「2011国際ロボット展(iREX2011)」の開催に先駆け、主要ロボットメーカー各社の首脳や事業責任者に事業戦略などを聞くシリーズ。第5回は、不二越 田中佐千夫取締役。
―自動車向け溶接・塗装ロボットや液晶・半導体向け搬送ロボットを手がけています。海外展開が成長のカギを握りますね?
「受注水準が高い韓国、米国で着実に実績を積み上げる。製品開発や販売促進に向け次の手を打つが、特に力を入れるのが中国。統計では2010年のロボット販売台数は2009年比3倍の1万5,000台だった。2014年までにその倍に達し、世界最大の市場となると見られている。日米欧に比べると従業員1万人当たりロボットの設置台数は1/10にとどまっており、潜在需要が大きい。ただし、足元は少し停滞している。一部の自動車メーカーが販売状況をみて投資案件を延期している。だからといって、調整局面はいつまでも続かないだろうし、2012年1月の春節が終われば一気に戻る可能性もある」
―中国のロボット事業は伸びていますか?
「上海にロボット事業拠点を置いたのが2010年春で、まだ本格化していない。体制の強化はこれからだが、中国の投資案件が積み上がるとありがたい。ロボットを大量に導入する生産ラインが新設される時期までに製品や受注体制を強化する。東北や華中、華南などの地域ごとに異なる需要に合わせて攻め方を考える。生産システムを構築する現地システムインテグレータ(SI)との連携も深める」
―ロボットの競合各社は一斉に中国事業を強化しています。
「競争が激化している(*)。自動車向けビジネスは陣取り合戦のようなものだ。中国では欧州の自動車技術が多く採用されているため欧州勢が強い。当社は地場自動車メーカーを攻めており、手間と時間がかかっている。しかし、それでもいくつかの自動車メーカーを攻略し、事業展開の足がかりはできた」
*:ある産業用ロボットメーカーの幹部によると、国内メーカー同士の値引き合戦が激化しており、収益が得にくい状況になりつつあるという。産ロボメーカー同士による交渉では対応困難な課題であり、担当官庁である経済産業省などに調整役になるよう要請しているところがあるという。
―中国市場の攻略では何を訴求していますか?
「中国では当社の工具、軸受、油圧、工作機械の知名度が高いため、ここから攻めている。現在のロボットの商談は工具の販売ルートから紹介された。ロボットや工作機械などの生産財のビジネスは人脈が物をいう。まして、中国はメンツを重んじる国だ。当社はいろいろな製品を扱っており、顧客と多くの接点がある。ただ、この強みを生かし切れていない。油圧や軸受を突破口にして人脈をつくり、攻めの姿勢で挑む」
―ロボット技術開発はどこを強化しますか?
「スポット溶接やシーム溶接、搬送、パレタイズロボットは高速動作・高効率化を重視する。さらに、トータルコストの引き下げなどを提案したい。例えば、多種多様なワークに対応するハンドやビジョンシステムを組み込んだロボットにより生産システム全体のコスト低減につながる」
(取材&テキスト作成:日刊工業新聞社 川口哲郎)
※日刊工業新聞掲載の「ロボット新時代・メーカーの挑戦(5)」を再編集して掲載しました。
【過去のインタビュー記事】
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►SIの活躍の場、成功事例の創出が必要だ、安川電機 津田純嗣社長 (2011/10/21)
►中国の現地SIが生産ラインを組む傾向は強くなる、川崎重工 山口雅敏執行役員 (2011/10/24)
►SIの海外進出支援が必要、三菱電機FAシス事業本部、小平紀生主管技師長 (2011/10/25)
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