日本ロボット学会は、9月6日に「第29回 日本ロボット学会学術講演会」の併催行事として「震災対応ロボティクス・シンポジウム」(対災害ロボティクス・タスクフォース協賛)を開催する。東日本大震災ならびに、それに伴う福島原発災害で活用されたロボット技術や、今後の中長期的な復旧作業に向け、産学官で検討されている取り組み内容などを紹介する。場所は、芝浦工業大学 豊洲キャンパスの特別講演室。一般の方は無料で聴講できる。
福島原発災害の事故対応に向け無人化施工技術や災害対応ロボットなどが利用されたが、作業環境やミッション内容が不明瞭なために開発システムが十分に機能しなかったり、現場との連携不足により提案したシステムが利用されなかったりするなど、必ずしもスムーズに活用されてこなかった。冷温停止後の燃料棒の取り出しや、廃炉となった原子炉の解体作業など今後、ロボット技術のさらなる活用が期待される中で、新規の技術開発を含め、スムーズな活用に向けた課題を議論する。プログラムの詳細は末尾を参照してほしい。
現在、福島原発災害における中長期的な事故対応に向けては、「リモートコントロール化プロジェクトチーム(リモコンPT)」内の「ロボット技術適用検討会」にて議論がなされている。燃料貯蔵プールの使用済み燃料棒や溶融した燃料棒の取り出し方法などが検討されており、例えば後者は、米スリーマイル島原発の事故処理を参考に、格納容器を水で満したうえで、遠隔操作システムにより切断や分解、取り出しを行うことが構想されている。前者の作業には3年程度、後者の作業で10年程度の時間を要すると見られている。
また、産業競争力懇談会(COCN)においても「災害対応ロボットと運用システムのあり方プロジェクト」で検討がなされており、「原子炉解体ロボット」に加え、「防災ロボット」や「無人化施工システム」が議論されている。
こちらではわが国の産業競争力の強化を目的としていることから、例えば原子炉解体ロボットでは福島原発の原子炉の解体作業にとどまらず、ここで培った技術とノウハウを世界各地の原子炉の廃炉作業に向け提供するなど、原子力プラントメーカーがソリューションビジネスとして海外展開することを見据えて議論されている。「防災ロボット」については、耐放射線性の向上などに加え、運用体制および要員の訓練などが、無人化施工システムでは遠隔操作能力の向上や、瓦礫の分別や汚染土の除去システムなどの開発、大規模構造物への適用などが、それぞれ議論されている。
COCNでは、10月に中間発表を、2012年2月には最終報告を行うことを予定しているが、シンポジウムでは、これらの検討内容がいくつか示されると見込まれる。
●福島第一原子力発電所における中長期措置検討専門部会議事録(2011年8月3日)
震災対応ロボティクス・シンポジウムプログラム
●日時:2011年9月6日(火)
●会場:芝浦工業大学 豊洲キャンパス 特別講演室(交流等5階大講義室)
●参加費:無料(一般)
●プログラム:
《災害に対する備えとしてのロボット技術》
・ロボットビジネス推進協議会における検討(MOTソリューション 石黒 周氏)
・経済産業省における災害対応ロボット応用技術開発(経済産業省 製造産業局 産業機械課 藤木俊光氏)
・産業競争力懇談会プロジェクトにおける検討(東京大学 淺間 一氏)
・産業競争力懇談会プロジェクトWG2(無人化施工)における検討(鹿島建設 鶴岡松生氏)
・産業競争力懇談会プロジェクトWG3(原子炉解体)における検討(日立GEニュ-クリア・エナジー 齋藤莊藏氏)
《東日本大震災におけるロボット技術の適用》
・原子力発電所における事故対応で活用されているロボット技術(東京大学 淺間 一氏)
・福島第一原子力発電所へのQuinceの導入(千葉工業大学 小柳英次氏)
・青森・岩手・宮城県でのロボットを用いた震災対応活動と今後の課題(京都大学 松野文俊氏)
・遠隔操縦機ROVによる水中探索(東京大学 浦 環 氏)
・セラピー用ロボット・パロによる震災等被災者・支援者等に対する心のケア(産業技術総合研究所 柴田崇徳氏)
《パネルディスカッション:災害時にロボット技術をスムーズに導入するための課題》
・日本における原子力ロボットの取り組み(東京大学 淺間 一氏)
・これまでの海外の取り組み(製造科学技術センター 間野隆久氏)
・災害対応に求められるロボット技術(大阪大学 大須賀公一氏)
・対災害ロボティクス・タスクフォース(東京大学 中村仁彦氏)
・ディスカッション(モデレータ:東京大学 淺間 一氏)
●問い合わせ先:
日本ロボット学会学術講演会 実行委員会(企画運営関連)
E-mail: rsj2011committee@ccr.tsukuba.ac.jp


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