東北大学は7月1日付けで「極限ロボティクス国際研究センター」を設置、始動した。極限ロボとは人間の能力では行けない極限環境で作業するロボット。9人の教授が中心となって宇宙探査と災害対応、ライフ・イノベーション、分子ロボットの4分野で、基礎から実用化研究までを推進し、世界中の研究者が集まる拠点を目指す。災害対応ロボットに代表されるように、高度な技術力を有しながらも実戦配備に至らない現状などに対し、センターの同設置はどのような意義を持ち得るのか。センター長に就任した吉田和哉教授に聞いた。
―センター設立の目的は?
「東北大のロボット研究者の能力を束ねて相乗効果を狙う。世界最先端の研究者とも共同研究を進め、成果を出す。世界と戦うには日本人が外へ出ることも大切だが、海外から人を集めることも重要。世界中のロボット研究者が集まる拠点へと育てていきたい」
―なぜ、極限ロボットを選んだのか?
「人間が入れなかったり近づけなかったりする場所で、人ができないことや嫌がることをすることがロボットの活躍できる場であり、大切な役割の1つと考えている。東北大はもともと極限ロボットの研究者を集積し、得意分野として育成してきた。極限ロボットの世界的な拠点というのは、これまでにあまり例がなく、国際的な注目も高いのではないだろうか」
―東北大といえば現在、福島原発災害での災害支援ロボが注目されています。
「災害対応への緊急度が高いという意味でも、まずは災害対応ロボットの分野に力を入れる。1、2年で理想に近づくような技術を確立したい。ただ、わが国のロボット技術は高いレベルにあるものの、あくまでも研究室レベルという一面がある。現場からのフィードバックを即座に反映してシステムとして信頼性や安全性、使いやすさを高めていく取り組みが大切だと感じている」
―東日本大震災の経験は今後に生かせますか?
「痛感したのは、誰でも操作できるロボットが本当に“使えるロボット”だということ。研究では操作に慣れた研究スタッフが操作するのでよいだろうが、実際の現場ではそれではだめ。操作をマニュアル化するのはもちろん、トラブルへの対応方法も明確にしておかなければならない。これまでそうした視点がなかったわけではないが、現場投入を前に重要性を実感した。研究者の使命は一歩先を行く技術の開発だというのは変わらないが、実用を念頭に置くのも大切だ」
―ロボットの実用化は長年の課題です。
「われわれ研究者と実用に近づけるエンジニア、評価するユーザーがチームとなって進めることが重要だろう。戦略的に実用化を進めるための体制の整備も欠かせない。米国のロボットの即応性が高いのは、実際の現場でどれほど活用され、かつ改良が繰り返されてきたから。トラブル対応を明確化するにしても実践を重ねないと進展しない。わが国では、ロボットを現場で使うための“大きなきっかけ”が必要で、今回の震災がそれではないだろうか。国には社会システムとしてロボットが入り込むための体制づくりを望みたい」
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