展開の1つと位置づけられる提案で、今回の綿菓子ロボットの展示は、こうした取り組みをPRすることも意図している。
動画2 2人目のお客さんのために綿菓子をつくっている様子。2人目の客は、同じくロボットラボラトリーのブースに出展した知能技術の大津良司社長だった。同社の出展システムはこちらを参照してほしい。
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《連載》
モノづくりを、サービスを変革する挑戦者たち
►第1回 世界初!エアハンマーのロボット化に挑む・東洋理機工業 細見成人さん
新産業の創造に挑む!なにわのロボット商人たち
►第1回「こんな産業用ロボットの使い方があっても、ええんやない?」 ~たこ焼きロボットが示す次世代産業用ロボットの可能性~ 東洋理機工業 細見成人さん


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