サービスロボット

2011.10.13
ピップ、高齢者のメンタルケアに向けコミュニケーションロボを11月に発売

 ピップは、高齢者や要介護者などに向け簡易なコミュニケーションができるロボット「うなずきかぼちゃん」を開発、11月中旬に発売を開始する。3歳の男の子をイメージしたデザインで、話しかけると頷(うなず)いたり、内蔵センサで自己の状態を認識し、それに適した発話をしたりすることができる。コミュニケーションの活性化により社会参加への促進や認知症の予防などメンタルケアでの効果が期待される。価格は2万1,000円(税込)。ピップのネット通販およびグループ会社のピップケアウェル安心を通じて販売する。初年度となる2012年10月末までに3万台の販売(売上高6億円)を目指す。
 ピップでは介護市場に向けロボット技術を活用した製品開発を検討しており、今回のメンタルケアのほか「監視・見守り」「介助・補完」「身体補助・リハビリ」に向けても具体化していく。

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  ピップは、ピップグループとして介護用品の販売やレンタル、介護施設の運営などを手がけている。これらハードとの対比としてメンタルケアに着目した。高齢者の身体活動能力や障害の程度を計る指標として「ADL(Activities of Daily Living)」が一般に用いられるが、近所の人との会話や行事などへの参加など社会生活に関連する「拡大ADL(*)」の支援を意図している。

*:そのほか歩行や食事など人間の最も基本的な生活機能に関連する「基本的ADL」と、買い物や料理など生活を営む手段に関連する「手段的ADL」がある。詳細はこちら。最近は、生活機能に関連する尺度には国際生活機能分類「ICF(International Classification of Functioning,Disability and Health)」が用いられる。

 5種類のセンサとスイッチを搭載しており、話しかけると頷いたり、自己の状態に対応した発話をしたりすることができる。具体的には3軸加速度センサで姿勢を、光センサで頭を撫(な)でられている動作を検知。両手の振り子スイッチと両足裏の押しボタンにより各種設定や体操モードなどのモードの切り替えを行う。また、各センサにはカウンタ機能を搭載しており、利用者と触れ合い(親密度)に応じて、より多くのセンテンスを発話するようになったり、歌を最後まで唄ってくれたりする。センテンスは400個を収録。会話を学び始める3歳児を想定していることから、意図的にずれた応対をさせることでコミュニケーションを楽しめるようにしている。

動画1 うなずきかぼちゃんの説明(ショートバージョン)

 初期設定時に年代と時間を記憶させることで時間や季節に応じた発話が可能。起床時間や就寝時間など各種設定ができ、これにより生活リズムの改善につながり、健康的な生活や社会参加の促進にもつながると期待される。また介護施設などで利用すれば、要介護者がロボットと触れ合ってくれることで、その時間を使って他のケアに専念できる効果も期待される。介護施設を運営するピップグループとしては、こうした効果を重視している。

 ロボットのサイズは、高さ約28cm。重量は約680g。デザインは、高齢者を意識して「昭和」を感じさせる素朴なものとし、パンツおよび頭髪はかぼちゃっぽくした。音声は音声合成ではなく、聞き取りやすいプロの声優を採用している。
 そのほか、具体的なセラピー効果について、大阪市立大学大学院医学研究科の渡辺恭良教授の協力のもと検証を進めている。40名の被験者に貸し出し、9月から12月までの4カ月間試用してもらい、脳科学的、行動科学的など観点から行っている。2012年2月には論文発表することを予定している。

  ロボットの開発・製造は「たまごっち」などを手がけた玩具メーカーのウィズが協力した。また、ロボット分野でコンサルテーションを行うロボリューションの小西康晴社長が技術指導をしたほか、大阪市のロボットラボラトリーと大阪産業創造館の「健康・予防医療プロジェクト」が支援している。ウィズの設計ノウハウに加え、数世代前の海外製センサの採用などにより低価格化を達成した。産業技術総合研究所の「PARO(パロ)」のように研究開発に投資していないことも寄与している。初回の生産台数は1万。玩具の安全基準「ST基準」に即している。

 ピップでは7割程度の商品をドラッグストアに納めているが、長期的な視点で販売したいとの意図から、ネット販売とピップケアウェル安心を通じての販売とした。啓蒙普及の一環として、大阪市の特別養護老人ホームに向け103体(206万円相当)を寄贈するとしており、10月17日開催の「メディカルヘルスケアフォーラム2011」で平松邦夫大阪市長への寄贈セレモニーを行う。

動画2 うなずきかぼちゃんの説明(ロングバージョン)。ロングバージョンでは歌を最後まで唄ってくれている

動画3 うなずきかぼちゃんの設定の紹介


うなずきかぼちゃん特設サイト


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