国際レスキューシステム研究機構(IRS)は、2010年度末に神戸市に納品したレスキューロボット「UMRS2010(Utility Mobile Robots for Search 2010)」を公開した(動画)。2006~2010年度の「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」(NEDO)で開発した「同2009」のコンセプトを継承しており、各種センサやマニピュレータなどの作業機器を搭載して、レスキュー隊員の救助作業を支援する。神戸市では長田区に設置した「神戸ロボット工房」での展示を通じて、レスキューロボットへの啓蒙活動を行うとともに、神戸市消防局で実配備に向け訓練で利用してもらう。IRSでもUMRS2010を保有しており、こちらをベースに機能向上を図る。
UMRS2010による階段昇降(35度)。操作はIRSの高森年理事。今回が初めての操作となったが、容易に操作できるようになったため、若干手間取ったものの問題なく登り切ることができた
2010年9月~2011年3月にかけて、UMRS2009を無償貸与した神戸市消防局の要望をもとに操作卓およびユーザーインターフェース(I/F)を刷新した。
同2009の操作卓は、タッチパネル式のノートパソコン(PC)とゲームコントローラなどで構成されたが、同2010ではNEC製の堅牢ノートPC「Shield PRO」と「Wiiリモコン」および拡張コントローラのみとした(写真左)。それぞれを右手と左手に持って操作するだけで前後左右、旋回、サブクローラの操作などが行える。従来、操作卓一式を収納したケースの搬送に相当な負担がかかったが、大幅に軽量化されることで現場への持ち運びが容易となった。
ユーザーI/Fは、搭載した前後カメラおよび左右の鳥瞰カメラの計4台の画像を一度に表示されるように改めた。同2009のように画面を切り換える手間がないうえ、切り換えに伴う操作ミスが低減される。また、車体の姿勢状態を直感的に把握できるよう、航空機と同様、水平線と比較して表示されるようにした(写真右)。
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駆動系も大幅に変更し、同2009の平ベルト駆動型アクチュエータからACサーボモータによる駆動に変更した。摩擦伝動の特性を利用した同アクチュエータは、定格伝達力を超える動力や衝撃負荷はスリップ(遮断)し、定格範囲内に戻ると動力伝達を自動復帰するという特徴を備えており、衝突や落下で衝撃を受けた際の駆動部の破損を回避することができる。ただし、アクチュエータの耐久性やサブクローラの操作性に課題があった。
同2010では、トルク制御により必要な動力を得ている。また、定格トルクの40%を超えた場合は電源を遮断するよう制御することで本体内に熱を蓄積しないようにした。さらに、サブクローラの形状も変更しており、衝撃を受けた際の応力集中を抑制できるよう先端側のアールを大きくしている(下の動画)。
そのほか、防爆対策として防爆仕様のACサーボモータを、バッテリーにはリチウムフェライト(Li-Fe)バッテリーを使用。本体表面には静電防止塗装を施した。防水防塵対策としてIP64相当にしている。オプションとして、消防庁指定のHazmat(危険物質)センサやマニピュレータ、各種自律制御機能を搭載することができる。
サイズは、幅512mm×高さ450mm×長さ585mm(サブクローラ収納時)。高さが220mmだった同2009(写真左側)の倍以上の高さとなっている。それに伴い、重量は同2009より約9kg重い32kgとなっている。
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