東京電力の福島第一原子力発電所から半径20kmの警戒区域内で作業をした重機械の放射性物質の測定・除染方法の見直しを求める声が上がっている(写真は福島原発で運用された遠隔操作重機)。日本建設機械工業会(CEMA)は測定部位などを特定した定量的な方法を確立し、安全性を確保する方向で検討を始めた。また、地元の福島県建設業協会などは「除染後、安全であることを明確に証明してほしい」と訴えている。
コマツや日立建機、コベルコ建機、住友建機、キャタピラージャパンなどの実務担当者らで9月に情報交換会を開いた。地面に直接触れる足回り、外気を吸引してエンジンに送り込むラジエータやエアコンなど15~16カ所を重点的に測定することを検討している。
測定・除染の現場に立ち会った関係者によると、「東電は重機をトレーラーに乗せた状態で計測しており、汚染濃度が高い部分がしっかりと測定できているかどうかわからない」という。放射性物質で汚染された土壌や瓦礫などに直接触れる部分とそうではない部分があるため、「除染後の重機を再測定すると部位によって異なった数値になる」といった声もある。これらを反映し、測定部位を細かく決めて実効性を上げようとしている。別の関係者は「業界で議論をまとめて国に働きかけたい」としている。
現在、重機の測定・除染は後方基地のJヴィレッジ(福島県楢葉町)で、東電とその協力会社が担当。日立アロカメディカル製の「GM(ガイガー・ミュラー)サーベイメータ」を用いて重機1台当たり4~5人で表面汚染を測定している。
除染が必要な放射性物質の濃度基準は1万3,000cpm(count per minute、1分間に計測した放射線の数)。政府の原子力災害現地対策本部は事故後の3月20日から緊急的に10万cpmにしていたが、今月16日に戻した。基準値を厳しくして放射性物質の拡散を防ぐためだ。
基準値を上回った重機の除染結果は、東電の社員が「除染した」ことを所有者に口頭で伝えている。所有者が書面での証明を求めた場合に限り、基準値未満だという結果と除染日時、使用機器を明記した「確認書」を交付している。ただし、重機ごとの具体的な数値は伝えていない。このため地元の建設業者などから「数値を開示して証明してほしい」といった声がある。これに対し、東電は「対応を検討したい」としている。
安全証明は風評被害の防止の観点からも必要になる。3月末から9月15日までの期間で、警戒区域内で作業をした重機は延べ約2万3,500台。除染後、街中で稼働しているケースもある。
また、重機は労働安全衛生法第45条で、年1回の保守点検が義務づけられている。法定点検は車体重量20tの油圧ショベルの場合、1台当たり2~4時間かかる。特殊重機の場合は、さらに時間を要する。それだけに定量的な測定・除染方法、除染後の安全証明が重要になる。政府には早急な対策が求められている。
(取材&テキスト作成:日刊工業新聞社 千田恒弥)
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