ホンダは8日、4年ぶりにヒューマノイドロボット「ASIMO(アシモ)」の新版を発表。各種センサで認識した情報を総合的に判断して周囲の状況を推定し、適切な行動をとるための基盤技術を開発、実装した。行動の途中であっても状況に応じて対応することができ、例えば相手にプレゼンをしているときに飲み物が運ばれてくるとプレゼンを中断して、それを告げることができる(写真左)。両足でジャンプ(写真右)をしたり凹凸のある路面を踏破したりするなど身体能力の向上も図っており、公共空間での実用化に近づいたとしている。また、ASIMOで培った多関節同時軌道制御技術や姿勢制御技術を応用した「作業アームロボット」の試作機も公開。原子炉建屋内など人が立ち入れないような危険地所での作業に向け提案する。
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とっさに足を出して姿勢を維持する「高次元姿勢バランス」と、周囲の人の動きなどの変化を複数センサの情報を統合して推定する「外界認識」、収集した情報から予測して自ら次の行動を判断する「自律行動生成」を実現した。
自律行動生成について詳細を明かしていないが、2007年に発表したASIMOから行動選択プログラムを導入している。ある目的やタスクに応じて作成した行動モジュールを用意しておき、それを適時選択して行動するというもので、各モジュールの関係は上位行動と下位行動とに、階層に分けてプログラミングがなされている。これらをイベントドリブンで処理することにより、実世界の状況や与えられたタスクに柔軟かつリアルタイムな対応を可能にしていた。今回はセンサフュージョンの技術を高度化しつつ、その考えをさらに進めたと推測され、行動の途中であっても相手の反応に応じて優先度の高い行動(上位行動)への切り替え(割り込み処理)を可能にした。
また、視覚センサと聴覚センサを連動して顔と音声を同時に認識し、複数人の発話を同時に聞き分けられるようにした。2009年のロボット学会でNECが、顔認識機能による人物認識結果とマイクロホンアレイで取得した音源方向の検出結果を統合することで発話者を同定する技術を発表している。顔認識は話者が横を向いていたりロボットが移動したりすると識別が難しくなるが、過去一定期間の顔認識結果を保持し、かつ作成したロボット周囲のマップ上で統合しておき、音源方向の情報を組み合わせることで識別を可能にしていた。これに近い考え方の導入により可能にしたと思われる。
さらに、空間に設置したセンサ情報にもとづき、人の歩く方向を数歩先まで予測し、衝突すると推定される場合は、別の経路を生成して回避することも可能にした。
身体能力の向上も図っており、脚力の向上および脚の可動範囲の拡大に加え、着地位置を動作中に変更する制御技術の導入により9km/hでの歩行やバック走行、片脚ジャンプなどを連続して行えるようにした。これにより凹凸のある路面でも安定姿勢を維持できるようにし、その踏破を可能にした。
また、手のひらに触覚センサを、5指に力センサをそれぞれ内蔵したことで作業機能も向上。視覚センサの情報を組み合わせることで、例えばビンを手にとって蓋を捻ったり、液体が注がれる柔らかい紙コップを潰さずに把持したりすることを可能にした。なお、ASIMOの関節自由度は、頭部3、腕部が7×2、手部が13×2、腰部が2、脚部が6×2と、従来比23自由度増の計57としている。
同日、ASIMOの技術を応用して開発した、10自由度構成の作業アームロボットも発表した。姿勢制御技術の応用により足場を固定できない不安定な場所でもアームの先端姿勢を安定することが可能。タスクに必要な出力を発揮できるようにした。また、多関節同時軌道制御技術を実装することで障害物を回避しながら対象物にアプローチすることもできる。バルブの開閉作業など配管が複雑に入り組んだ狭所での作業を想定するが、エンドエフェクタ部の交換により様々な作業に応用できるとしている。
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