産業用ロボット

2011.11.24
三菱電機、簡素なロボットセルと複数ロボの連携による部品供給セル公開

 三菱電機は「2011国際ロボット展(iREX2011)」で、照光スイッチなど部品点数が少ない製品に向けた簡素な組立セルと、4台のロボットが連携してバラ積み部品の取り出しや整列を行うバラ積み部品供給セルを公開した。前者はIDECのマルチハンドの利用により、1台のロボットで複数部品の同時搬送から組み付け、検査までを可能にしたのが特徴。後者は、すでに紹介した「サーマルリレー組立セル」の部品供給に適用することで、ハンドや周辺装置を変更せずに連続での組立作業を可能にする。

 前者は、天吊りタイプの水平多関節ロボット(スカラロボット)と小型垂直多関節ロボットに、特殊ハンドをそれぞれ搭載することで簡素なセルを構成した。スカラロボットには把持力制御を実装した電動ハンドを使用。照光スイッチを構成するベース、ソケット、LED、レンズの計4種類の部品を把持して中央のターンテーブルに整列(キッティング)したり、完成品を払い出したりする。垂直多関節ロボットはマルチハンドを搭載しており、一度に4つの部品を把持しての搬送から連続しての組み付け、組立後の検査までが行える。
 デモ通じて、簡素なシステム構成ながら、スカラロボットによるキッティングとマルチハンドによる同時搬送および連続での組立作業により高速かつ高信頼な組立作業が行える個とを示した(動画1)。

動画1 マルチハンドと小型垂直多関節ロボット、天吊りロボットの組み合わせによりコンパクトなロボットセルを構成した

 マルチハンドは、IDECより4つのロボットハンドを設置できるベースユニットとして提供されている。ダブルソレノイド4個とセンサ入力16点を搭載しており、計4個のロボットハンドを4方向から設置することができる。作業者であれば3人分に相当する組立能力となり、2個把持タイプのロボットハンドを使用すれば倍の6人分に相当する組立能力を確保することができると、IDECでは説明している(動画2)。

動画2 IDECがiREX2011で公開したマルチハンドの紹介映像

 前者はすでに紹介した、部品箱に乱雑にバラ積みされたワークを取り出し(ランダム・ビン・ピッキング)とパレット上への整列を行うシステム(写真)。ランダム・ビン・ピッキングができるワークは従来、単純形状や、内掴みや吸着パッドで把持できるものに限定されていた。同システムでは、1つのワークをいったん平面上に仮置きすることでワークの位置姿勢の認識および把持を単純化し、複雑形状ワークへの対応を可能にした。

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  仮置きする意味を説明すると、複雑形状ワークでも取り出した後、いったん仮置きすることで、いくつか存在する安定した姿勢で静止する。また、仮置きした場所の高さ方向は既知であるため、より高精度なワークの位置姿勢の推定につなげることができ、この状態で計測すれば、安定した姿勢のうちのいずれかの状態であるかがわかる。つまり、仮置きすることでランダム・ビン・ピッキングにかかる複雑な処理を「取り出し」と「認識」に分割することができ、処理の単純化・高速化につなげられる。
  さらに、同システムでは複数ロボットでワークを持ち替える動作を連鎖させることで、次のロボットがハンドリングしやすい位置姿勢とし、パレット上への整列を可能にしている。このような一連の動作を実行することで、複雑形状ワークの部品供給を実現している(動画3)。

動画3 バラ積み部品供給セルによるランダム・ビン・ピッキングからパレット上への整列作業

 システムは、4台の垂直多関節ロボットから構成され、1台目のロボットは3次元距離センサをハンドカメラとして搭載。2台目以降は天吊りとしている。それぞれ力覚センサを備えるが、センサ情報はフィードバックしていない。また、天井には2次元視覚センサを設置しており、仮置きしたワークの位置姿勢を認識する。

 作業の流れは、まず1台目のロボットが部品箱から1つのワークをピッキングし、平面上にいったん仮置きする。ピッキング時は、3次元距離センサによりバラ積みされたワークの距離画像を取得し、ある高さ(Z軸方向)でセグメンテーションを行う。抽出したセグメントからハンドが挿入可能なすき間を探し出し、把持位置を決定する。ここでの作業内容はサーマルリレー組立セルで実行しているビン・ピッキングと同じである。なお、ワーク同士が絡まったことが原因で仮置き台に複数ワークが置かれた場合は、エラーとして排除している。
 次に、仮置きしたワークの位置姿勢を2次元カメラで認識。事前に登録した部品情報をもとにワークをシルエットで認識し、位置姿勢を確認して把持する。そして、3台目のロボットに手渡してハンドリングしやすい位置姿勢に調整した後、4台目のロボットがパレット上に配列する(動画3)。ワークが単純形状の場合は、2台目のロボットがパレット上に整列する。

 同システムでは周辺装置やハンドの変更なしで10種類以上のワークを扱うことができる。部品供給に適用すれば専用治具やパーツフィーダが不要となり、柔軟性を備えるロボットセルを構築することができる。部品点数が10点以上に上れば、パーツフィーダなどを利用する場合と比較して導入コストを抑えられるとしている。

 なお、来月23~25日開催の「第12回 計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会(SI2011)」では「循環産業育成を目指した自律型セル生産ロボットシステム」のセッションが組まれており、「バラ積み部品供給可能なセル生産ロボットのシステム設計論」をはじめ関連する話題提供がなされる予定となっている。


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