千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の小柳英次副所長は、9月27日、28日開催の「都市防災・セキュリティ展」で講演し、10月下旬に福島第一原子力発電所原子炉建屋に災害対応ロボット「Quince(クインス)」が追加投入されることを明らかにした。搭載したレーザレンジファインダー(LRF)で3次元計測をしつつ線量計測を行い、3次元の線量マップ(3Dマップ)を作成する。作業環境の改善に向けた遮蔽板の設置作業をはじめ、冷温停止に向けた復旧作業の検討に役立てる。
千葉工大で待機状態となっていたQuince 6号機(写真左、動画)を追加改良したうえで投入する。東京電力側より具体的な作業内容が提示されなかったうえ、操縦担当や記録担当、運搬担当など、ロボット1台の運用に計6名の作業者を投入しなければならないという事情から、運用されないままでいた。
6月8日の記者発表の段階では、遮蔽板の設置作業などの検討に向け2台のLRFと線量計により3Dマップ(写真右)を作成する機能を搭載していた。加えて、高所配管の確認や高所の線量計測に向け4mの高さまで伸ばせる高所カメラや、放射線源および強度の特定に向けガンマカメラを搭載する。
また当初は、すでに投入しているQuince 1号機を介して2.4GHz無線LAN通信で運用することを想定していたが、原子炉建屋内での無線通信は困難であることから、Quince 1号機と同様、ツイストペアケーブルによる有線通信で操作すると見込まれる。
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6月8日に公開したQuince 6号機(写真左)と千葉工大校内で作成した3Dマップ(写真右、スキャンデータのみ)
さらに、Quince 1号機がミッションとしていた原子炉建屋地下の汚染水のサンプリングや水位計センサの設置作業にも再度取り組む。6月24日にミッションに臨んだが当初、東電側より提示されていた階段の幅が実際には200mm程度(900mmではなく700mmだった)狭く、建屋地下にアクセスすることができなかった。その後は、原子炉建屋内の上層階の調査に運用されている。これらのミッションに向けては別のロボットを用意して臨むと思われる。
そのほか福島原発内における(簡易)メンテナンス時は、複数枚の防護手袋を着用したうえで行っており、微細部品を取り扱えないことから、これに配慮した設計改良も進めているという。例えば、Quinceの外装部品の固定に使用しているφ3mmのボルトを、より大きなサイズに変更する。
なお、東電では9月より炉心スプレイ(CS)系からの注水により原子炉圧力容器の冷却を行っている。従来の格納容器の下部に注水し、その蒸気により燃料を冷やす「蒸気冷却」と異なり、上部からシャワーのように直接冷やす方法で、圧力容器を100℃以下に低下することに成功している。7月26日に、Quince 1号機で原子炉建屋2階にあるCS系ラインを調査し(*)、上述の判断につなげた。また、周囲の線量計測を精緻に行うことで作業員および資材の配置検討や、作業工程の設計にも役立てている。
*:東京電力では、米iRobot社の「PackBot(パックボット)」は建屋上層階(階段の傾斜角は約40度)および建屋地下(同約42度)へのアクセスは困難と判断しており、地上階のみなど平面での移動のみに運用する方針を打ち出している。
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