サービスロボット

2011.10.24
日本精工、盲導犬ロボットの新版を開発、2020年に実用化へ

 日本精工は、人を先導しながら階段を上り下りできる4脚車輪型歩行ロボットを開発した。画像センサや距離センサなどで階段の形状や位置姿勢を認識して自律移動する。使用者がグリップに掴まった状態でボタンを押すと、階段を見つけて所定の位置に移動する。段数や広さを認識し、音声で伝えながら上り下りする。人の視覚を補助する“盲導犬ロボット”として安全性を向上し、2020年の実用化を目指す。

nsk_1024.jpg 2007年に開発したロボット(写真下)の後継機で、移動性能を向上した。それぞれの脚に3つの関節と1つの車輪を搭載する脚車輪構造で、4脚で計16自由度を有する。平地は車輪で走行し、階段を上り下りするときは関節軸を動かして歩行する。従来型は1脚1車輪だったが、新型は同2車輪にして階段昇降時の姿勢を安定させた。また、従来型は安定を保つためにガニ股(カニ歩行)で足を動かしていたため移動に時間を要していた。新型は足を正面に出して上り下りする構造で、人と同等の速度で移動することができる(*1)

 認識技術には電気通信大学と共同開発した円錐走査法を採用した。円錐の母線に沿って距離測定を行い、注目した領域の特徴量を検出して形状や位置、姿勢を認識する手法で、複数の距離画像センサで検知した情報をもとに階段の形状や位置姿勢を3次元で認識する(*2)。階段の上り下り中は不可視領域が発生するため、従来型は画像認識が難しかったが、これを解消した。足先にセンサを搭載しており、移動方向に物体を検出したときはぶつからないように避ける。

 使用者が握るインターフェースには角度や長さが変わるグリップを採用した。階段を下りているときロボットが前方に位置している場合はハーネスが伸び、無理な姿勢にならないようにした。サイズは幅520mm×奥行き600mm×高さ1,200mm。重量は40kgと、従来型に比べて約30%軽量化した。

 同社は人の生活を手助けするサービスロボットの開発に取り組んできた。軸受や直動案内、モーターなど機械要素部品の製造開発で培ったノウハウを生かして実用化する。移動・駆動技術は自社技術を活用し、認識技術やコミュニケーション技術は産学連携で高度化する。

nsk2007_1024.PNG

写真下 2007年に発表した4脚車輪型ロボット「NR002」

*1:その効果については「ROBOMEC2011」での発表論文を参照すると、次のように説明されている。4脚ロボットにおける静歩行で安定性を維持するためには、常に3点以上の接地点が入るようにし、かつ、それらの点で構成される支持多角形の中に重心の投影点が入るように制御する必要がある。従来の1脚1輪構造では重心が対角線上にくることが多いのに対し、1脚2輪構造では支持多角形の中に入り、安定性が増す。また、従来は安定性の余裕が小さく、階段昇降時は脚の接地場所が限定されるため股関節のヨー軸を用いてカニ歩行をしたり、ボディを左右に振ったりすることで安定性を確保していた。1脚2輪構造ではこうした動きが不要となり、常にすねが階段に向かうように歩行できるため高速歩行が可能になったとしている。

*2:ここでは階段の認識を目的としており、平面および曲面の特徴量を抽出することで階段の上り時には凹凸を、下りでは不連続面を階段の構成要素として認識している。

 

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