ゼットエムピー(ZMP)は、組込み機器向けミドルウエア開発を手がけるエイチアイ(HI社)と共同で、移動ロボットの制御技術のライセンス事業を開始する。ZMPのカーロボティクスプラットフォーム「RoboCar(ロボカー)」に実装している自律移動制御技術などの使用権を、HI社のソフトウエア技術を組み合わせたかたちで、無人搬送車(AGV)の開発企業などに提供する。ライセンスを受けることで基礎研究にかかる開発期間の大幅な短縮やコスト削減が見込まれる。生産台数に応じたライセンス料に加え、カスタマイズ料金が発生する。ライセンス料は、当面は販売価格の5%程度を予定。7月26日より申し込みを受け付ける。
提供する技術は、障害物回避や各種設定のためのGUI、地図情報にもとづくプランニング、遠隔監視・操作・追跡管理システムなど(図)。これらの各種アルゴリズムはコンポーネント(部品)のかたち(バイナリ形式)で提供される。また、提供されるソフトウエアは階層構造に整理されており、ハードウエアを抽象化する「Hardware Abstract Layer(HAL)」によりプロセッサなどの違いが吸収されるため、様々なハードウエアやプラットフォームに実装可能。ハードウエアと併行しての各種アプリケーションの開発や、量産後のハードウエアの変更や拡張にも対応することができる。
ライセンスを受けることで、自律移動に関する基礎研究や試作機の設計・製作など初期費用および開発期間の大幅な圧縮が可能。ZMPでは数億円の初期投資を削減できると見ている。提供先にはAGVや業務用掃除機、警備車両、ゴルフカート、各種農業機械などのメーカーを見込む。特に物流業界の関心が高く、SLAMの搭載によるAGVの自律移動化などが検討されているという。また、用途に応じたカスタマイズなど共同開発にも対応する。
なお今回、ライセンス事業を発表した背景については、ZMPの谷口恒社長のブログで記されている「ロボットのIP(知的財産)ビジネス」を参照してほしい。また、知的財産の公開に関連すると、ZMPは2008年7月に、同社の家庭向け2足歩行ロボット「nuvo(ヌーボ)」のAPIやソースコード、電気回路図などを「nuvoソースコード公開プログラム」通じて公開している。ZMP独自開発のリアルタイム制御ソフトウエア「N2Core」やユーザーインターフェース制御アプリケーション「N2 Controller」が含まれるなど、nuvoに関する知的財産のほぼすべてを公開するという大胆な取り組みで、家庭用ロボットのアプリケーションの開発促進を試みた。このときはおもに研究機関に向けて提供している。
図 提供されるコンポーネント群とシステム構成例
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