ロボナブル コラム

2011.07.04
【コラム】災害対応ロボは、すでに原発事故を活用したビジネスに

 先週6月30日、対災害ロボティクス・タスクフォース(TF)上で、産業技術総合研究所の荒井裕彦主任研究員からの情報提供として、福島第一原子力発電所で米iRobot社の軍用ロボット「PackBot(パックボット)」や「Warrior(ウォーリアー)」などの操作にあたっているオペレータ(消防士)さんのブログが紹介されました。元ネタは、サイエンスライターの森山和道氏のブログとのことで、すでに多くの方が、オペレータさんが紹介された作業内容などを確認されたと思います。一昨日、そのオペレータさんからメッセージをいただきました。

 オペレータさん自身も被災者であり、津波により新築のマイホームを流出・全壊するという被害に遭われたそうです。それゆえに、もともとは福島原発での活動内容を記事にするつもりはなかったようですが震災後、各マスコミから正しい情報発信がなされていないことに憤りを感じ、正しい情報を発信すべく、こうした話題を掲載されるようになったそうです。マスコミの端くれとして耳の痛い話です。

 また、災害対応ロボットについて次のようなコメントもされました。
 「ロボットについては、すでに原発事故を利用したビジネスになりつつある」
 「(今後の開発に向け)高放射線下という特殊環境における実証データの取得に向け、ロボットを無償提供しようとする魂胆が伺える」
 「(復旧・復興)商戦でシェア争いが見え隠れする」
  (一部言い回しを変更しています)

 以前、本コラム(当時は、メルマガ読者のみに案内)にて4月17日のPackBotの投入を受け、次のような主旨の文面を配信いたしました。以下は抜粋記事です(全文は、末尾を参照して下さい)。

 「今回のような原発災害を経験した国は他になく、復旧作業の計画に欠かせない内部状況の把握などロボットの運用モデルを構築し、近い将来には、原発の復旧システムの1つとして海外展開し、外貨獲得に寄与する。早期に復興に役立てることを視野に入れてほしいです」
 「しかしながら、ヒラリー・クリントン国務長官の来日に合わせての投入を踏まえると、PackBotのデモに利用されているような感じがしてなりません(編集子の浅はかな邪推であってほしいですが)。一定程度の成果につながれば、軍用以外での海外展開が見込まれるうえ、米iRobot社に投資し続けてきた研究資金の回収にもつながるはずです。もちろん、現在のPackBotがそのまま展開されるのではなく、(原発災害対応に)仕様変更したうえで日本にも、他の同盟国にも対災害用ロボとして売りつけられるのでしょう」(引用ここまで)

 これまでに、個人レベルから学会レベルまで、今後の災害対応・原発災害対応ロボットの開発のあり方および実用化に向けた方策が、社会システムの変革を含めて議論され、提案がなされています。ところが、オペレータさんのコメントに見られるように、ビジネスベースでは線量計測や除染作業などで一定程度の成果を上げたファクトをもとに、今後のわが国の復興、ならびに新たな防災・減災システムの構築を見据え、売り込みが始まっています。上記メールのように、原発災害対応を絶好の実証実験の場として、また、売り込みのデモの場として使われつつあり、あまり悠長なことをしていると、災害対応・原発災害対応ロボットの分野(市場創出という点で)で、(海外勢に)さらなる遅れをとってしまいそうです。

  原発災害に対しロボットを適用するためには実績は問われるべきですし、周到な準備も必要です。わが国は特に運用面で、災害対応・原発災害対応ロボットの分野で競争力があったと言い難く、国産ロボットの投入に関しては慎重な議論がなされるべきです。しかし、ビジネスの世界では今後の拡販に向け、厚かましいまでに、迅速かつ効果的に癌発災害さえも利用してきます。
 これに対抗するためには、実績づくり(実証機会)を要求する逞(たくま)しさと、それに即対応(改造・改良など)する迅速さに加え、それを制度面および財政面でアシストする政府側の対応が求められます。すでにIRSや千葉工大に代表されるように真摯に、かつ熱心に活動をされている研究機関や企業がありますが、それぞれに対応するのではなく、例えば、昨年4月のロボットビジネス推進協議会による「次世代ロボットの本格普及に向けて」のように、まずは業界をあげて「とにかく任せてみろ!」とのメッセージを発信することが必要でしょう。

 災害対応・原発災害対応ロボットの実用化で後れをとっているという事実を受け止め、この分野でのビジネス展開を諦めるというのであれば話は別ですが、きっと、多くの方がそう望んでないはずでしょうから。  (ロボナブル編集部)

【福島原発に米iRobot社のPackPod投入】(2011年4月18日配信)
 昨日17日より、米iRobot社の軍用ロボ「PackBot」を用いて原発建屋内の調査が開始されました。原発およびタービン建屋内の調査には国内のロボットが利用される見込みと聞いていましたが、戦地でのPackBotの実績が買われて、最初に投入されたようです。

そのほかの理由を問い質しましたが「ノウハウに関わる」との一点張りで東電側より回答を拒否されました。好意的かつ前向きに受け止めると、今回のような原発災害を経験した国は他になく、復旧作業の計画に欠かせない内部状況の把握などロボットの運用モデルを構築し、近い将来には、原発の復旧システムの1つとして海外展開し、外貨獲得に寄与する。早期に復興に役立てることを視野に入れている結果と受け取れるかもしれませんし、そうあってほしいと思います。

 しかしながら、ヒラリー・クリントン国務長官の来日に合わせての投入を踏まえると、PackBotのデモに利用されているような感じがしてなりません(編集子の浅はかな邪推であってほしいですが)。
一定程度の成果につながれば、軍用以外での海外展開が見込まれるうえ、米iRobot社に投資し続けてきた研究資金の回収にもつながるはずです。もちろん、現在のPackBotがそのまま展開されるのではなく、(原発災害対応に)仕様変更したうえで日本にも、他の同盟国にも対災害用ロボとして売りつけられるのでしょう。その際、東京電力がノウハウを主張している内容が彼らの手にわたり、運用モデルもセットで展開されると、強力なソリューションになってしまいます。

 今回の原発災害で、わが国も国民も甚大な被害ならびに経済的損失を被りました。現在の危機を脱却するのが第一ですが、この過酷な経験をむしろ強みするぐらいの意気込みで、原発ならびに災害復旧システム、ソリューションとして海外展開する方策を考えるべきです。そして国民の暮らしや経済の復興の一助とすべきです。

 特に、わが国のロボットを運用する際は、こうした視点を意識して、また、したたかさをもって、将来的には海外展開も可能な運用モデル、ソリューションの構築を意識してもらいたいです。

清掃(徐染)結果(ブログ「言いたい放題*やりたい放題」)

 
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