アールテクスは、26~28日開催の大阪うめきた先行開発区域の体感イベント「ナレッジキャピタルトライアル2011」で、デンマーク・オーフス市で実証実験を行っている「手指リハビリロボット」を公開した。脳卒中による手指麻痺(まひ)や手術後に手指のリハビリが必要な患者が、手指に装着して使用することで、理学療法士が教示したリハビリ動作を繰り返し行える。手軽にリハビリ治療が行えるうえ、理学療法士などの作業負荷の軽減が見込まれる。デンマークではオーフス大学病院での臨床試験などを経た後、医療機器認証を受ける予定。早ければ2012年末の製品化を目指す。
近畿大学 生物理工学部 知能システム工学科の渡辺俊明准教授の研究成果をもとに開発した。渡辺教授のシステムは、理学療法士が教示を行う際、患者が負担に感じる曲げ動作を3軸力センサなどで検知し、そのパラメータを設定値としてインピーダンス制御(位置および力を制御)を行うことで、患者に過度な負荷を与えない動作をさせている。
公開したシステムは、使用した双葉電子工業製サーボモータが実装するコンプライアス制御により、負担を感じるような曲げ動作を柔らかく行う以外は、位置制御のみで動作させている。大幅に簡素化した。
手指リハビリロボットの利用により、患者はリハビリに伴う疲労が軽減され、かつ正確なリハビリを行うことで早期回復が見込まれる。また、理学療法士は施術に伴う時間および負荷を軽減することができ、より高度なリハビリ治療に当たることができる。
福祉国家として知られるデンマークは、高品質な介護福祉サービスの提供に伴い、それを担う介護福祉スタッフの高い人件費や労働従事者の減少に悩まされている。介護福祉現場における省力化に寄与するロボットの導入を積極的に進めており、産業技術総合研究所のセラピーロボット「PARO(パロ)」に続き、同国の「介護労働負担軽減プロジェクトのための基金(ABTファンド)」を活用して、オーデンセ市ではサイバーダインのロボットスーツ「HAL福祉用」を、ファボー・ミッドフェン市ではテムザックの留守番ロボット「ROBORIOR(ロボリア)」を、それぞれ検証している。
オーフス市での取り組みではABTファンドを活用していないが、同市はCEマーキングなどの認証対応に伴う開発支援や認証取得にかかる経費負担を、2010年4月に大阪市を訪問した際に提案している。アールテクスはこうした支援をもとにEU各国に展開する前段階として、臨床試験にかかる書類申請などで支援を受けている。2012年4月頃までにオーフス大学病院などで100名規模の臨床試験に取り組み、同時に耐久性などを検証した後、早ければ2012年末に医療機器として同国で販売する。
今後、システムの改良は「平成23年度 大阪市成長産業チャレンジ支援事業補助金」をもとに行う予定。また、生産はシンガポールもしくはインドネシアで行うことを計画しているが、「シンガポールにおける医療機器認証は(日本ほど)厳しく問われないことから、同国から販売を始める可能性もある」(積山彰社長)という。
なお、アールテクスは立命館大学の金岡克弥チェアプロフェッサーが代表を務めるマンマシンシナジーエフェクタズ(MMSE)がロボット制御工学の研究や教育に向け一部提供を始めているロボットキット「MMSE Units」の開発にも協力している。
【関連記事】
►デンマークにロボ技術の売り込む大阪市、認証取得に向け実証実験も開始へ (2011/06/29)
►テムザック、デンマークのABTファンドの申請に向け実証実験を開始 (2011/06/23)
►大阪市、医療福祉・環境ロボ技術でデンマークと協定締結 (2011/06/09)
►次世代ロボの普及には社会コストの低減を意識した取り組みが必須、内閣府の柴田氏 (2010/04/03)
►近大、指先関節リハビリ支援ロボ披露、リハビリ効果が不明のため販売は先送りのまま (2010/03/19)
《トレンドウォッチ》
►日本とデンマーク、ロボ開発における協業の可能性 ―モノづくり推進会議 地区別研究会 多摩ロボット分科会


ビジネスライン














