サービスロボット

2011.10.26
奈良先端大の柴田准教授ら、最適な着衣動作を高速に学習するロボ開発

 奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)情報科学研究科の柴田智広准教授と松原崇光助教らは、上半身が不自由な高齢者や要介護者の着衣を支援するロボットシステムを開発した。事前に介護者などが教示(ティーチング)した着衣動作(軌道)を光学式モーションキャプチャシステムで捉え、これをもとに着衣の状態を評価し、学習を繰り返すことで適切な着衣動作を習得する。学習時に対象となるパラメータを絞り込むことで着衣動作の高速な学習を可能にした。このような着衣を支援するロボットシステムの開発は世界初という。

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 学習対象となるパラメータを限定することで着衣動作を高速に習得できるのが特徴。教示した軌道を人間の軌道生成の数理モデルである「躍度最小モデル(minimum-jerk model)」に近似することで約10秒間の軌道を6点の経由点で表現。そのうち着衣動作において重要と考えられる1点を学習対象とすることで可能にしている。また、着衣の成功度を強化学習における報酬信号として定義し、評価と学習を繰り返すことで適切な着衣動作を習得する(下図)。

 開発したシステムは、おもに片腕7軸の双腕ロボットと光学式モーションキャプチャシステムなどから構成。米Barrett Technology社製のワイヤ駆動式の7軸ロボットを左右に配置することで双腕ロボットとしている。人と接することを考慮してバックドライバリティを有するものを選択した。
 着衣動作は、ロボットが高齢者や要介護者(写真ではマネキン)の背後からアームを伸ばして頭に襟を、腕に裾をそれぞれ通して行う。

 着衣と着衣される人間の状態および関係は、Tシャツに5個、マネキンに3個付加したマーカを高速カメラで捉えて評価する。これらの状態はコンピュータ上では「絡まり座標系(topology coordinates)」で3つの変数で表現している。具体的には、襟がきちんと通っているか、2つの袖がきちんと通っているか、裾が教示した程度下ろされているかであり、これらが着衣の成功度の指標としている。それらができていると報酬が大きくなり、大きくなるよう評価と学習を繰り返し行うことで、教示した軌道を適切な着衣動作とへと補正する。
 現在は軌道のみを教示しているが、今後は力センサなどを搭載することで力加減も教示、学習することも検討しているという。

 今回の研究内容は、スロベニアで現地26日より開催されるヒューマノイドロボット研究の国際会議「IEEE-RAS International Conference on Humanoid Robots」で発表される。

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