今年度で終了する「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(2007~2011年度、NEDO)において、セックを中心に、RTミドルウエア(RTM)の機能安全規格「IEC 61508」への対応を進めていることが明らかになった。ソフトウエアエンジニアリングの導入によりRTMの実装環境の1つである「OpenRTM-aist」の再構築に取り組み、品質保証したうえでの提供を目指している(オープンで提供されているOpenRTM-aistとは別のものになる)。セックではIEC 61508の「SIL3(Safety Integrity Level)」に相当するソフトウエア開発プロセスの認証取得に向けた準備も進めており、プロセス認証を取得した後にRTMおよびRTコンポーネント(RTC)の製品認証を受け、外販をする。また、同プロジェクトの期間内には、産総研の「OpenRTM-aist」で公開が始まっているRTCのドキュメントの再編集にも取り組む。同一フォーマットにまとめ上げて再度、提供する。
複数の関係者への取材で明らかになった。同プロジェクトでは当初より、RTCの普及に向け品質保証が大きな課題としてあがっており、ソフトウエアエンジニアリング(ソフトウエア・プロダクトおよびソフトウエア・プロセス)の導入の必要性が指摘されていた。機能安全への一部対応を指向する「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(2009~2013年度、NEDO)で製品開発が進展しており、同プロジェクトの成果物の一部をこちらに継承することを見据え、最終年度で取り組まれることとなった。セックにはRTMで事業化することを条件に委託されたという。
機能安全規格では、ソフトウエアの設計・検証に対し、「Vモデル」(詳細はこちら)にもとづく手順および文書化を規定しており、それぞれに推奨技法を指定している。現在、それに従って再構築を進めており、実装そのものもコーディング規約に則してやり直しているという。また、SIL3以上のソフトウエアに対しては「形式手法」の導入が規定されているが、開発コストなど様々な影響を考慮して利用していない。セックではVモデルにもとづく開発は、組込みシステムの開発で十分な経験を積んでおり、プロセス認証については半年程度の期間で取得できるのではと見ているという。
セックではプロジェクト終了後、品質保証(製品認証)をしたうえでRTCを提供することを計画している。センサやアクチュエータなど各種デバイスを提供する企業などと検討を進めているが、富士重工業のように、デバイスとセットで提供するかどうかは現時点では未定。
また、同プロジェクトではプロセス認証の取得には予算付けがなされておらず、セックには相当な負担がかかると予想される。しかし、ターゲットとするプロセッサや動作環境ごとに認証を取得したりソフトウエアの更新ごとに再認証を取得したりするといった事態の回避につながり、セットメーカーにとって有効であることから、開発支援やコンサルテーションにより一定程度の収益が見込めると睨んでいる。
RTMの機能安全規格への対応に向けては、組込みソフト向けの開発ツール「ZIPC」などを提供するキャッツも参加している。RTMのようなコンポーネント指向のソフトウエア開発支援に向けた開発環境「ZIPC-RT」や、RTCのデバッグなどが行える「ZIPC-RoboSAR」の開発を進めており、各種設計・検証支援ツールの提供を計画している(動画)。産総研ではハードウエア・プラットフォームを準備しており、機能安全規格への対応を見据えた開発では、セックからはRTMおよびRTCが、キャッツから各種開発ツールがそれぞれ用意されることになる。
なお、「ROS(Robot Operating System)」との連携については、米Willow Garage社の無償提供プログラムによりプラットフォームロボット「PR2」を用いた研究に取り組む東京大学 情報システム工学研究室の稲葉雅幸教授らと検討を進めていく。
動画 ZIPC-RTで開発したRTCを作成し、LEGO Mindstormを動作しているデモ。決められた時間に必要な薬を飲む作業を支援してくれる。
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《連載》
サービスロボットの安全トレンド その1 新しい安全の概念「機能安全・IEC 61508」を理解する
►第1回「機能安全が登場した背景」
►第2回「IEC 61508に基づく機能安全設計」
►第3回「機能安全の認証取得と産業用ロボットの安全における位置づけ」


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